見出し画像

美大生に3つ聞いてみた [結果発表]

先日、下のような質問をしてみました。回答は匿名のアンケートにて募集。

美大生・芸大生(卒業生ふくむ)に質問です。
(1)あなたはどうしてその美大・芸大に入学したのですか?
(2)美大・芸大に入って一番良かったことは何ですか?
(3)美大・芸大に在籍中に一番後悔していることは何ですか?

X(Twitter)で告知したのですが、わりと答えを書き込んでくれる人がいてありがたかったです(何の特典もなくてごめんなさい)。

さて、その結果やいかに。

(1)あなたはどうしてその美大・芸大に入学したのですか?

この問いに対しては「美術が好きだから」「美大に憧れがあったから」という内容の答えが多かったです。「好きだから。他になにが必要?」という潔さがあって良いなぁと思いました。
本当は数ある美大・芸大の中で「その美大・芸大」に入ったことに理由があるのかも知りたかったのですが、そこに言及する答えは少なかったので、現実的には受験の難易度や大学の立地場所などで自分に見合うところに行く、という感じなのかなと推測しました(東村アキコの美大受験漫画『かくかくしかじか』もそんな感じだったし。←ソースが漫画しかないやつ)。

(2)美大・芸大に入って一番良かったことは何ですか?

これも気になりますよね。どんなところが満足するポイントなのか、と。
一番多かった回答を私なりにまとめると「制作するための環境が整っていたこと」でした。
ここでいう環境とは、機材が自由に使えること、学びたいことが学べるカリキュラム、芸術関係の書籍が充実した図書館、などを含みます。これは納得ですね。特に機材やアトリエとかを個人で揃えようとしたらえらいこっちゃです。まぁ、その分、美大は学費も高いわけですが……。

もう一つは、「周りの人たちが非常に刺激的だったのが良かった」という意見もいくつか見受けられました。
みんな創作に励むという点は共通する仲間ですからね。自然と切磋琢磨して刺激を与え合うのでしょう。美大・芸大だと個性的な人も間違いなく多いはず。私が通ったような文系の大学は同じ学部でも興味も進路も人それぞれで、あまり他人から刺激を受けるということはなかったな(自分が社交的じゃなかっただけかもしれませんが)。

(3)美大・芸大に在籍中に一番後悔していることは何ですか?

実は私が一番知りたかったのは、これです。
後悔にこそ真実があります(何となく名言風)。これから美大で学ぶ人にとって一番重要なのは、この先輩たちの悔やんでいる内容ではないか、と思います。

一番目立った回答は、私としては想像もしなかったのですが「在学中にもっと人とつながっておくべきだった」というものです。
「人脈作りをもっとがんばっておくべきだった」「先生たちともっと積極的に関わって覚えてもらえばよかった」そんな回答もこの中に含んでいます。
はー、なるほど。後悔となると、これが挙げられるんですね。

おそらく理由は2つあって、ひとつは美大・芸大ってただ授業を受けて単位を取ればいればいいのではなく、先生に食い下がって対話することで何倍も自分の創作にとって必要な気づきを得られるからだと思います。
もう一つは卒業後の進路や、その後も創作を続けようとした時には、先生方のもつコネクションが力を発揮するということもあるのでしょう。公募展の情報とかギャラリーとのつながりとか?(このあたりの事よく知らない)
理想だけでなく現実が垣間見得て参考になりました。

他にいくつか気になった切実な回答を個別に引用しておきます(募集時にnoteに掲載することがある旨は記載しました)。

親と喧嘩してでも東京の大学に進学した方が良かった(地方にいることの不利感)

美大に入って何をしたいか、を考えていなかったこと。そして、自分にとって制作が一番辛いものになり、自分がオリジナルのものを作るのに向いていないと知りながらも、ファイン系に進んだこと。地獄のような苦しみが続いている。全く未来が見えない。

授業で提出する課題と自分が好きなテイストの作品を分けて考えていたこと。途中から課題でも自分の思うまま好きなように制作すればいいんだと気付いたが、最初から振り切っていた人と比べると遅れをとってしまった

おそらくこれを読んで、共感して胸が痛くなる人もいるでしょう。
貴重なご意見をいただき、本当に感謝です。

これを読んであらたに何か伝えたくなった人は、コメントでも問い合わせからでも、お気軽にどうぞ。

***

\読めば美術館に行きたくなる!/
『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』
📕発売中です!