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踊らにゃ損損 22-23シーズン冬の移籍市場アトレティコ・マドリーの立ち振る舞い

どうも、移籍市場あんまりわかんないマンです。まとめていこう。まとめるって言ったからな、確か。



●inとout

in
メンフィス・デパイ ←バルサ
マット・ドハーティ ←トッテナム
out
マテウス・クーニャ →ウォルバーハンプトン
ジョアン・フェリックス →チェルシー
フェリペ →ノッティンガム・フォレスト

アトレティコさんの動きはこんな感じ。しかしグリーズマンとサウルの駆け込みがあった時からもう1年半ですか。時の流れは早い。

この冬、アトレティコが補強したかった箇所は

・ストライカー
・センターバック
・右サイドバック


の3箇所。それぞれ状況を見ていく。まずストライカー。
FWの補強に至った流れとして、クーニャの放出と強く関連があるだろう。フェリックスの扱いとはたぶんあんまり関係がないと思われる。
W杯後はヘタフェのエネス・ウナルの噂があり、ウィンドウオープン後はベティスのボルハ・イグレシアスへの関心が頻りに報道されていた。
個人的にもこの2人の名前が上がったのは納得。

結果的にボルハ・イグレシアスは高すぎ、エネス・ウナルはちょっと微妙かなとなったと思われる。あと個人的にだが人道的に今のヘタフェからウナルを取るのはちょっと罪悪感エグくないですか。最終的にメンフィスの名前が出てきて、とんとん拍子に決まった。
続いてセンターバック。ここはフェリペの移籍が決定的で、それでなくてもほぼ出場時間が与えられず、CBはサヴィッチ、ヒメネス、エルモソの3人だけという状況に。
とはいえ一応ヴィツェルはCB換算されており、まあヘイニウドもCBといえばCB、という状態。ちなみに個人的にヘイニウドはCBともSBとも言わないのがポイントと思っている節がある。
実質4.5枚という感じで、夏にレスターからソユンチュ a.k.a ソユンク a.k.a ソユンジュ(未確定)の加入がほぼ決定的で、今のタイミングで完全移籍で一人連れてくるのは難しいなどの状況もあり割と身動きが取れなかった。金満クラブだったらここでソユンチュ(仮)を無理やり冬に連れてきたいところだがな。ということでCB獲得の優先順位(現時点での)は下がっていった。

google翻訳で聞くとスユンズュって感じなので聞いてみてください。ソユンクではないだろ(ご協力ありがとうございました)

最後に右SB。ここは何よりジョレンテの立場に関係する。彼にSBはやらせないという考えに起因し、そうなると突然このポジションはモリーナしかいなくなる。ちなみにジョレンテは本人がやりたくないのかチームがやらせたくないのかは知らん。たぶん両方だろう。たぶん。

ここで夏にもモリーナと並行して話が出ていたジョナタン・クラウスへの関心が噂されたが明らかにタイミングを逃したオペレーション。その後ジローナのアルナウ・マルティネスへの噂が出たがこれは来夏の話。ということはSBではなくソユンチュ(にさせてほしいんですがダメですか)の前倒しが優先か?と思われたが最終的に急転直下でトッテナムのマット・ドハーティで決着した。突然すぎるだろ
どうやらトッテナムがスポルティングからペドロ・ポロを獲得した煽りで余剰になった様子。どっちから連絡したかわからんがまあ両クラブと選手サイド全部のニーズがばっちりハマった取引となった。ちなみにトッテナムは今季すでに8人を国外にローン?で出しているのでレンタル移籍ができず、契約解除してアトレティコとサインしているとのこと。でも契約は今季終了までらしい。これは気に入ったら今後も契約できる感じなのか?お得では?



では一人ずつはじめましての挨拶とお別れの挨拶を。倒れるくらい長いかもしれん



●メンフィス・デパイ

バルサでチャビ就任以降明確に出番を失って移籍。それでも先季はクラブのトップスコアラーなんだけどね。可哀想だけどまあ巡り合わせです。レンタルかと思ったが完全移籍となった。価格は300万€と彼の格から考えると超格安。アトレティコからすれば当たればラッキー、外れてもほぼ確実に利益を出して売却できそうな取引である。

今季限りのグリーズマンの相棒を考えるなら電柱が良い、と何度も言ってきたが、つまりグリーズマンの相棒ではないのだろう。モラタと競合、というのも少し違ったイメージになる。ヘディングはわからないが相手DFを背負ってボールを受けるのが元々上手い選手であり、そういう用途が必要な試合は今後ありそうなので使い方次第ではジャストフィットも十分にあり得る。ちなみに裏抜けのイメージはあまりないんだがどうなんだ

何にせよ、スアレスなども同じことが言えるが、悔しい思いをして移籍してきた選手というのは大体期待できる。個人的に。そしてアトレティコはそういうメンタリティが合うクラブでしょう。まだトップレベルでやれることをバルサに見せつけるために、アトレティコを存分に利用してくれて構わない。アトレティコも今季大きな挫折を味わっている。お前とは気が合うかもな。一緒にCLに行こう。



●マット・ドハーティ

トッテナムの右SBといえばトリッピア!ということで期待したい。ウォルバーハンプトン時代すごかった!というご意見をいくつか頂戴しております。
182センチなのでどちらかというとカイル・ウォーカーなのかもしれない。どちらでも助かります

プレーしてる試合は3,4試合見たことがある気がする。プレミアのSBなので当たりに強く空中戦もこなし、足もまあまあ速かった記憶。トッテナムのサイドはそうじゃないとやっていけないだろうし。

31歳にして初めて英国圏を離れてプレーすることになるが、彼も今季終了までの短期契約ということでモチベーションはあるだろう。プレミアでも直近まで試合に出ていたのでコンディションも問題ないと思われる。
懸念点は、移籍経緯的におそらくシメオネの意向で獲られた選手ではなさそうという点で、まったくハマらない恐れはある。そもそも現状モリーナのコンディションに問題がないなら外す理由は一切なく、カップ戦も全部終わってラリーガ19試合しか残っていない現状を考えれば、別にモリーナが全試合フル出場しても驚きはない。よく頑張ったねくらいの話。なので状況は違えど先季のヴァスのように試されるチャンスすら少ない可能性は大いにある。ドライなことを言えば半年の契約だし、それでもアトレティコ側にデメリットが何もない点がどう作用するかだ。文句言うキャラじゃないことを祈る。ところで今のアトレティコに英語話者はいるんでしょうか。



●マテウス・クーニャ

大きな期待を背負ってやってきたブラジル人ストライカーは、1年半でアトレティコを去ることになった。顔はサッカー界のウィル・スミス。

スピードがあり相手を抜き去るドリブルもそれなりに持ち合わせ、カウンターは一人で真ん中を突っ切ってなぜかPAまで侵入できる不思議な能力を持っていた。いつも一生懸命。
しかしまあとにかくシュートが入らなかった。アテンプトが悪かったりワンタッチシュートが上手じゃなかったりしたが、点が取れないことによって試合終盤に投入されると"パスをください点を取らないとまずいんです"感が出過ぎてしまって、さらに苦しんでいた印象。一列降りて軽いノリで縦パスをぶつけてスペースに飛び込む、みたいな方が魅力が出やすいタイプで、実はスアレスの相棒をやってる時の方が特徴が出ていた気がする。
しかし今のメンバー編成的にその使い方は難しく、どうしてもモラタと競わなければならない。モラタは他に何もやらない試合でこそ点を取ったりする同級生に妬まれる優等生みたいなところがあるので、それが起用しやすさに繋がっていたのかもしれない。いつもあいつばっかりずるいよね。

しかしさすがブラジル人、という駆け引きも頻繁に見せており、特に21-22のCLグループリーグポルト戦。勝つしかない状況でカラスコが強烈な内股一本で一足先にオリンピックの切符を勝ち取りベンチに退いた(退場)大ピンチに、ここぞとばかりに相手SBのウェンデルとどっちボールのスローインなのかで微妙に揉めて肘打ち一閃を顔面にゲット。クリス・ロックも驚きのリアクションでレッドカードを引き出し、数的優位を解消してみせた。(※クリス・ロック→ウィル・スミスにビンタされた人)

プレミアリーグのスピード感についていくことができれば魅力を発揮できると思うので、精一杯頑張ってください。次のW杯は出られたら嬉しいな。プレミアで独走カウンターを外したらスポーツナビのニュースになるかもしれないので、楽しみにしてます。



●ジョアン・フェリックス

1億€の男はついにアトレティコを離れることとなった。思えばおれがアトレティコのマッチレビューを書き始めたのは彼が加入したシーズンであり、色んな思い出のある選手だ。

まず断っておくと、おれは移籍金やら何やらにたいして興味がない。当然、それを選手の評価に反映させることもない。なのでジョアン・フェリックスが"1億€に相応しい活躍であったか、また、1億€に相応しい能力を有しているか"を論じるつもりは一切ない。興味ない。
ただし、彼に世界トップクラスの高評価が与えられ、そういう目で見られるべき選手だったかと聞かれれば、答えはイエスだ。彼にはそれだけの魅力と、可能性の片鱗が見られた。プレー以外でも立ち居振る舞いが絵になり、ゴールパフォーマンスはかっこいい。そういう選手なのだろう。そもそも名前がかっこいい。主人公ネームすぎる。ロジャー・フェデラーに次ぐ主人公ネーム。

アトレティコでプレーした3年半は、決して満足のいくものではなかった。結果も不十分だろう。彼は、どうすべきであったか。それを本当は一本の記事にするべきだったのかなとも思う。それができるならやりたいなとも思った。実際に依頼もいただいた。ただ、彼の歩みを評価しようとした時に、どうしても主観中心になり、妄想が優先される。おれには書けないなあと思いお断りさせていただいた。その時から、なんとなく力不足を感じている。悔しいな。申し訳ないです。

まず、彼がどうするべきであったか。
ジョアン・フェリックスという選手のプレーを見た時に、そのスピードと、1stタッチの非凡な感覚。鋭い足の振りから弾丸のような軌道を描くフィニッシュは、天性を感じた。加入当初は背番号の通り、バルサへ移籍したグリーズマンの代わりという目で見られていたかもしれないが、あまりに異質。そして、どう触れたらよいかわからない不安定さがあった。
その不安定さは、今でも変わらないのかもしれない。継続的に数字を残すことはできず、試合に出続けると細かい負傷を繰り返した。守備能力、そして意欲は前任者と比べるレベルにもなく、ボールが来ないと不満そうに振る舞う姿は、アトレティコをどうしてしまうのかという不安があった。もしかするとシメオネも、そういう危うさを感じていたのではないか。

チームのスタイルには、間違いなくフィットしていなかった。アトレティコはそもそも得意ではないネガティブトランジションを一から再構築している最中であり、高い位置でボールを奪ってショートカウンター、という彼の爆発的なスピードと閃きを発揮できる場面は限定的だった。ほぼなかったと言っていい。それにプラスして、チームは3バックへの変更、エルモソやカラスコを軸としたサイドからの侵入、ジョレンテとコレアのコンビネーションでチャンネルを攻略するアタックなど、フェリックスのクオリティをいかに発揮するかとは別のベクトルでチームが再構築されては振り出しに戻る、非常に難しい時期であった。幅広い戦術への対応力があるわけではなく、ついでに対応するつもりも特にないフェリックスは序列が上がるわけもなく、コレアや復帰したグリーズマンが優先されていくに至った。最近たまに言っている全方向性ってやつです

ラリーガの戦いでは、守りを固める相手をいかに崩すか、というのが国内の強豪クラブであるアトレティコの命題である。フェリックスはここで存在感を発揮できなかったことが、決定的に立場を悪くさせた印象がある。

まず、足を止めた状態からの1vs1で相手を振り切ることができない。これは、ブロック守備を崩す上で致命的であった。そのスピードとキレを生かすには十分な助走が必要で、全速力でPAへ飛び込む(ジョレンテの高速クロスに合わせるなど)、スピードを持ってライン間に侵入し、そこでボールを受けて一気に突き抜けるような場面以外、存在感を発揮することはできなかった。
問題となったのは、フェリックス自身にその認識があまりなかったことだろう。足下でボールを受けてドリブルを開始しても相手DFを抜ききれない、奪われても再奪回を狙う態度に欠点がある。という箇所は一切改善されることはなかった。それが一番得意なカラスコとの差は明確であり、同時に起用された時のお互いの所在の無さはチームに悪影響だった。


良い時期もあった。21-22シーズン終盤のCL決勝トーナメント付近。国内では連戦連勝で来季のCL圏内確保濃厚、CLではユナイテッドを撃ち破りベスト8、シティとも2戦合計0-1の戦いを見せることができた。

あの時期、フェリックスは間違いなくチームの中心であった。エクトル・エレーラシステムと名付けた4-4-2のボール保持の仕組みの中で、前線でグリーズマンと共にトランジションの逃げ道となり、ロングカウンターでジョレンテとのコンビで圧倒的なスピードを見せ、ゴールを陥れた。
チームのプレスパターンも確立され、センターサークル付近でボールを奪えばエレーラとコケがフリーの自分にボールを預けてくれる確信から、守備への切替も有機的に機能していた。フェリックスが一番輝いていた時期だろう。しかしこのシステムは継続されることはなかった。詳しくは別記事を参照いただきたいが、そもそもが怪我人が多くてこれしかやりようがなかった苦肉のシステムであり、エレーラも退団が決まっていた。一時的なものだ。

その後の戦術変更にも、フェリックスは上手に対応することができなかった。夏にはモラタが加入し、シメオネはグリーズマンとモラタのコンビを選択。フェリックスは移籍を決断した。


その天賦の才を生かす手段とはなんだったのか。おれはいまだに答えを得ることができていない。というより、答えを探す気持ちがないのかもしれない。
その理由は、チームより選手を優先することなどあってはならないからだ。これは、シメオネも同じ気持ちのはずだ。
つまり、フェリックスを生かす戦術など存在しない。もちろん配置上、システム上フェリックスを生かす形やパターンは存在するだろう。ただ、フェリックスを活躍させるために周囲が気を使うことなど、あってはならない。選手は、チームの勝利に対して気を使うべきであり、そのために個々の能力を発揮するのだ。スラムダンクにもそう書いてあった。

フェリックスは、"アトレティコ・マドリーという枠組みの中でチームを助けることができなかった"。それは監督が変わればどうとか、そういう問題とは少し違うんじゃないかな。だから、出ていく。もっと活躍できる場を探して。それがフットボールの世界でしょう。このスポーツには、100個のチームがあれば100種類のストライカーがいて、100種類のサイドバックのタスクがあるのだから。

チェルシーにその場があることを、心から願っている。嘘っぽく聞こえるよね。それでもいいです。わかる人にだけわかってもらえれば。
おれはフェリックスという選手を褒めたことがほとんどない。それは自覚している。それは、"チームを助けられてないよ"と思っていたから。まだまだ足りないと思っていたし、ずっと足りなかった。周りはフェリックスを生かす方法を考えていた。おれはそんなチームは、違うと思う。
チェルシーへの加入初戦ではトランジションで、球際のフリックでスタンドを沸かせていた。動画にまとめられていた。センセーショナルであると。
見てみた。いつも通りだ。そんなの毎週やってたよ。アトレティは3年半みんな見てきた。ずっと見ていた。ずっと期待していた。もっと良くなる。いつかこのクラブを根っこから変えてしまう選手になれると確信していた。

残念だ。だけど止まらず駆け上がってほしい。赤白を着たことを嫌な思い出にしないでほしいなと願っている。不器用な監督だけど、きっと君がスターになれるように毎日考えていたと思うよ。アトレティコはアトレティコで、もう一度CLに戻れるように努力している。フェリックスもたどり着いてほしい。欧州の頂点で、また会えるといいね。ありがとう。君がいるクラブをレビューし続けられたことを誇りに思います。



●フェリペ

頼りになる巨人はプレミアリーグへ旅立った。ポルトから加入し3シーズン半、最終ラインを支えた。特に20-21シーズンは3CBの真ん中でスタメンを掴み、ラリーガ優勝に大きく貢献。ヘディングがとにかく強く地上戦も強く、勇気を持ってボールに飛び出す判断力が魅力だった。
その後はビルドアップの都合や3バックと4バックを転々とするチーム事情もあり、あくまでもサヴィッチとヒメネスのバックアップという立場を脱せず、出場機会を失っていった。とはいえ、すぐ怪我して退場するサヴィッチやヒメネスより信頼できると感じているファンも多いと思う。おれもまあまあそう思う。CKでも頼りになった。

おれはアトレティコのCBについて古風な考えを持っており、やはり筋骨隆々で無骨な不器用マッチョマンであるべきだ、みたいな考えがある。フェリペはそのイメージにぴったりだった。
プレミアリーグでもまだまだやれると思うし、もしかしたらラリーガよりも特徴が生きるかもね。思いっきりやってきてほしい。ありがとう。





以上だ。戦いは続く。
移籍市場を総括し、アトレティコの動きはどんな印象ですかと聞かれれば、みんなもちろん答えは一つだよね?






"ヘタフェ"


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