蒲田健の収録後記:荻原浩さん
人間と時間の流れについて考えていたら結果として家族の話に行き着いた。
荻原浩さんの直木賞受賞作「海の見える理髪店」
あのときこうしておけば、という瞬間は大なり小なり、
ほとんどの人にあるだろう。
特に多くの時間を共有してきた家族という存在に対してであれば
尚更その確率は高まるはず。
必ずしも良好な関係とは限らない。時として煩わしかったり、
面倒だったり、憎悪が含まれることだってあるだろう。
しかしながら、いやだからこそ、今ここに真摯に向かい合うことの尊さが
より際立ってくるのだ。
“いつまでも 変わらずにいる はずはない
だからこそありがたき 今ここ”
P.S.「直木賞は他の文学賞に比べて依怙贔屓されすぎですよ」と
冗談交じりにおっしゃってました。決して嫌味や皮肉ではなく、
他の様々な賞を受賞してきている実力に裏打ちされた、
作家としての矜持とお見受けしました。
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