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残酷な週末 20節 アトレティコvsヘタフェ(H) 2023.2.4

冬の移籍市場がクローズ。アトレティコの動きはこちらの記事

ラリーガは折り返して後半戦。開幕と同じカードとなったヘタフェ戦。開幕戦はこちらから

ちなみに日程の決め方はよくわからないけどこの試合の他にジローナvsバレンシアも開幕戦と同じカード。両方とも最近気にしてるチームだから見ようかな。バレンシアはガットゥーゾが解任。

さてヘタフェ。先季と同様にキケ・サンチェス・フローレス監督が作り出す5パックのブロックを軸にまずは守備の安定から入るチームだ。今季は監督好みの補強もそれなりに加えている印象だったが、ここのところ4連敗と苦戦。4勝5分10敗は降格圏の19位。16得点と点を取る作業に苦戦している。とはいえ先季も33得点で残留しているのでシンプルに残留争いのライバル達のレベルが高いなという印象もある。後方を固めてカウンターワンチャンスで切り崩せるような相手がいない。先季16得点でチーム総得点のほぼ半分をあげていたエネス・ウナルはここまで5得点。後半戦で先季が確変ではなかったことを証明できるだろうか。


●スタメン
・アトレティコ
オブラク
モリーナ / サヴィッチ / エルモソ / ヘイニウド
デ・パウル / コケ / ルマル
グリーズマン / コレア / モラタ

最近の試合通りのメンツ。CBはヒメネスではなくサヴィッチ。モラタがトップに入る。
新加入マット・ドハーティも無事ベンチ入り。

・ヘタフェ
ソリア
ポルトゥ / ジェネ / アルデレーテ / ドゥアルテ / アルバレス
アランバーリ / ルイス・ミジャ / アレニャ
マジョラル / エネス・ウナル

WBが両方とも攻撃シフトに見える組み合わせ。ちなみにポルトゥは左をやる日もあります。おれのアランバーリが7節以来復帰。3CHの中央に入った。




●前半
開始早々ジェネにイエローカードが出る不穏な雰囲気で試合開始。累積5枚目。

ヘタフェは前節と違いシンプルな5-3-2ブロック。アトレティコ相手ならこの方が良いと思われる。最近のアトレティコは5-4ブロック相手には最終ラインを一枚だけ後ろに残してゴリゴリに押し上げてくるので2トップで牽制しておいた方が良さそう。

一方のアトレティコは、もっと腕力で突き進むような選択を前半からやるかと予想したが割と普段通りに入った。腕力キャラのジョレンテが怪我明けでまだスタメンは難しかったのでエンジンを掛けるタイミングを後半にズラしているのかもしれない。
この日はグリーズマンが左側に降りて来ながらボールを進めていく。ルマルが右WBのポルトゥを引きつけておいてジェネの手前でグリーズマンと、外側にヘイニウド。何かが起こせそうで何も起こせない形に終始した。これならスタートからカラスコでも良かった気もするが、納得感はある。どっかでまとめる。たぶん

ルマルは前節同様、押し込んでヘイニウドが大外を上がってきたらタスクから解放してフリーマン化する。この日も右ポケットを取りに行くプレーもあったが、効果的でしたかと問われれば別にそんなこともなく。彼は止まってるよりは動いていた方がいいですくらいの話で、特に何もなかった。やっぱりフリーマンにして利益が多い選手ってけっこう限られるよねというお話。

非保持。ヘタフェ相手なら両WBをどのように監視するかをポイントに置きたい。その通りに守った。

まずコレア、モラタ、グリーズマンの3人が相手のCB3枚と対面する。WBにはモリーナとルマルがくっついていく。これは、相手が高い位置まで出てくればルマルは最終ラインに吸収されてでもついていくという意味と、相手が低い位置までボールを触りに行ったらモリーナは前に飛び立つという意味と両方。縦挙動にしっかりお付き合いしましょうねという約束で守る。
こういうのって、みんな"それは4バックなの?3バックってこと?5バックではないの?"みたいなことに興味ありますか?ちなみにおれはありません。「こういう形で守ってます」というだけの話なので。

続けます。後方は3枚で相手2トップを監視しつつ、デ・パウルとコケの2人で真ん中はどうにかしなさいという設定。中盤は雑なように見えて国内の試合でこの2人でどうにかならないパターンはそんなにないのでこれでいいんです。ヤバそうだったらデ・パウルが誰か呼んでどうにかするでしょ。この日に限らずこの2人はそもそもキモいくらい無理ができる前提。なんならデ・パウルが相手CB捕まえに行って間を通されてピンチみたいなのが前半にあった。リスクの考え方が常人離れしすぎてて不安になるがそれでも守れるという認識が彼にはあるようなのでいいんでしょう。ちなみにこの日は全体的に出足があまりよくなかったね、全員。

そんな中、一試合休んだサヴィッチのコンディションは抜群に良く、エネス・ウナルに全く仕事をさせない見事な働き。前半のヘタフェはPA付近で得たフリーキック以外はほぼ何もできずに45分を終えている。


●前半終了
さて、ヘタフェ相手に非保持で圧倒したところで誰も褒めてくれないのは当然のこと。これは19位相手のホームゲームである。

得点に至る手数が少なかったのはスタメンを見たらわかる通りで、だからこそもうちょっと腕力を、と思ってしまったがシメオネは安定を優先させた。"長期的に見て安定が優先"ということなのでしょう。実験は無し。

ところで全試合見ているわけではないがヘタフェは最近見ている試合に比べると撤退のバランスやら中央のルーズボールの奪い合いが良かった。単純にアランバーリが戻ってきたからと評価していいのでないでしょうか。一方アレニャが全然ボールに関われなかったのはなぜでしょうね。不思議なくらい消えていた印象。


●後半
両者選手交代なしで後半。
アトレティコは配置は変えていないがモリーナの位置を高くし、サイドチェンジなども使って無理やり右サイドから進む形を増やしている。これは攻撃にいくためにSBを押し出したというよりは最近よく言っているトランジションを誘発させるためのペースアップ、そして試行回数の増加が目的と思われる。もうこの考え方がないと今のアトレティコが何してんのか全くわからない気がしてきた。いつかまとめる。

アトレティコの先制点は60分、この日5本目のCK。キッカーをモリーナに替えて、先季一時期やっていたニアに密集を作って突っ込む形をやり、跳ね返されたがルマルがどフリーで強振。こぼれ玉をコレアがめちゃくちゃ上手く押し込んだ。どう見てもオフサイドかと思ったがVARチェックでゴールが認められた。わからんものだな。

このプレーの後コレアは既にベンチに下がっており、
ゴール→オフサイド→コレア選手交代→VAR介入でオフサイド取消、ゴール判定→ベンチで大喜び
という非常に珍しい形に。なんにせよ先制した。チャンスメイクを増やそうとしてセットプレーを得て先制。いいと思いますよ。

交代はコレア&ルマル→ジョレンテ&カラスコ。明らかにソリッドに行こうという交代カード2枚。試合展開は特に変わらず、カラスコはルマルがやっていたポルトゥ番をそのまま継続。

対するヘタフェの選手交代が中盤の3枚だったのは興味深い。特にアランバーリ→ムニル・エル・ハダディの交代で5-3-2が緩やかに5-2-3(5-4-1)に変わっており、徐々にサイドからクロスを入れる形が増えていった。ちなみにおれはムニルがだいぶ好きです。そしてアランバーリがいなくなるならアトレティコの攻撃は真ん中に寄せたかったし、アトレティコがWGを入れたからアランバーリを下げられるという判断だったのかもしれないし、どうでしょうね。
一方のアトレティコはサウルを入れて中央の強度を補完。大外を抉ろうとするヘタフェに対応するためには4-5-1にできるような配員をした。

これは非常に合理的だったように思うが、ヘタフェも左WBのガストン・アルバレスをしつこく使い、ファーのボルハ・マジョラルを狙ったクロスでサウルの腕にボールが当たってしまい、PK献上。4-5-1じゃなかったのかもしれない。このPKをまたもエネス・ウナルに決められて同点に。

終盤はカラスコやらジョレンテが一気にぶっちぎるシーンを何度か作れたもののネットは揺らせず、ヘタフェが粘り切った。


●試合結果
ホームで失望感の方が大きいドロー。ゴールへの道筋に説得力が薄く、じゃあジョレンテとカラスコですよねという選手交代の直前に先制点が入り、盤面のバランスとは無関係にクローズへと傾いていった不思議な試合となった。

アトレティコから見れば失点のリスクがほぼゼロに等しい試合内容で、ハンドで与えたPKで3ポイントを逃したのは痛恨の極みでもやもやが残りまくる試合になってしまった。残念。イライラするよねこういうの。
ヘタフェ目線で見ると今季ずっと、もっと言えば先季キケ・サンチェス・フローレスが就任してからずっとこういうサッカーをしている。
5-3のブロックを維持して攻撃はあくまでもボールを奪った後の話。両WBを使う長いボールで敵陣深くに押し込み、得点の選択肢は主にクロスから。セットプレーを生かしてポイントを拾う。そんなサッカーがずっと出来ていて、今季は不調が長いがそれでもずっとプラン通りに戦えているチームで、この日もアウェーで1ポイント取るためにいつものサッカーをやったに過ぎない。なので残念だが別に驚きはなかった。アトレティコははやく2点目が取れたら良かったねとか言いたいことは山ほどあるが。カラスコがチャンスを逃したとか色々あるが。サッカーは残酷ですねえ。

一つ指摘したいのは、失点時のアトレティコは4-5-1ではなかったのか?という点で、おれは絶対両サイドに2人ずつ守備者を置くべきだったと思う。右はモリーナ&ジョレンテで左はヘイニウド&カラスコ。が、ハンドを取られたシーンがまさにそうだがガストン・アルバレスに簡単にモリーナと1vs1を作られた。他にも2回くらいあったよな。
つまりシメオネのサウル投入は別に4-5-1ではないですよという話なのか、脳筋ジョレンテが警戒すべき箇所を理解できていなかったのか。どっちでしょう。ジョレンテはポジトラの先頭を走ることを優先しているような立ち位置に見えることが多かったが。これはベンチの指示があったか当人の判断だったか。ここだけは腑に落ちない試合であった。

そして、幸いなのか残酷なのかわからんがビジャレアルもベティスも負けました。マドリーも負けたしソシエダも負けた。サッカーの神様は気まぐれである。なんとこの結果で5位との勝ち点差を4ポイントに広げるに至った。3位との差も4ポイントに迫った。なんだこれ
上も下もさらに魔境感が増してきた今季のラリーガ。さて、戦いは続く。

最後に、ヘタフェの残留のカギを握るのは引き続きWBだと思うので、ポルトゥは軽傷であることを願う。


2/4
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 1-1 ヘタフェ
得点者
【アトレティコ】'60 コレア
【ヘタフェ】'83 エネス・ウナル(PK)


●ピックアップ選手
サヴィッチ
コンディションが良く身体がキレていた。パスミスはいくつかあったが持ち運びも良かった。そろそろ休みながら使った方が良い感じなのでしょうか

コレア
いつも以上にボールタッチ回数が多くチャンスメイクも多め。彼の日じゃないかなあと思ったところでこぼれ球に右足一閃。難しいシュートに限ってちゃんと入る彼らしい一発。交代済でベンチで祝福を受けた。

サウル
味方がボールを失うのを事前にわかっているような理解不能の切替スピードはこの日も健在。ハンドはしゃーない

メンフィス
スクランブル投入。ゴール前でボールが来る位置によくいるなという印象。あんまりボールが足に付いていない印象だったが試合勘とかそういうのはさっさと調整してください

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