【プレビュー】好敵手へ別れを告げに CL Round16 2ndLegアトレティコvsユナイテッド(A) 2022.3.15
さてさて。運命の2ndレグ。再度確認しますが、アウェーゴールルールはなくなりました。
1stレグはこちら
1-1の引き分け。アトレティコは2点目も取れそうだったし、無失点でも終われそうだったし、という試合。ただ、何度も言うように試合前の設定から考えれば引き分けは悪くなかった。その前提でお話を進める
前プレがハマった前半。良い時間帯にフェリックスのゴールで先制点まで取れた。
安定感と撤退対策が優先された形で、積極的に2点目を取る形に乏しく、まあ結果論だけ言ってしまうと"前半のうちにもう少し畳み掛けられたね"と。まあ、結果論です。良い前半だった。
アトレティコの良さ以上にユナイテッドが悪すぎ。前半は意味不明だったが後半にタスク整理。チームとしての狙いをやっと持ち始めたが、アトレティコもやっと事前に対策していた展開になった程度の変化。問題なく対応したが、80分にたった一度の裏抜けでエランガに同点ゴールを献上。残念な最後だったが、最低限のドローでホームの1stレグを終えた。何回も何回も言っているがアトレティコはよくやった。最低限は果たした。
もし負けた際に"1stレグで2点目を取りに行かなかったからだ!"と考えてしまいそうなところだが、まあ過ぎた話だ。先へ進もう。
●予想スタメン
アトレティコはヴルサリコとルマルは間に合わず。一方コンドグビアは招集メンバー入りしている。何度もレビューで指摘しているように、理想はジョレンテをIHで使いたい。ヴルサリコがいないのでこれしか選択肢がない。残念だが。
中盤は週末に復帰したコケと、復帰早々になるがこのシステムにハマっており、1stレグでもボール奪取力を発揮したコンドグビアと予想する。あとはこれまで通り。グリーズマンとスアレスはベンチに置く。
ユナイテッドはブルーノ・フェルナンデスは病気でお休みしているとの事で間に合わない予感。一方マクトミネイはトッテナム戦を使わなかった事で出てきそう。ショーはどうなんだろうか
ラングニックは、配置やバランスよりも人員でスタメンを決めている印象がある。
ロナウドは外せない。ブルーノとポグバどっちか、、、両方使っとくか。エランガはまだ若いから途中からでいいか。みたいな。ブルーノが出られるなら両方使いそう。配置は二の次。
では、ユナイテッドの戦いをおさらいしていく。1stレグ以降の3試合を素材に。
●ビルドアップ
1stレグ直後のワトフォード戦ではビルドアップを変えた。ラングニックの采配は基本的に考えている事がよくわからないのだが、1stレグを戦ってこのチームはビルドアップパターンを変える必要があると感じた、はず。たぶん。
この試合ではマティッチがサリーする形で両SBを押し上げる。フレッジも後方カバー優先の2-2ビルド。
これまでは最終ラインの4枚が並列で保持する形が基本だったが、大きく変えた。
CHにマティッチとフレッジを並列で使い、右大外はエランガ。左はWGを置かず、ブルーノとポグバがロナウドの側にいる。みたいな配置。
まずマティッチのサリー。彼がいるだけで構築力が跳ね上がる。マクトミネイの時はできない形。
左サイドはテレスが高い位置を取り高精度のアーリークロスを連発していたのでなんとなくリソースに合った配置だった。その後方をフレッジがケアする仕組み。
ワトフォード戦は結局スコアレスで終わってやんややんや言われていたが、ロナウドに数えきれないほどの決定機を用意できていたのは事実。まあ決められなかったんだけど。勝ったか勝てなかったはまあファンの人達は気にするかもしれないがおれにはどうでもいいので、"年明け以降一番、相手ゴールに迫力を持って突入できていた試合だった"という評価だ。ちょっと対応策は考えておきたい
これまでユナイテッドのビルドは両SBが低い位置で関わり、ユナイテッドはここでは失わない仕組み+アトレティコはそのSBを狙いどころにした、というのが1stレグ。そこがまず変わる。特に左のテレスは左WGが存在しない編成上、早々に高い位置へ抜けていく事が多い。
では、アトレティコの非保持も変えましょう。という事になる。
1stレグの配置
特にロディはどこにいるべきか、というところ。早々に5バックになる事を受け入れるのは最近の取り組みから逸脱するが、エランガは放置したくないのがこのロディ&ヘイニウドの守備のポイントとなる。先発はラッシュフォードだと思うけど
・中央の封鎖は難しい、のか?
ワトフォード戦で効果的に球出ししていたマティッチ&フレッジ。しかし、ワトフォードは正直言ってあまりにも簡単に前を向かせていたなという印象もある。
寄せれば取れるのでは?
前プレするならCHは2枚残したいからこうでしょうか。CBはある程度放置して良いのは1stレグで確認した通り。
結局、ユナイテッドのCH2人が狙っているのは大外への展開に過ぎないのならどうにかなりそう。
・マティッチのビルドアップタスク
マティッチは悪くない、というか球出しにおいてはマクトミネイより全然良い。マクトミネイにCB間サリーをさせないのは、出来ないからなんだろうか。SBの位置を高くするのはマティッチが出ている時間帯に限定される。ただ、マティッチは90分の継続に問題があるのと、試合の流れに関係ないところでカードをもらいがち。延長突入までありえる2ndレグで、このポジションに替えが効かないのはなかなか苦しい。
ラングニックはマクトミネイをたぶんかなり評価していると思われる。そのため、マクトミネイが健康ならマティッチはベンチ。マクトミネイもCB間サリーするのか?というのが保持のポイントになる、と同時にアトレティコからするとマクトミネイとフレッジの後方保持なら前プレで狙っていい。たぶん奪える。
・ライン間タスク
ポグバが高いポジションを取る機会が増えた。シティ戦に至ってはトップのような位置。彼は一度相手CBに近づいてから降りてくる形を好み、足も長くコンタクトにも強いので縦パスの引き出し方はかなり上手い。彼の近くにブルーノが寄ってくる形はなかなか守りにくい。特にカウンターシチュエーション。
トッテナム戦の先制点。ロナウドの凄いシュートだったが、ライン間の引き出しで奪ったゴール
両サイドのチェーン配置が良い。相手WBを引っ張って5バックを横に広がらせている。フレッジ&ポグバがライン間に入り込んで出し入れ。ここではフレッジが引き出す。
ダロットの縦に抜ける動きでトッテナムは誰が見るのかあやふやに。
フレッジが間で引き出し、ロナウドはもう一つ落ちてきて横パスを受けて前向きにどフリー。フリーすぎて2タッチ挟む余裕があった。
まあトッテナムの対応にどうこう言っても仕方ないが、ボールマンにどフリーで球出しされているのにダロットの飛び出しを気にし、しかもライン落ちするロナウドにCBがついて行かなかった対応はあり得なかったと見ているので、アトレティコが同じようにライン間でフリーにさせる事はない、と思いたい。あまり気にしなくて良いシーンだと思う。
ただ、形はともかくユナイテッドがライン間のボールの引き出しを狙って攻撃してくる事は間違いない。ここに注意を引かれて大外の2対2で攻略してくる形がセット守備に対する解決策と思われる。1stレグ同様、サイドアタックは許さない形で撤退したい。
●ポジトラ
こちらも1stレグと同様になる。が、アトレティコにとってはブルーノがいない方がおそらく都合が良い。ブルーノとポグバが揃っているのが一番スピードのあるワンタッチプレーと正確なロングボールが出てくるので厄介になる。ここでもWGのランニングには要注意。
●アトレティコはどのように点を取るのか
これが大事になるでしょう。1stレグは同点。2ndレグも、勝ち上がるのはどこかで得点は必要になる。今さら新しい事はできない。これまでやってきた事を続ける。
・WBへのハイボールと密集
・エレーラの球出し
・ロディのアイソレーション
・前プレ速攻
現行システムにチャレンジして5試合だけだが、色々チャレンジしてきた。一つ目は使えないが。
どの方法でも良い。一点取る。それが大事だ。
●ベンチワークは
・アトレティコ
アトレティコは選手交代の選択肢が少ないのが現状。オープンな展開になった時にグリーズマンの武器が生きる事は確認済だ。ジョレンテが高い位置を取れる時間帯と相性が良い事もわかっている。
個人的に、終盤に得点が必要なら期待したいのがスアレスだ。ここで決めたらあまりにもドラマティック。ストライカーを甘く見てはいけない。彼がチームを救うシーンが見たい。もがき苦しむからこそ、彼に期待したい。まだやれる。まだ終わっていない事を証明してほしい。
・ユナイテッド
1stレグで同点ゴールを決めたエランガはスピードとプレスバックを補完する存在。十分スタメンで出る資格のある選手。
中盤でリンガードは出場する事もあるが、結局マタは仕組みにハマる事はなかった。崩しのフェーズで生きるスペイン人アタッカーの選択肢があるのは嫌だったので助かった。ラリーガ復帰の話もあるようだが、どう考えても引く手数多だ。
中盤はマティッチの出場がある。彼が出てくる事で保持が安定し、またSBを押し上げる事に繋がる。相手を押し込む時間帯を作る唯一の選択肢とも言える。
同時に両SBの機動力確保をする選択肢も持っている。
右はダロット→ワンビサカ
左はショーが入ればテレスと交代。
この辺の選手層はユナイテッドに分があるが、この差は試合までに埋まるものではないので、まあいいでしょう。
●突破へ
個人的には、現状1-1の同点である事を考えて、1stレグの前に言った事と変わらない。まずは失点しない事。ユナイテッドは、カウンターの鋭さでは現状でも欧州トップクラスの相手だ。リードを許すと今のアトレティコには厳しい。スコアを追いかける時間を作らない事。まずはここ。
ユナイテッドは90分間正しく守れる仕組みをしていない。特殊なソリューションがなくても1点取るチャンスは来る。と考える。その1点がなかなか来なくても焦れない事。
2ndレグだ。120分間あると考えてもいい。まず120分失点しない事だ。どこかで必ず刺せる。慌てない。先制しないとどこかで崩壊しそうなユナイテッドの方が焦りは大きいはずだ。
アトレティコの現システムの取り組みは、守備の脆さを隠すためにあった。この試合で隠しきるためのチャレンジだったと言い換えてもいい。大丈夫だ。できる。そのための積み重ねがある。文脈がある。信じる事ができる物がある。そこが今季の前半戦とは違うところだ。
まずは守る。失点しない。焦らない。先に失点したら、どうしようかね。
攻撃の選択肢は限られている。ただ、得点に繋がるパターンを積み重ねてきた。日々の積み重ねの先にあるこの試合だ。再現性に期待する。
この試合に勝つ事で、今季の色々な事が報われる気がする。○を付けられる項目を作れる。気がする。高望みできる現状ではない事は百も承知。ただ、歩みを止めないために越えたい壁だ。ロナウドを、越えるのだ。先に進もう。アトレティコは次の段階へ進み出した。そう言える試合を期待する。
決戦はマンチェスター。オールドトラッフォードだ。
3/15
オールド・トラッフォード
アトレティコvsマンチェスター・ユナイテッド
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?