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インタビュアー蒲田健の収録後記

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収録後に感じたこと考えたことを語ります!
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2017年4月の記事一覧

蒲田健の収録後記:中野京子さん

中野京子さんの最新刊「運命の絵」。

西洋古典絵画には多くの“お約束”がある。

鎌や砂時計を持つ翼をはやした半裸の老人は「時」を象徴している、

天秤と刀剣を持つヌードの女性は「正義」を表す、等々。

それらを知らずとも、単純に視覚刺激として

心が動かされるということはあり得る。

“心を無にしてただ見れば良いのだ”という鑑賞の方法論は存在するし、

それにも一面の真理はある。しかしながらその

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蒲田健の収録後記:窪美澄さん

これまでで最もやさしさ成分の多い作品。

窪美澄さんの最新刊「やめるときも、すこやかなるときも」

愛する人にも言えない、いや愛する人だからこそ言えない過去。

人と人は互いにどこまで分かり合えるのか。そして分かり合うために

どこまで経験を共有すべきなのか。

タイトルは、結婚の誓いの言葉の上の句として知られるフレーズ。

下の句である「愛し合うことを誓いますか?」の修飾語に過ぎないと

軽んじ

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蒲田健の収録後記:佐々木紀彦さん

今、“三度目のガラガラポン”のとき

佐々木紀彦さんの最新刊「日本3.0 2020年の人生戦略」

日本は制度や慣習が一度固まるとなかなか変わらない国である。

だがマグマをためこむ分、いざ変わるときは猛スピードで変わる。

近世以降、日本は明治維新、太平洋戦争敗戦という二度の

グレートリセットを経験してきた。そして約70年、ほぼ同じ間隔をおいて、

みたびグレートリセットが訪れようとしている、

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蒲田健の収録後記:中野信子さん

シロかクロかというものではなく、人類の中にグレーゾーンのような

広がりをもって分布している。

中野信子さんの最新刊「サイコパス」

凶悪な反社会的人格という文脈で語られることの多い

「サイコパス」という用語。高い知能を持ちながら平然と猟奇的な

殺人を犯すハンニバル・レクターのような人物はその代表例という

イメージである。

仮にそれのみがサイコパスの本質であるならば、進化の過程で社会的に

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蒲田健の収録後記:柴崎友香さん

本当に怖い目にあうと、記憶はそれをなかったことにすることもある



柴崎友香さんの最新刊「かわうそ堀怪談見習い」

怖いという人の知覚は、怖いものが見えてしまっている、というより、

怖いものとして見てしまっている、という恣意的なことなのではないか。

だとすれば・・・

これまでの作品でも、場所、不在、記憶、といったことがキーワードに

なっていた柴崎さん。

怪談というスタイルはこれまでに

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