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新たな歴史の1ページ目(2020年度弁論大会入賞)

突然だが、僕の夢は世界征服だ。画面の前の皆さんは困惑してると思うが、まぁまぁそんな慌てなさんな。

一言に世界征服と言っても、もう地球の土地を全て自分の土地にするということは限りなく不可能に近い。表舞台に立って世界征服をすることはまずできないだろう。だからと言ってこの夢を諦めるわけにはいかない。
さてどうしたものか?
そうだな、となるとIT系で攻めるか?今の時代ネットワークが非常に優れているからこそ、世界中のネットワークシステムをハッキングすれば、ってそれだったらGoogleに入ればそれで達成じゃないか。ハッキングなんてしなくても世界中のネットワークシステムを自由に操ることが出来る。
しかしそんな簡単な方法で、いや簡単ではないか、でもそれは僕の世界征服の理念に反する。そうか、別に地理的にもIT的にも支配する必要なんてハナからないんだ。例えばお金だ。お金を稼ぎまくればまた選択肢が増えていくだろう。
とまぁあれこれ思考を巡らせてはみたが、別に僕はいわゆる「世界の王様」になりたいわけじゃない。

じゃあ僕がここでいう「世界征服」とはなんなのか?それは、歴史に僕の名前を残すということさ。
あなた方は、100年前に存在した偉人がどれくらい頭に浮かびますか?じゃあ1000年前は? 6000年前は?もうこの頃になるとパッと思いつく偉人なんて片手で数え切る程しかいないのではないだろうか?
だが、100年前にも6000年前にも確かに人間は存在し中でも特に優れた人が名を残し、他は歴史の闇に埋もれていった。しかし、闇に埋もれていった人たちは、皆同じではなく、一人一人全く異なる存在で一人一人に物語があった。皆異なる才能を持っていた。だが、いくらその一人一人が頑張ってみせたところで長い歴史の中で見るならば、よりインパクトがあることの方が歴史に残る。それは、いくら記録があったとしても起きうることで、いずれは誰も知らなくなる。
その事はおおよそ自然の摂理と呼べるほどに至極当然のことであり、仕方ないことなのだが、それってものすごく虚しいことだと思いませんか?自分が頑張って生きてきた証拠は後世にまで語り継がれて、存在をいつまででも知っていてほしいそういう思いはありませんか?生まれてきたからにはせめて何か一業を成し遂げたい。

そういった決意の表れが世界征服という言葉なのさ。歴史に名前を刻むにはその方法が一番強力でインパクトがあると思ったからね。

じゃあ、なんで急にこんな「歴史に名前を刻む」とかいうことを思ったのか?

それは、とあるアニメをみていた時に思った。そのアニメとは『新世紀エヴァンゲリオン』なのであるが、このアニメ、知っている人は知っていると思うが、人気すぎて社会現象とまでなったいわゆる神アニメというものである。名前は知っていたが見たことがない、もしくは知らないという人はぜひ騙されたと思って見てほしい。
と、話が逸れてしまったがこのアニメを見ていてふと思ったことがある。このアニメは一体何年後まで語り継がれるのだろうか?と。当然10年20年は見られ続けるだろう。もしかしたら100年後まで媒体を変えて見られ続けるかもしれない。そんな時ふと思ったんだ。「あ、つまり庵野監督は100年先までその名前を轟かすんだろう」と。それと同時に「この人はもうこの時点で歴史に名前を刻んでいるのだろう、ずっと語り継がれるのだろう。」と。そのことを思った瞬間とても羨ましくなった。今だけでなく未来まで影響を持ち続ける力は何物にも変えがたいと。ただ、某ジャンプ漫画の敵キャラもいっていたように憧れは理解から最も遠い感情であるという言葉も脳裏によぎった。そうか、庵野監督は才能もさることながら、とてつもない量の努力もしてきて今の地位にいて、だからこそ、人々に感動を与えるまでになったのか。

そう、僕の当初の目標である世界征服、これも努力と一言で言い表せるほどの簡単なものではない相当のものが必要、もしかしたら庵野監督がした以上のもので、そのあとにそれに見合ったインパクトが起こるわけだ。そのことに付け加えて、何かしら先天的な才能つまりカリスマ的なものも必要となってくる。
それは一見実現不可能のように思える。しかし、僕はまだ若い。若いということは愚かなことである、と同時に何物にも変えがたい可能性を持つ。若さだって才能の1つと呼べるだろう。ここからは何にだってなる力がある。もちろんそれをどう生かすかは自分次第だがね。僕の才能と努力のコンビが誰にも止められない爆発力を生む。努力と才能この両方を併せ持ちそれをうまく調合することで僕の目標である、世界征服へと大きく近づく。

世界征服それを達成する日が近いとは言わない。だが、長い歴史の中から見ればもうすぐそこまできているかもしれないね。こんな奴に世界を任せられないというそこの君、そう思うなら僕を止めてみたまえ。君たちにも十分、いや僕より年下だからそれ以上の可能性はある。そんな君たちの挑戦を僕は待っている。

弁士コメント

弁論大会応援ありがとうございました。今回は残念ながら上位入賞には至りませんでした。
今回の弁論大会を通じて感じた事は、慣れない事はするべきじゃないという事ですかね。正直あまりセリフを覚えられていなかったりしたのも心の底ではあまりそのことに興味がなかったからだと思います。好きなアニメの話をするとかならもう少し饒舌に話せたのではないか、と今になって感じます。
僕としては、世界征服の他に男性声優による音楽原作キャラクターラッププロジェクトのヒプノシスマイクというものについて弁論しようとも考えていました。でも、これって結局聞いてもらわなきゃ意味がなくて、しかも僕が弁論したところで誰が聞いてくれるのだろうか?と考えたときにインパクトがあって弁論聞いたらそれで終わりの世界征服の方がいいかなという判断で世界征服を選びましたが、ありゃあ悪手でしたね。まぁ、終わったことをいちいち悔やんでも仕方ありませんね、こういった経験が他の何かに活かせればと思います。

(高校3年 K.T.)

Photo by Donny Jiang on Unsplash

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