【第3回】今、この一瞬に。

突然だが、この人真剣に生きてきた人だなと感じたこと、皆さんはあるだろうか。
私は、人生において1人だけそういう方にお会いしたことがある。

裏千家・大宗匠。千宗室さん御年100歳

裏千家の大宗匠、千玄室さん。
その方が、私が人生において、真剣に人生を歩いてきたんだなと感じた人だ。

千さんは、千利休直系の子孫として生まれ、現在は茶道の家元裏千家で大宗匠を務めてらっしゃる、御年100歳だ。
言い方はあれだが、何故茶人にそのような凄味を感じたのだろうか。
年齢からくるものだろうか。それは、違う。
その理由は、千さんの経歴にある。

千さんは、第二次世界大戦において召集され、特別攻撃隊(通称:特攻隊)に配属された。
そう、あの特攻隊だ。航空機に片道のみの燃料を積み、敵軍に突っ込んでいく特攻隊。
千さんが搭乗予定だったタイミングで、天候不順で延期、そのまま終戦となったため、千さん自身は亡くなることなく、生き延びたわけだが、同じ隊の人間は、千さんともう一人を除き、全員亡くなったそうだ。
死を第三者に決めつけられ、自ら自死に行く。
生き残った人は、生き残った人で昨日まで一緒だった人間が、国家の為とはいえ死ににいく。
なんという言葉が適切なのかわからないが、本当にすごい世界だ。
『本来なら20歳で死ぬはずだったのに、100歳まで生かされた』
たった1つの言葉だが、ものすごい思いが詰まっている。


また、先日恵比寿の東京都写真美術館で開催されている「土門拳の古寺巡礼」展に行ってきたのだが、写真家土門拳の一瞬にかける思い、気持ちを非常に強く感じる写真展だった。
土門は、1人の人物写真を撮るのにも、数時間以上その人をカメラ超しに覗きこみ、その最高の一瞬を常に求めていたらしい。

恵比寿で開催中の展覧会に関しては、5月14日まで開催中とのことなので、ぜひ一人でも多くのかたに行っていただきたい。

土門拳。古寺巡礼より

そして、このノートも長くなってきたが、なにが言いたかったてことは、
今世の中が便利になってきて、今しなくてもあとで同じことが出来るという概念が多くなってきているが、常にその一瞬一瞬に対して、一心不乱で向き合い、常に最高を目指していく。
生きたかったけども生きることが出来なかった人の分まで、精一杯生きる。

そんな人生を送りたいものです。
自戒をこめて

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