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小林 龍二「救世主オオグソクムシ」

小林 龍二(こばやし・りゅうじ)——竹島水族館 館長
1981年、愛知県蒲郡市生まれ。北里大学海洋生命科学部を卒業後、地元の竹島水族館へ就職。2015年に館長となりさまざまな改革をし過去最低の12万人の来館者を47万にした。

 幼少の頃から水中生物が好きで、これまでの人生において身の回りに常に水槽があり、そこに入る生き物がいる生活を送ってきました。将来は仕事で一日中これらを扱い、しかも給料までもらってしまう楽園のような職業=水族館の飼育員になろうと、自宅で水槽を眺めては一人で不気味に笑っておりました。
 しかしながら時代は就職氷河期であり、もともとの自分の学力もしれていたこともあり、有名な人気水族館には就職できず偶然欠員募集の出た地元の小さな竹島水族館へ、まぁ一応水族館だし家からも近いしいいかという気持ちで就職しました。
 一応夢だった職業に就けて、小さい施設ながら生き物はたくさんいたのでそれなりに満足して働いていたのですが、冷静になり館内を見渡すと「お客さんが少なくあまりにも寂れすぎている」という現実がありました。小さなころから自転車でよく行っていた水族館なので、薄々気づいてはいたものの、実際に働いて直面してみると不安な気持ちに襲われる危機的状況の水族館でした。

―『學鐙』2024年夏号 特集「私の原点、転換点」より―

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灯歌
岡野 大嗣(歌人)
特集
荒俣 宏(作家・翻訳家・博物学者)★
内田 樹(神戸女学院大学名誉教授・凱風館館長)★
サリ・アガスティン(学校法人上智学院理事長)★
神田 さやこ(慶應義塾大学経済学部教授)★
米田 優峻(東京大学理学部情報科学科4年)★
安部 芳絵(工学院大学教授)★
小林 龍二(竹島水族館 館長)★
能町 みね子(文筆家・イラストレーター)★
企画連載
下道 基行(写真家・美術家)
梅中 美緒(建築エスノグラファー)
全 卓樹(理論物理学者・随筆家)
髙宮 利行(慶應義塾大学名誉教授)
書評
渡辺 祐真(文筆家・書評家)
水上 文(文筆家 ・文芸批評家)
藤倉 恵一(文教大学付属図書館主任司書・図書分類法研究者)
渡辺 由佳里(エッセイスト・翻訳者・洋書レビューアー)
丸善出版刊行物書評
浜田 敬子(ジャーナリスト・ 元アエラ編集長・ 前Business Insider Japan統括編集長)

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