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街の人々を、営みを、歴史を見ること「Kick it up a notch」イベスト感想【プロセカ】

 こはねちゃんのやり切った充実した笑顔が最高です。

 こはねの導く存在として重要な役割であった大河さん。当初からこはねに再三伝えてきたのが「街を見ろ」という言葉でした。
 最初は怖く見えたストリート音楽の街「ビビッドストリート」、バチバチな競い合いとは無縁だった少女が少しずつ街を知り、街を好きになりながら成長していく物語。その第一の到達点が今回の話と言えるでしょう。

 こはねの成長には、ビビバスの仲間はもちろん、実力者大河さんの指導が大きな影響を与えているのですが、大河さんの練習を実行するには街の人々が協力的であることが欠かせません。街の人を巻き込んだ一風変わった練習も受け入れられる、そんな街だからこそのびのび育つことができました。

変わったことでも「大河さんの練習」で何となく察して受け入れられるのは大きいです。

 そして、街の人々の姿が具体的に浮かぶようになり、その人に歌を届けたいと思えるようになったことも大きいです。この人に届けたいとか期待に応えたいという原動力、この人が見てくれるとか背中を押してくれるという安心感、これらの力は大きいものです。

大まかに「聞いてくれている人」でなく解像度が上がると、貰えるエネルギーもぐっと高まる
もう1つの街と言える「ストリートのセカイ」。ミクとルカの存在が失敗しないことに固執せず壁を破る最後のカギとなりました。

 街と人々のことが自分に深く刻まれるのに重要なのが、人々の歩みや思いといった歴史を知ることです。今回も周りから頑固者に思われているオーナーさんが語ってくれましたが、歴史は意外と伝える機会がなく、そして意外と話したいと思っているものです。

歩みを知れば理解や愛着は深まります。

 現代社会において、このビビッドストリートのような街は希少だと思います。ですが、必ずしも縁遠い話ではありません。
 大学含め、学校を今回の街に置き換えても当てはまります。何も考えずに過ごすことも可能ですが、そこには必ず歴史があります。酷い人やムカつく人もいるでしょうが、中には他者を育てたいと思っている人もいます。どうせ過ごすなら人や環境をよく見てみる方がよいでしょう。誤解をなくせるかもしれませんし、結果「やっぱ嫌な場所だな」となっても「ここのせいで噛み合ってないのかな」「自分はこうならないようここに気をつけよう」など今後に活きる考えも得られます。
 街(場所・組織)や人々を全て肯定しなさいという話ではありません。ただそこの人々を、営みを、歴史を見ることで得られるものも多いという話です。

おどおどしてそうで、いや実際しているのだけれども度胸あるのがこはねちゃんの強み。怖い人で終わらなければ見えてくるものも沢山あります。

 イベントタイトル「Kick it up a notch」の意味は「段階を一つ上げる」。一つの答えを得たこはねちゃんと今後のビビバスの歩みが楽しみです。7話挿入歌最高でした。

画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「Kick it up a notch」2023年、
SEGA・Colorful Palette・Crypton Future Media

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