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ラジオ版 学問ノススメ(JFN公式)
2017年4月27日 16:29
中野京子さんの最新刊「運命の絵」。西洋古典絵画には多くの“お約束”がある。鎌や砂時計を持つ翼をはやした半裸の老人は「時」を象徴している、天秤と刀剣を持つヌードの女性は「正義」を表す、等々。それらを知らずとも、単純に視覚刺激として心が動かされるということはあり得る。“心を無にしてただ見れば良いのだ”という鑑賞の方法論は存在するし、それにも一面の真理はある。しかしながらその
2017年4月27日 16:26
これまでで最もやさしさ成分の多い作品。窪美澄さんの最新刊「やめるときも、すこやかなるときも」愛する人にも言えない、いや愛する人だからこそ言えない過去。人と人は互いにどこまで分かり合えるのか。そして分かり合うためにどこまで経験を共有すべきなのか。タイトルは、結婚の誓いの言葉の上の句として知られるフレーズ。下の句である「愛し合うことを誓いますか?」の修飾語に過ぎないと軽んじ
2017年4月14日 17:28
今、“三度目のガラガラポン”のとき佐々木紀彦さんの最新刊「日本3.0 2020年の人生戦略」日本は制度や慣習が一度固まるとなかなか変わらない国である。だがマグマをためこむ分、いざ変わるときは猛スピードで変わる。近世以降、日本は明治維新、太平洋戦争敗戦という二度のグレートリセットを経験してきた。そして約70年、ほぼ同じ間隔をおいて、みたびグレートリセットが訪れようとしている、
2017年4月7日 08:19
シロかクロかというものではなく、人類の中にグレーゾーンのような広がりをもって分布している。中野信子さんの最新刊「サイコパス」凶悪な反社会的人格という文脈で語られることの多い「サイコパス」という用語。高い知能を持ちながら平然と猟奇的な殺人を犯すハンニバル・レクターのような人物はその代表例というイメージである。仮にそれのみがサイコパスの本質であるならば、進化の過程で社会的に
2017年4月7日 08:16
本当に怖い目にあうと、記憶はそれをなかったことにすることもある 柴崎友香さんの最新刊「かわうそ堀怪談見習い」怖いという人の知覚は、怖いものが見えてしまっている、というより、怖いものとして見てしまっている、という恣意的なことなのではないか。だとすれば・・・これまでの作品でも、場所、不在、記憶、といったことがキーワードになっていた柴崎さん。怪談というスタイルはこれまでに