[日記]91歳とフリーター山の頂上でにこやかに話す。

自然に触れたくなったので山に登った。頂上まで行くと、決して高い山ではなかったが景色はとても美しかった。周りに人がいないことを確認し、僕は写真を撮り始めた。さらには現代病だ。動画も取り始めた。youtuberっぽく...その瞬間、頂上に新たにたどり着いたと思われる人影が見えた。僕はとっさに恥ずかしいと思い、スマホを急いで隠した。謎の罪悪感を感じながら、人影のほうを見ると、よぼよぼのおじいちゃんだった。目が合った。あちらから、年季の張った声で「こんにちわ」と声をかけてくれた。僕は、山で1人でいいから誰かと話そうという小目標を掲げていたので、らしくない感じで「こんにちわ」と愛想よく健気に言った。さらに僕から少し近づいた。そしたらおじいちゃんのほうから話しかけてくれた。 色々話した。スマホなんか見ずに自然に触れろよ若者(僕)、おじいちゃんが91歳、健康の秘訣は太極拳、もうすぐ人生引退、景色を見ながらおじによる地理口座、などなど。だいたい話し込んでおそらくどちらも話が終焉に向かってるのを感じ取った。人間の不思議な能力だ。そして最後のほうにおじから一言「こんな立派な人に出会えてよかった」。僕はくそうれしかった。けど咄嗟に「ただのフリーターですよ、うへへへ」って返した。ださい。人に褒められること自体少ない人生だったが、91おじからのその一言はさすがに最大限うれしかったとともに、その言葉が余るほど自分が立派ではないことも知っていた。おじから言われたひとことを原動力に少しでも立派になれたらなと思った。太極拳でも始めてみようかな。

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