蒲田健の収録後記:川村元気さん

人がコントロールしえない3つのもの。

「死」と「お金」と「恋愛」。


過去二作で「死」そして「お金」をテーマに小説を書いてきた

川村元気さんの最新小説「四月になれば彼女は」。テーマは「恋愛」。


映画プロデューサーとしても活躍する川村さん。自らが創り出す作品の

根底には共通するものが存在するという。それは“集合的無意識”。

多くの人の心の中に、目にはさやかに見えねども存在する共通項。

それを掬い取り提示することで共感を創出する。


古今東西の賢人たちが様々な言葉を紡いで表現してきた「恋愛」。

正解がないからこそ百人百様のストーリーが描かれる。


今日本では恋愛小説はウケないという。恋愛に消極的な層が多数派を

占める社会状況がその要因であると川村さんは見る。

しかし消極的とはいえ、恋愛そのものを否定しているわけではない。

ならばそのリアルな心模様を描けば“集合的無意識”に届くのでは、

という思いでこの作品を執筆するに至った。


その試みは成功であろう。老若男女すべての人が、立場は違えど様々な

グラデーションで登場人物たちに共感するポイントを見出すことが

できるはずだ。


恋愛は本質的に非効率的な営みである。

何事につけ効率が求められる社会では分が悪い。

しかしだからこそ、一瞬の奇跡のような体験として、人生にこの上ない

きらめきを与えるものとして、その経験は価値は増してゆくのでは

ないだろうか。恋せよ乙女(に限らず)。


“思うほど 得することは 多くない

       それが恋愛 それでいいのだ”


P.S.弁舌さわやか、理路整然。大ヒットメーカーは、必然とおもえる

佇まいを備えています。


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