漫画村

漫画村のニュースを時系列でまとめてみた

漫画村のニュースが一ヶ月前から取り上げられています。

ニュースを見る中で、だんだん論点が移行して来て興味深かったので、時系列で内容をまとめた上で、見解を書いていこうと思います。


2/13 日本漫画家協会が海賊版サイトに対する見解を表明

まずニュースとして取り上げられたのが、日本漫画家協会による海賊版サイトに対する声明だと思います。

この声明の中で、「作り手と、作品を利用するみなさんが、きちんとした「輪」のなかでつながっていることが大事」と主張した上で、

"私たち作り手は、どんなに頑張っても、その「輪」の外側では作品を作り続けられないのです。このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまうことでしょう。
そのことをとても心配しているのです。"

と海賊版サイトを批判し、ユーザーである私たちに対してもう一度利用の是非を考えさせるように訴えました。


3/5 有料版「漫画村プロ」のリリースを発表

このような声明の矢先に行われたのが、この有料版「漫画村プロ」のリリース発表でしょう。

これまで無料で漫画や雑誌が読めると話題になっていた漫画村が、①すべての広告が除去される、②安定したサーバー、③画像ファイルのダウンロードなどのできる有料会員版をリリースすることを発表しました。

以前から問題のあった漫画村が、連日ニュースに取り上げるほどの注目を集めるようになったのは、このタイミングでの有料会員版というサービスの展開が理由であると思います。


3月中 漫画村の著作権法違反について、ネット上の議論がピークに

有料会員版のニュースを機に、様々なメディアで連日漫画村の是非が問われるようになりました。

漫画村は違法なのか否か、違法でないとしたらそれはなぜなのか、問題の責任は漫画村だけでなく、ユーザーにもあるのではないのかなどなど、様々な議論がこの時から起こり始め、現在まで続いています。

ちなみに、漫画村が違法でないとされる理由については2点が述べられています。

①漫画村はインターネット上にあるページを収集・掲載しているだけなので、アップロードをしている訳ではないということ
→自らアップロードしている訳ではないので、著作権法にある「公衆送信権」には該当しない。よって、漫画村は違法ではないということ。

②漫画村のサーバーが海外にあるということ
→漫画村が違法であるかの判断は、サーバーのある国の法律に準拠する(準拠法)。よって、そのサーバーの国で違法でない限り、漫画村は違法でないということ。しかし、サービスが日本向けに提供されているなどの理由から、日本の著作権が適用されるのではないかという批判もある。


4/6 政府がサイトブロッキングを検討することを発表

これまでに巻き起こった議論もあり、政府が漫画村をはじめとする著作権を侵害しているサイト(海賊版サイト)のアクセスをブロックすることを発表しました。(引用記事)

アクセスブロッキングとは、GoogleやYahooなどのインターネット接続業者(いわゆるプロバイダと呼ばれる)によるアクセスを遮断することで、現在日本においては児童ポルノにのみ適用されています。

アクセスブロッキングの正当化の根拠として、政府は「緊急避難」をあげています。これに基づけば、
①現在の危難があること
②やむを得ない回避行為であること、
③緊急避難によって生じた害が避けようとした害を越えないこと 

の3つをクリアしたときに、海賊版サイトのアクセスを遮断することができます。

しかし、これに対しては主に法律関係者から批判を浴びています。
なぜかというと、アクセスブロッキングは憲法による「通信の秘密」に違反するという考えがあるからです。

憲法21条 
2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

つまり、アクセスブロッキングをするためには、プロバイダを利用するすべてのユーザーがどこにアクセスするのかをチェックして、海賊版サイトを見ようとする人のアクセスのみを遮断することが必要になります。
このチェック行為はあらゆる個人のアクセスを監視することになるので、プロバイダであっても許されないと考えるのが一般的なのです。

このアクセスブロッキングを児童ポルノから海賊版サイトも許すようになると、いずれ他のことに対しても許すようになる可能性があります。これは、私たちの普段のアクセス行動への監視が強まるということになります。これを危惧し、法律関係者には批判の声が多いのです。


4/11 漫画村がGoogle検索から消える

このような議論の中、突如漫画村がGoogle検索で挙がらなくなりました。(引用記事)

この原因は、カナダの出版社であるハーレクイン社をはじめとする、各出版社のGoogleへの削除申請が通ったことです。なお、どのような過程で申請され、どのような理由から申請が通ったのかについては述べられていません。

政府のアクセスブロッキングのような強行的な手段をとることなく、削除申請という法によらない手段によって目的が実現したことは、ひとまず安心といったところでしょう。


4/13 漫画村、「漫画タウン」として復活?

このGoogle検索のニュースからわずか2日後、「漫画タウン」と称したTwitterアカウントが発信をはじめました。(引用記事)

Googleの削除申請によって漫画村は表示されなくなりましたが、新しくできた「漫画タウン」についてはもちろん削除申請はなされていません。削除申請やアクセスブロッキングでは、このようなイタチごっこを避けることができないという事実が明らかになったのだと思います。

違法なのかの判断を明確に下せない事案であるかつ、このようなイタチごっこが発生してしまう事案に対して、どのように著作者(権利者)の利益を確保していけばいいのでしょうか。

解決方法については、また次回以降取り上げていきます。
(おわり)


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