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勝手にラリーガアワード 優秀選手賞23-24

この時期がやってまいりました。勝手にラリーガアワード、優秀選手賞の発表です。
全て独断と偏見、選考基準なし。「お前この試合見てないだろ!」とか知らん。見てない。おれが決める。

過去の記事はこちら

20-21シーズン
21-22シーズン
22-23シーズン

では恒例の3強のベストイレブンから。

マドリーだらけ。別にCBはリュディガーでもいいです
え?アトレティコ4位のくせに3強に入るんですか?何様のつもりですか?と思ったあなた。じゃあジローナから一人も選ばなくていいんですか?駄目ですね。いきましょう。受賞者26人を発表します。
※選手の年齢はシーズンが終了した2024年5月26日時点



GK

●ウナイ・シモン/アトレティック(26歳🇪🇸)
☆3年ぶり2度目
ラリーガ:36試合(スタメン36試合)33失点
国王杯:出場なし

代表の守護神を3年ぶりに選出。好調のチーム同様シモンも調子が良くクリーンシート16回はリーグ単独トップ。PK3本セーブもママルダシュヴィリと並んで最多。広い守備範囲と正確なキックも健在でパス成功数、ボールタッチ数は共にキャリアハイを記録。チームのスタイルをリードした。


●アレックス・レミーロ/ソシエダ(29歳🇪🇸)
☆3年連続3度目
ラリーガ:37試合(スタメン36試合)36失点
国王杯:4試合(スタメン4試合)2失点
CL:8試合(スタメン8試合)6得点

3年連続の選出。今季も安定感抜群だった。チームの調子は上がらなかったがスタッツも先季までと凡そ変わらない。自身初挑戦だったCLでも4度のクリーンシートと存在感を出し、インテルを退けてのグループステージ首位通過に貢献した。クラブは目標を達成できたシーズンとは言えなかったがレミーロの評価は普遍。


●アルバロ・バジェス/ラス・パルマス(26歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:37試合(スタメン37試合)44失点
国王杯:出場なし

プリメーラ初挑戦となったラス・パルマスの守護神。とんでもないビルドアップ性能を発揮した。パス成功数1546本はGKでは圧倒的1位。なんとイバン・マルティン(ジローナ)より多い。ちなみにGKで2番目はジローナのガッサニガで1094本。
桁違いのテクニックと技術がチーム戦術にジャストフィットしている。セーブ率も上々。
ビルドアップにも共通するところだがPA外での守備機会が96回でこれも断トツ1位。2位が62回なので異常性がよくわかる(3位は54回)。ノイアーみたいなプレースタイル。開幕前と比べると市場価値も15倍に爆上げした。今季のラリーガを盛り上げた立役者の一人。



DF

●ダニ・ビビアン/アトレティック(24歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:33試合(スタメン31試合)0得点
国王杯:7試合(スタメン6試合)0得点

イニゴ・マルティネスが移籍しジェライ・アルバレスが故障がちだったトップチーム3季目、ついにDFリーダーの立場を確立した。スペイン代表にも初選出。人に強くてミスをしない。少ない人数でカウンターに晒される機会の多いチーム構造だが、彼がいてこそ成り立つ部分も多い。アトレティックは伝統的に無骨でマッチョなCBが常にいる印象で、ビビアンはその系譜のど真ん中を突き進む。来季は欧州の舞台でさらに自身の価値を高められるか。


●ヘルマン・ペッセッラ/ベティス(32歳🇦🇷)
☆初選出
ラリーガ:32試合(スタメン32試合)1得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)0得点
EL:6試合(スタメン6試合)0得点
ECL:1試合(スタメン1試合)0得点

変なミスをする、すぐ退場するで話題(イメージです)のベティスCB勢の象徴的な存在だったが先季後半から人が変わったように安定感を手にした。W杯優勝効果と言い続けているが真偽は定かではない。リーベルプレート出身で、2011年にトップチームデューしているので2部に落ちていた苦しい時期を知っている選手である。たぶん。
最近はビルドアップでも落ち着いた雰囲気が出ており、油が乗り切っている感がある。チームも世代交代のタイミングなのでこの良い時期を継続しながらリードして欲しいところ。


●デイリー・ブリント/ジローナ(34歳🇳🇱)
☆初選出
ラリーガ:34試合(スタメン33試合)1得点
国王杯:3試合(スタメン2試合)2得点

アヤックスのレジェンドはそういえばバイエルン行ってましたね、という印象だが今季ジローナへ移籍。ビルドアップの中心となりチームを支え、新しい挑戦を楽しんだ。カウンター対応で詰むんじゃないかと思ったが往年のベテラン力で何とか乗り切っている。別に若い頃から足速くなかったしな。個人的にはラリーガ全体がもっと"CBに対人強度がないと無理ですよ"という環境になってほしい気持ちはある。
ジローナは若いチームなのでおそらく彼が離脱していたら色々なところに無理があっただろう。24〜27節を欠場した時に同じくベテランのフアンペが穴を埋めていたのも良かった。
ほぼ全員がCLを経験した事のないチームだ。来季も大きな挑戦となる。キャリアの晩年にもう一花咲かせてほしい。


●ヤン・コウト/ジローナ(21歳🇧🇷)
☆初選出
ラリーガ:34試合(スタメン24試合)1得点
国王杯:5試合(スタメン1試合)1得点

ピンクの頭がトレードマークのブラジル人。ジローナでプレーするのは合計3季目となるがSBとしてもWGとしても大きく評価を高めるシーズンとなった。スピードを活かした縦突破と上下動、対人能力はまさにブラジル人のサイドプレイヤーで、いつの時代もどこのクラブもが必要としているタイプの選手。彼自身チャレンジを楽しみながらライバルとポジションを争い、特徴を発揮していく姿を見ているのは楽しかった。印象に残ったのは24節マドリー戦(0-4敗戦)でボコボコにされていて試合後に泣いていた姿。まだまだ階段を登れる選手だ。夏のコパアメリカを通じてさらに成長した姿を見たい。


●オスカル・ミンゲサ/セルタ(24歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:38試合(スタメン33試合)2得点
国王杯:3試合(スタメン1試合)0得点

もはやDFなのかどうかもわからないがセルタ2シーズン目でさらに躍動。WBというよりSHに近いポジションで攻撃に特徴を出した。持ち前の技術とゴール前に入った時のFWタスクという長所に引っ張られると守備もそんなに悪くないように見えてくるから不思議だ。足も速い。高精度のアーリークロスをチラつかせながらワンツーを使って背後を取っての高速クロスは再現性がある。セットプレーやパワープレーでは本職CBの高さを活かせるのもお得なポイント。今季は38試合全てに出場するタフさも見せた。


●ユーリ・ベルチチェ/アトレティック(34歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:27試合(スタメン22試合)3得点
国王杯:6試合(スタメン5試合)0得点

加入6シーズン目。そういえばパリにいたんでしたっけね。アトレティックでは大きな怪我も経験したが、今季はスタメンとしてシーズンを通して活躍した。ハートと勇気を持っていて人に強く、ボールに強い。セットプレーでも期待できる。90分間の上下動を繰り返す彼の能力にチームは大きく依存した。
チームは来季ELに挑戦するが、彼自身欧州の経験はパリ時代のCL2試合のみ。ちなみにRound16のマドリー戦だった。バックアップなしで臨むのはかなり不安があるがどうにか上手くいって欲しい。


●セルジ・カルドナ/ラス・パルマス(24歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:35試合(スタメン30試合)1得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)0得点

左サイドでフルシーズンプレーしたファイター。サイズとスピードに優れて1vs1の能力を前面に押し出した。大外の突破と被カウンター対応で特徴を出し、攻守でカギを握る選手。でかいのでクロス対応でも貢献した。攻撃ではポケット侵入とマイナスの折り返しが良かった。
カードを貰いすぎるところがあり(11枚)定期的にお休みするが、某CLクラブの補強ポイントにジャストミートな事は事実である。ステップアップがあるか。



MF

●アレイシ・ガルシア/ジローナ(26歳🇪🇸)
☆2年連続2度目
ラリーガ:37試合(スタメン36試合)3得点
国王杯:3試合(スタメン1試合)0得点

大躍進を果たしたジローナの最重要選手としてキャリアベストのシーズンを過ごした。そもそもオリオル・ロメウ(→バルサ)がいなくなりアンカーポジションはアレイシ・ガルシアで大丈夫なのか?という状態で始まったシーズンだったがボールを握り倒すスタイルにイバン・マルティンという相棒を得て司令塔の立場を確立。パス成功数は先季の1370本の倍近いリーグ2位の2567本(87.5%)を記録した。ポジションを下げたにも関わらずG+Aでキャリアハイの9点を記録。高精度のキックはセットプレーでも真価を発揮しスペイン代表デビューも果たした。


●キリアン・ロドリゲス/ラス・パルマス(28歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:37試合(スタメン36試合)6得点
国王杯:1試合(スタメン0試合)0得点

カナリア諸島出身でラス・パスマス一筋、プリメーラ初挑戦の28歳は遅ればせながら世界に自己紹介するシーズンとなった。
バルサに次ぐ59.2%の保持率を誇るチームの中心で今季ラリーガ最多の2705本(88.3%)のパスを成功させている。ちなみにこれはデータのある17-18シーズン以降で最多のフレンキー・デ・ヨング(20-21シーズン)の2575本を超える数字。
ゴール前に顔を出して得点を取る事でも結果を出し、セグンダ時代の21-22シーズンの5ゴールを上回るキャリアハイの6ゴール。6節グラナダ戦(1-0)、12節アトレティコ戦(2-1)、16節アラベス戦(1-0)は明確にチームを勝たせたゴール。全MFのお手本になれる選手。


●ダニエル・パレホ/ビジャレアル(35歳🇪🇸)
☆3年連続3度目
ラリーガ:33試合(スタメン29試合)3得点
国王杯:2試合(スタメン2試合)0得点
EL:7試合(スタメン4試合)1得点

クラブは苦しいシーズンだったがパレホは普遍。中盤に君臨してパスを通し続けた。むしろチームがなかなかボールを握って試合を支配できないシーズンだった事を考えたら凄い活躍だった気もする。
今季大幅に減ったのはラストサードでのボールタッチで、これはチーム状況や4-4-2に変わった事に由来すると考えても良さそう。結果としてシュート数も減っている。
ただしパレホの良いところは守備強度を担保できる事で、これがチームが負け始めても監督が変わっても変わらずスタメンフル出場を続けられる要因である。今季も全コンペティションでフィールドプレイヤーではチーム最長のプレータイム(3236分)。大ベテランの域に入ったがあまり衰えるイメージが湧かない。


●イバン・マルティン/ジローナ(25歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:36試合(スタメン33試合)5得点
国王杯:4試合(スタメン2試合)0得点

プリメーラ初挑戦だった先季もそれなりのパフォーマンスを見せていたが、今季一気に開花。アレイシ・ガルシアの相棒として止める蹴るの完全究極体に近づいた。パス成功率(91.3%)はトニ・クロース(91.5%)に迫る。スペースを見つけて広範囲に動き回りパスコンタクトを繰り返すプレーが相棒のロングキックを呼び出し、自身もライン間に入り込んで得点に関与した。これがビジャレアルからの移籍金€2.0mなのだから堪らない。この一年で実質ミチェルのサッカーのキーマンとなった。欠場した2試合はどちらも負けているという良いデータを見つけたが、マドリー戦とアトレティコ戦だったのであまり説得力はないかもしれない。
デラフエンテ体制ではU-18とU-19代表に選出歴がある。次なる目標はA代表だ。


●イニゴ・ルイス・デ・ガラレタ/アトレティック(30歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:29試合(スタメン25試合)1得点
国王杯:6試合(スタメン3試合)0得点

ミランデス、サラゴサ、レガネス、ヌマンシア、バルサB、ラス・パルマス、マジョルカと渡り歩いた苦労人がついに古巣に帰ってきたシーズン。彼の凄いところはそのほとんどのクラブでレギュラーの座を勝ち取りプレーしてきた事である。
21-22シーズンには前十字靭帯損傷の大怪我も経験した。復帰した先季は大車輪の働きでマジョルカを9位まで押し上げる原動力となり、迎えた今季、アトレティックの中盤で機動力と強いハートを全面に押し出した彼らしいプレーを披露。実力者揃いのチームでもバルベルデから揺るぎない信頼を得た。19節セビージャ戦では嬉しいプリメーラ初得点も決めている。国王杯優勝も経験し、特別なシーズンとなった。キャリアの大半を2部で過ごしてきた男はついに欧州の舞台に初挑戦する。キャリア最大のチャレンジを楽しんでほしい。


●ネマニャ・マクシモヴィッチ/ヘタフェ(29歳🇷🇸)
☆初選出
ラリーガ:37試合(スタメン37試合)4得点
国王杯:3試合(スタメン2試合)0得点

加入6年目、故障を知らないセルビアの鉄人MFはいつもデカくて強い。おそらくボルダラスが彼の事を世界で一番上手く扱える。中盤のフィルター役でありながらプレスの急先鋒として使い、さらにロングボールの的として使い、複数タスクを与えられて活躍した。4バックでも5バックでも中盤中央に彼を置く事でバランスが取られたのはモウリーニョにとってのマティッチのような存在で、セルビアにはこういう選手が多い。そういえば名前も同じ。
高い位置に出ていく意識は得点機を産み、今季はキャリアハイの4得点。先季ギリギリ残留だったクラブの躍進に大貢献した。
個人的にはジローナ勢の次に選出を決めていた。文句無しで今シーズンの主役。母国近くでのプレーを希望し、来季はパナシナイコスへの移籍が決まっている。


●ペペル/バレンシア(25歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:37試合(スタメン37試合)7得点
国王杯:2試合(スタメン2試合)1得点

同じ町のクラブであるレバンテで育った大型MF。先季はセグンダでもフルシーズンプレーしたが昇格は叶わずバレンシアへ移籍。36節のソシエダ戦でメンバー外となるまで全試合にスタメン出場した。フル出場33試合含む37試合出場、欠損118分はプリメーラの全フィールドプレイヤーの中でフロリアン・ルジュン(ラージョ)に次ぐプレータイム。
人の入れ替わりが多く粗が多いチームにおいてオールラウンドな能力が最大限に発揮され、中盤で大車輪の働きをした。あらゆるボールの循環がペペルを経由し、今季のパス成功数は1670本でこれは3強、ジローナ、ラス・パルマス以外の選手では最多だった。ちなみにこれも次にいるのはルジュン。
あまりイメージがなかったがPKが上手く7本全てを決めている。新しいスペインのマエストロになれる選手。


●久保建英/ソシエダ(22歳🇯🇵)
☆2年連続2度目
ラリーガ:30試合(スタメン24試合)7得点
国王杯:3試合(スタメン2試合)0得点
CL:8試合(スタメン7試合)0得点

CL初挑戦となった今季も右WGで違いを作った。妙にプレータイムが制限されていたような気もするが変わらず中心選手だった。序盤は得点もハイペースだったが年始のアジアカップ招集以降はペースダウン。先季の9ゴールを下回ったのは本意ではないはず。
当然通用する自信は持っていたはずだがCLでも普段通りだったのは良かった。インテル戦しか見ていないが狭いスペースでボールを受ける能力も対人で振り切る能力もこの舞台でも十分通用していた。
準決勝でマジョルカに敗れた国王杯も含め本人の望む結果が得られなかった事は間違いなく、来季はCLも出られない。残留するにしても実は重要な決断をする夏になるのかもしれない。


●イスコ/ベティス(32歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:29試合(スタメン28試合)8得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)0得点
EL:6試合(スタメン3試合)1得点
ECL:出場なし

今季のラリーガの顔の一人だった。9年在籍したマドリーを離れた先季、セビージャで思うようにプレーできずベティスに辿り着いた。セルヒオ・カナレスの移籍、ナビル・フェキルの怪我で攻撃をリードするトップ下を必要としていたチームとペジェグリーニの要求にジャストフィット。ビルドアップと侵入をリードしながら真骨頂であるラストサードのアイディアを提供し続けた。得点機創出は1試合平均6.03回でリーグトップ。まさに司令塔。セットプレーでも多数のチャンスメイクをした。そもそも自分でファールをもらえる。ようやく必要とされる場所でプレーできているのは見ている側も嬉しい。毎週MOMだったね。ハイライトを見るだけでも楽しい選手。
通年で起用すると結構カードをもらう事も判明し10枚のイエローを収集した。これも断トツでキャリアハイ。最後は36節ラス・パルマス戦で踵を骨折してシーズン終了。ゆっくり休んで戻ってきてほしい。



FW

●アルテム・ドフビク/ジローナ(26歳🇺🇦)
☆初選出
ラリーガ:36試合(スタメン32試合)24得点
国王杯:3試合(スタメン0試合)0得点

安心安全のウクライナ産。18歳でドニプロと契約してウクライナ・プレミアリーグの最優秀若手選手賞を受賞するなどしているがその後デンマークに移籍しているので結構苦労人なのかもしれない。2020年にドニプロに戻って得点王になり、今季満を持して5大リーグ挑戦となった。
ゴール前に君臨する電柱を必要とするチームで役割を果たし、9節までに3得点と上々のスタートを切るとそこから一気にペースアップ。10節アルメリア戦で初の2ゴールを決めると18節までに11得点で得点王争いに顔を出す。21節セビージャ戦のハットトリックを最後に得点が止まったが、シーズン終盤の30節ベティス戦から5戦連発。20得点一番乗りで、最終節グラナダ戦のハットトリックで仕上げ。一度はスルロットに逆転されたが結局24ゴールで得点王となった。マドリー、バルサ以外からの得点王は08-09シーズンのディエゴ・フォルラン(アトレティコ)以来。3強以外からとなるとその前年のダニ・グイサ(マジョルカ)以来となる。ラリーガ全体に目を向けてもこういったフィジカル能力とゴール前の説得力があるストライカーは大歓迎。来季はCLに挑む。


●ゴルカ・グルセタ/アトレティック(27歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:32試合(スタメン30試合)14得点
国王杯:4試合(スタメン4試合)2得点

イニャキとニコをWGに固定するためにはストライカーがどうしても必要だったアトレティック。グルセタの進化がそのままチームの底上げに繋がった。プリメーラ通算6得点でしかない27歳に期待するしかなかったのはこのクラブ特有の環境だが、それでこういう選手が産まれるのもまたこのクラブ特有。ワンタッチシュートがとにかく上手く、良いクロスがバンバン上がってくるチームではそれだけでも十分な能力であった。しかしスランプ無しでシーズンを駆け抜けたのは彼自身の強さ。国王杯でもバルサ、アトレティコからゴールを決めて優勝に大きく貢献している。フィジカル能力と献身性を併せ持つ姿はまさにアトレティックのストライカー。エースとしてELに挑戦する。


●ボルハ・マジョラル/ヘタフェ(27歳🇪🇸)
☆初選出
ラリーガ:27試合(スタメン25試合)15得点
国王杯:4試合(スタメン2試合)2得点

先季14点決めたエネス・ウナルの相棒として8ゴール。そのウナルがいなくなった今季は得点源となる事が期待されてはいたが、突然15点取った。ボルダラスもここまでは期待していなかったのではないか。
ラタサやハイメ・マタとコンビを組む事が多く、電柱の周囲を動き回る衛星でありながらグリーンウッドを活かすためにクロスの的としても機能し、ゴール前で多彩さを発揮した。
15ゴール以上の選手ではベリンガムに次ぐ53.5%の枠内シュート率で、そもそもシュート数がこのクラスでは圧倒的に少ない(43本)。出場試合が多くない事もあるが90分平均シュート数で見ても一番少ない(1.80本)。少ないチャンスを確実に得点に繋げていたと言える。マドリー出身の流浪のストライカーがついに点取り屋として名を上げたシーズンだった。


●イニャキ・ウィリアムズ/アトレティック(29歳🇪🇸🇬🇭)
☆3年連続3度目
ラリーガ:34試合(スタメン32試合)12得点
国王杯:5試合(スタメン3試合)2得点

テクニカルな弟に目が行きがちだが真っ直ぐ走ったら圧倒的に兄が速い。今季は右WGに固定。ゴール前のプレーに磨きを掛け枠内シュート率は46.2%。過去3シーズンの平均が36.2%なので爆上げした。敵陣PA内ボールタッチ数はロドリゴ、ヴィニシウス、ドフビクに次ぐリーグ4位。レヴァンドフスキより多かった。
結果、18-19シーズンの13ゴールに次ぐ12ゴールをあげている。WGでこれは立派な数字。アフリカネイションズカップに行っていた3試合以外は今季も当たり前のように全試合に出場している。最終節は手術でベンチ外となった。ESPNによると足に2年間ガラスがブッ刺さったままだったらしい。なんだそれ

ドーンと行ってバーンとやる方が合ってそうな選手だが、バルベルデが来てから明らかにプレーの幅が広がっている。クラブの悲願である国王杯では準々決勝のバルサ戦、準決勝アトレティコ戦2ndレグという大事な試合でどちらも1ゴール1アシストで試合を決めた。特にバルサ戦は2点ともが延長戦に入ってからの大仕事。弟と優勝を喜び合う姿は感動的だった。


●メイソン・グリーンウッド/ヘタフェ(22歳🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿)
☆初選出
ラリーガ:33試合(スタメン30試合)8得点
国王杯:3試合(スタメン3試合)2得点

イングランドで色々あった男はスペイン上陸。元々CL戦士なのでそれなりにはやれるだろうと思っていたが、先季全休した鬱憤を晴らすように暴れ回った。
左右関係なく鋭いキックが蹴れるいわゆる両利きで、あまりラストサードの崩しが整備されていないチームでどっちに進んでどっちの足で蹴るのかわからない能力は極めて危険だった。「ボールを持ったらある程度お任せします」という環境は彼に合っていた様子。当然クロスの的にもなれてゴール前で冷静。スケールの大きさを感じるのと継続性があり一生懸命プレーするタイプだったのは意外だったかもしれない。カディスのラフプレーに萎えていたのは可哀想だった。
間違いなくヘタフェの躍進に貢献したがCLクラブに戻らせてあげたい気持ちもある。


●サヴィオ/ジローナ(20歳🇧🇷)
☆初選出
ラリーガ:37試合(スタメン35試合)9得点
国王杯:4試合(スタメン2試合)2得点

フランス2部のトロワ所有というよくわからない立ち位置だが蓋を開けてみたらシティグループの選手だったサヴィオ。先季はPSVのセカンドチームでプレーしたりしていたがジローナで9ゴール9アシストとブレイクした。左の準足WGとして目の前の相手を振り切るスピードと高速クロスが持ち味。低い位置まで守備に参加しながらトランジションの急先鋒になれるロングランが魅力。クロスのファー詰めが上手く決定力も発揮した。ラストサードのボールタッチ数878回はリーグ3位、相手選手へのドリブルチャレンジ236回は断トツの1位。成功数104回も1位。なかなか理不尽な存在だった。"ミチェルのジローナに合っているか"と問われると正直微妙な感じもあるが、今季大成長したのは紛れもない事実。是非来季CLで見たいが、シティに帰るなんて話もある。


●ニコ・ウィリアムズ/アトレティック(21歳🇪🇸)
☆2年連続2度目
ラリーガ:31試合(スタメン29試合)5得点
国王杯:6試合(スタメン4試合)3得点

まだ21歳とは思えない貫禄が出てきた。右でも左でもプレーし、目の前の相手を抜いていく。正確なクロスと切り込んでのミドルシュートを装備し、コンビネーションでPA内へ侵入する。守備では4-4ブロックに入り、トランジションで長い距離のランニングを活かす。
ラリーガクラブのWGに要求される仕事を全てこなしながら、重要な試合での得点も奪っていった。むしろ先季より得点数が少ないのが意外だ。
バルベルデのサッカーが彼のプレーの幅を広げる後押しをし、まだ上に登れる予感を感じる。メガクラブに移籍するとしてもアトレティックのレジェンドになるとしても、このドリブラーの未来は明るい。




後書き

以上です。初回から唯一3年連続で選んでいたパウ・トーレスがプレミアに行ってしまいました。今年はレミーロ、パレホとイニャキが3年連続。国外からの移籍組ではブリント、ドフビク、サヴィオ、グリーンウッドが選ばれた。先季はロメウ(サウサンプトン→ジローナ)しかいなかった事を考えたら良い傾向かなと。そしていかに今季のジローナの補強が良かったかという感じ。というかジローナを除けば国外からの移籍組は先季+今季で訳ありのグリーンウッドしか選ばれていない事になるので、やっぱりラリーガの経済的競争力はまだ下火なのかな。
そのジローナからは合計6人、好調だったアトレティックからは7人を選びました。

appendixとして去年も公開した「惜しくも選出されなかった27人目」ですが、今季は

ラファ・マリン/アラベス(21歳🇪🇸)

です。良かった。CBは割と豊作だったかな。一方でSBは不作。特に左。SBもやはりジローナ&アトレティックが圧倒的に高評価だった事を考えるとやはりこの2チームは強かった。

ついでなのでその他の副賞も決めておきましょうか。初の試み。こんな副賞も知りたいとかあったら教えてください。

●ニュースター賞
ベニャト・プラドス&ウナイ・ゴメス/アトレティック
イサク・ロメロ/セビージャ

今季もたくさんの若手選手がデビューしたラリーガ。バルサでは17歳だの16歳がCLに出ていて気が狂いそうです。
そんな中、アトレティックでは熾烈なポジション争いが続いた中盤に2人のニュースターが。ベニャト・プラドスはフィルター役兼配球役を担当できるCHでルイス・デ・ガラレタの相棒としてレギュラーに。サイズがあって無理が効くタイプ。ウナイ・ゴメスはトップ下でサンセからポジションを奪ってしまうのではないかという活躍。チームに新しいオプションを与えた。
また、明るい話題の少なかったセビージャでは23歳のイサク・ロメロがプリメーラデビュー。スピードとゴールに向かう思い切りの良さ、バネのある躍動感で一気に危険な存在となった。終盤戦は負傷離脱となったがフルシーズンプレーする来季は大いに期待したい選手。

●ベテラン凄い賞
イアゴ・アスパス/セルタ
36歳になった今季は18節まで1得点とついに厳しいシーズンになるかと思われたが、残留争いの最中に帳尻を合わせるように調子を上げて結局9得点。9シーズン連続10度目の2桁ゴールは惜しくも逃したがシーズン終盤の32節ラス・パルマス戦(2得点)と34節ビジャレアル戦は勝利に直結し、チームの残留に大きく貢献した。

●カード貰いすぎ賞
イバン・アレホ/カディス
出場30試合で17枚。やりすぎ。先季キャリア初の2桁(プラス退場1回)と片鱗を見せていたが今季一気に開花。ラフプレーというかそもそも頭引っ叩いたりする警告が多すぎて意味がわからない。ちなみにプリメーラでは退場は通算2回しかありません。
アレホの異常性は後半途中からの出場でも当たり前のようにカードを貰う事で、27節、28節、30節は全て途中出場(ちなみに2
9節は15枚目で出場停止)で合計20分の出場で3枚もらっている。全部ロスタイム。ちなみにこの3試合は2勝1分。方向性を間違えたクローザーである。残留が懸った37節ラス・パルマス戦は0-0の試合展開で出番なし。そのままシーズン終了となった。超余談ですがこの選手アトレティコ産です。

最後に今季の最終選考にノミネートした選手達です。並びはクラブ順位の順。なんとジローナは11人、アトレティックは12人います。また来年。


GK
パウロ・ガッサニガ/ジローナ
ウナイ・シモン/アトレティック
アレックス・レミーロ/ソシエダ
ギオルギ・ママルダシュヴィリ/バレンシア
アントニオ・シベラ/アラベス
ダビド・ソリア/ヘタフェ
アルバロ・バジェス/ラス・パルマス

DF
ミゲル・グティエレス/ジローナ
デイリー・ブリント/ジローナ
エリック・ガルシア/ジローナ
ヤン・コウト/ジローナ
ダニ・ビビアン/アトレティック
アイトール・パレデス/アトレティック
オスカル・デ・マルコス/アトレティック
ユーリ・ベルチチェ/アトレティック
ヘルマン・ペッセッラ/ベティス
チャディ・リアド/ベティス
クリスティアン・モスケラ/バレンシア
アンドニ・ゴロサベル/アラベス
ラファ・マリン/アラベス
ハビ・ロペス/アラベス
ヘスス・アレソ/オサスナ
ディエゴ・リコ/ヘタフェ
オスカル・ミンゲサ/セルタ
セルヒオ・ラモス/セビージャ
ヘスス・ナバス/セビージャ
マティヤ・ナスタシッチ/マジョルカ
アレックス・スアレス/ラス・パルマス
セルジ・カルドナ/ラス・パルマス
フロリアン・ルジュン/ラージョ
カルロス・ネバ/グラナダ

MF
アレイシ・ガルシア/ジローナ
イバン・マルティン/ジローナ
ヴィクトル・ツィガンコフ/ジローナ
ヤンヘル・エレーラ/ジローナ
イニゴ・ルイス・デ・ガラレタ/アトレティック
ベニャト・プラドス/アトレティック
オイアン・サンセ/アトレティック
ウナイ・ゴメス/アトレティック
マルティン・スビメンディ/ソシエダ
ブライス・メンデス/ソシエダ
久保建英/ソシエダ
マルク・ロカ/ベティス
イスコ/ベティス
ダニ・パレホ/ビジャレアル
エティエンヌ・カプエ/ビジャレアル
アレックス・バエナ/ビジャレアル
ハビ・ゲラ/バレンシア
ペペル/バレンシア
アンデル・ゲバラ/アラベス
ジョン・グリディ/アラベス
ネマニャ・マクシモヴィッチ/ヘタフェ
フラン・ベルトラン/セルタ
ブバカリ・スマレ/セビージャ
サム・コスタ/マジョルカ
マッシモ・ペローネ/ラス・パルマス
キリアン・ロドリゲス/ラス・パルマス
オスカル・バレンティン/ラージョ
アルバロ・ガルシア/ラージョ
ルーカス・ロベルトーネ/アルメリア
ディオン・ロピ/アルメリア
ジェラール・グンバウ/グラナダ

FW
サヴィオ/ジローナ
アルテム・ドフビク/ジローナ
イニャキ・ウィリアムズ/アトレティック
ニコ・ウィリアムズ/アトレティック
ゴルカ・グルセタ/アトレティック
アンデル・バレネチェア/ソシエダ
アヨセ・ペレス/ベティス
ウィリアン・ジョゼ/ベティス
アレクサンドル・スルロット/ビジャレアル
ウーゴ・ドゥーロ/バレンシア
ルイス・リオハ/アラベス
アンティ・ブディミル/オサスナ
ハイメ・マタ/ヘタフェ
メイソン・グリーンウッド/ヘタフェ
ボルハ・マジョラル/ヘタフェ
ルーカス・オカンポス/セビージャ
ユスフ・エン=ネシリ/セビージャ
イサク・ロメロ/セビージャ
ストランド・ラーセン/セルタ
クリス・ラモス/カディス

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