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vol.2 8/21開催「学大未来作戦会議#7」レポート

こんにちは。
「みんなでつくる学大高架下」公式note、記録係のイノウエです。

今回は8月21日にC/NEで行われた「学大未来作戦会議#7」のレポートです。テーマは「『お店』と『まち』の新しい関係性~愛されるお店がまちづくりに大切なワケ~」。

ゲストは「リ・カーリカ」などを経営するタバッキチームの代表・堤 亮輔さん、「HIGUMA Doughnuts」の春日井 順さん、そして「FOOD&COMPANY」の谷田部摩耶さんと白 冰(バイ・ビン)さん、まさに学大のまちで愛されている「お店」の人々をお呼びしました。

ユニークな個人店からチェーン店まで、さまざまなお店が集まる学大のまち。空きテナントの工事が始まると「なにができるのかな?」とウワサになりますが、それくらいお店はまちにとって大事な存在ですよね。今回は4人のゲストが学大にお店を作った経緯から、10年後の学大にどんなお店があったらいいかなんてことまで、いろいろとお話してくれました。

【今回のゲスト】
・堤 亮輔さん 株式会社タバッキ 代表
・春日井 順さん HIGUMA Doughnuts店主。solla株式会社代表。
・谷田部摩耶さん、白 冰(バイ・ビン)さん FOOD&COMPANY代表

写真左から堤さん、白さん、谷田部さん、春日井さん

自己紹介/学大にお店をつくるまで

今回も司会進行はomusubi不動産・殿塚さん。東急・長屋さんが「みんなでつくる学大高架下」プロジェクトの紹介をしたあと、各ゲストが自己紹介を兼ねて学大にお店をつくるまでを話しました。

ゲスト①:堤 亮輔さん
株式会社タバッキ 代表

堤さんは料理人としてフレンチや和食などで修行を積み、駒沢大学のイタリアン「トゥーセグランデ」で店長を経て、2013年2月に「リ・カーリカ」をオープン。当初は3人でのスタートでした。現在は合計5店舗、多くのスタッフを束ねるタバッキの大黒柱です。

2013年に「リ・カーリカ」を開業。現在は5店舗を運営。

堤さん:イタリアで修行時代、小さなまちで出会った人同士が挨拶をする光景がとても好きだったんです。学大に来た時にそのまちと似た雰囲気を感じて、ここで仕事をしてみたいなと思いました。5店舗のコンセプトは全部違って、「リ・カーリカ」はアラカルトで楽しむオステリアバル、「カーリカ・リ」は家族でも来られる広めのお店、「あつあつ」は飲み歩きに合う学大らしい店。「リ・カーリカ ランド」はコロナ禍をうけて持続可能な人材の育成や、ライフステージが変わってもスタッフが働き続けられるような環境を考えて出来ました。ここはラボ的な役割もあり、「冷凍ピチ」などの商品が生まれています。新店舗の「ta.bacco」は看板もメニューもないおまかせ一本の大人の店。その時々で自分が行きたいなと思う店をつくっています。

ゲスト②:春日井 順さん
HIGUMA Doughnuts店主。solla株式会社代表。

北海道出身の春日井さんが営む「HIGUMA Doughnuts」は、道産食材でつくるドーナツやハンバーガーが人気のお店。もともとブランディングの会社を運営していた春日井さんは飲食経験ゼロからレシピを研究、DIYでお店をつくり、子供から大人までに愛されるまちのオヤツを生み出しました。

2016年に学大にOPEN。瞬く間に1日800個を売り切る人気店に。

春日井さん:北海道は知名度も人気もある土地ですが、経済的にはとても貧しいんです。それで北海道の食関連の事業をやりたいと思い立ちました。カナダの大学院に通っていた時、ドーナツ店がまちのコミュニティハブになっていたことを思い出して、老若男女が好きなドーナツに決定。イベント出店からスタートして、最初は2年間契約の定期借家でお店をオープン。2018年には商店街の店舗に移転し、その後池袋と青山に支店もできました。

ゲスト③:谷田部摩耶さん、白 冰(バイ・ビン)さん 
FOOD&COMPANY代表

オーガニックの野菜やこだわりの食材を販売する食料品店「FOOD&COMPANY」代表の谷田部さんと白さん。共にニューヨークで暮らしていた経験があるお二人は、自分たちが行きたい食料品店をつくろうという想いで、2014年に「FOOD&COMPANY」をオープンしました。現在は湘南T-SITE、新宿NEWoMan、代官山T-SITEにも店舗があります。

OPEN当初からイベントやワークショップも開催。人が集うグロッサリーストアに。

谷田部さん:食料品店は自分たちが一番お金を使う場所。だけど日本にはゴリゴリの大手か、生気のない個人商店しかない。自分たちが行きたいと思えるお店がないならつくろうと。オーガニックというのは、ファッションでも意識高い系とかでもなくて、ローカルを大切にすることや環境に配慮すること、他者を思いやるという私たちの大事な価値観です。お店を始めた頃はオーガニックという言葉が今ほど浸透していなかったですが、今はもっと自由で楽しいものだとわかってもらえてきたように思います。

クロストーク/学大とお店


殿塚さんがファシリテーターとなり、4名のゲストのクロストークがスタート。

Q1. どうして学大に出店したんですか?

殿塚さん:まずはみなさんがお店を出す場所として、どうして学大を選んだのか教えていただきたいなと。

春日井さん:ドーナツはコンビニで100円で買える時代です。そんななかでも学大は美味しくて安心安全な食をちゃんと選んでお金を使う、という人が暮らしている印象でした。あとスイーツは一時のブームとして消費されやすい商品なんですよ。そうじゃなくて、まちで長く愛される店にしたかったので学大の雰囲気が合うかなと思いました。

殿塚さん:まちの人の心にもお金にも余裕がある。これはFOOD&COMPANYさんにも繋がりそうですね。

白さん:私たちは学大ピンポイントでは探していなかったんですよ。最初は生活にオーガニックが定着している広尾とかで探していました。でも結果的に学大で良かったと思っています。40坪はハードルが高かったですが。

堤さん:うちは今でこそドミナント(特定地域に集中出店すること)ですが、もともとは学大が好きという気持ちからですね。

殿塚さん:リ・カーリカが学大にあったということは場所選びに影響しましたか?

春日井さん:うーん(笑)。お店に全然入れなかったですからね。あつあつリ・カーリカができて行きやすくなりましたけれど。FOOD&COMPANYさんができたのは大きかったです。自分も北海道をテーマに小さい市場をつくりたいと思っていたので、やりたいことをやってくれた感じでした。若いのにいきなり40坪借りちゃうし。この二人が選ぶまちなら、間違いないと思えました。

谷田部さん&白さん:ありがとうございます!

Q2. お店をやってみて、まちの印象は?

殿塚さん:実際に学大でお店をやってみてどうですか?

白さん:良いお客さんが多いです。オーガニックという目に見えない価値を知識を持って理解して、お金を払って応援してくださる。そういった消費の形がありますね。

堤さん:新しいものを面白がってくれる感じがしますね。うちはナチュラルワインを扱っているのですが、お店をつくった頃は知らない人が多くて「なんでにごってるの?」とか言われたり。でもストーリーを話せば耳を傾けて興味を持ってくれました。

殿塚さん:春日井さんは最初2年間限定でお店を出されましたが、その時の反応はいかがでしたか?

春日井さん:実は最初から行列をつくってくれて、その後もコンスタントに地元のお客さんが来てくれましたね。感度が高くて柔軟で、それでいて自分の好きなものもはっきりしている人が多い。ちょうどいいまちだなぁと思いますね。

白さん:それはすごい感じます。大手チェーンもエッジーな個人店も共存しているし、おしゃれであっても気取っていないですよね。

春日井さん:いま学大は分岐点を迎えている気がします。これ以上家賃を高くすると個人店は生き残れないから、都立大学や西小山に流れていくと思います。今はちょうどバランスが保たれているかなと。

Q3. 10年後の学大にはどんな店があったらいいと思いますか?

殿塚さん:いま“分岐点”という言葉が出ましたが、学大高架下プロジェクトもまさにそんな渦の中にいると思います。みなさんは未来の学大にどんなお店があったらいいと思いますか?

堤さん:難しいなぁ。個人店がたくさんあるまちではあってほしいと思う。

春日井さん:僕がまちと繋がれたきっかけは「あつあつリ・カーリカ」なんですよね。お客さん同士で仲良くなって顔見知りができた。飲食店が人と人を繋ぐ場所になる良い例ですね。そんな風に住民同士が気軽に会って話せたり、子連れで行ける場所が増えたらいいんじゃないですかね。

谷田部さん:面白いまちは面白い店がつくる。どこに行っても同じのショッピングモール的なまちじゃなくて、学大にしかないお店がまちの個性になると思います。あとパリやイタリアでは席が道にはみ出ていて、パブリックとプライベートの境界線がないのが楽しい。学大も苦情がこない程度にそういった空間があればいいんじゃないかと思います。

堤さん:「Another8 Corner」みたいなお店が増えたら良いな。前を通るといつも人が店の外にもいて、声をかけられたりして。

谷田部さん:それが許されるまちになると更にいいですね。

殿塚さん:常にではなくて、今日だけ!みたいなお祭りはどうですかね。実際に学大でお祭りをやろうと思っているんです。

堤さん:僕もなぜお祭りがないのかと思っていました!

谷田部さん:商店街も5つあって複雑ですが、やれたらいいですよね。

グループトーク/参加者からの質問タイム


最後にゲスト4人と参加者を交えてみんなでトーク。まずはお参加者一人ずつ軽く自己紹介をしてもらうと、不動産、美容師、古民家で寺子屋運営、建築、コンブチャを作っている人、ピラティス講師、IT企業、映像制作など、今回もバラエティ豊かな職種の方々が集まってくれていました。

参加者:東京に足りない飲食店はどんなものだと思いますか?

白さん:食の世界では東京は世界一だと思います。スーパーの質や、早くて便利という以外の価値を伝えるお店があるといいですね。

春日井さん:ニューヨークは住民のローカル店に対する誇りと応援がすごいですもんね。

谷田部さん:自分が社会の一員だという意識が高いんだと思います。

参加者:大家さんがまちづくりに関わっている例も多いですよね。まちをおもしろくしてくれそうな人に物件を貸すという。学大もチェーン店は入れ替わるけれど、個人店は根強く残っているところが多いので、まちのことを知っているお店の力が強いのかなと思います。

参加者:初めて引っ越してきた時、不動産屋さんが「ようこそ学大へ」と言ってくれて、まずここに行きなさいってメモをもらったんです。「二葉」や「サンライズ」が書いてありました。古い店も新しい店も、住民同士の距離感もちょうどいいまちですよね。

参加者:この3年間で若い出店者が増えたように思います。インフルエンサーマーケティングの影響もあって、まちにも若い人が増えた印象ですが、みなさんはどう感じておられますか?

堤さん:若い人でもお店をスタートしやすい環境があるのはいいこと。腕一本でやりたい人のサポート体制をつくったような会社もあり、それはすごいと思います。インスタでの集客は今は必須ですが、写真を撮ることだけを目的に来るお客さんたちの存在は悩ましいですね。

参加者:話題のお店に行って投稿をして「いいね」をたくさん集めることを目的にしてる女性が増えてますよね。彼女たちは一度お店に行って「いいね」がたくさんもらえたら満足なので、リピートはしない。スタンプラリーのようにお店を巡る人が増えて、地元の人がお店に入れないのは考えものかも。

参加者:最近は渋谷ではなく、学大をめがけて飲みに来る子も多い。

参加者:自由が丘が突然スイーツのまちになった時と似ているかもしれないですね。

堤さん:若い人たちにはしご酒の作法をちゃんと伝えないといけないと思います。一杯で居座るのではなく、お金を使って次の人に席を渡す。最近お店でも「説教名人になろうぜ」という話をしているんですが、話せばわかってくれる子が多い。知らないだけなんですよね。

参加者:お店にはお客さんを育てる役割もあるんですね。

良いまちは良いお店がつくる。

いかがでしたでしょうか。

今回のゲストの話を聞いてからそれぞれのお店に行くと、なるほど今日話してくれた考え方や価値観、つくりたい景色が見事にお店に反映されているなと感じました。私たちの生活を楽しく彩り、まちの個性にもなりうる。そんな魅力的なお店がこれからも学大に在り続けてくれるように、私もお客さんとして応援したいと思います。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございます。
みなさんも「みんなでつくる学大高架下」プロジェクトに参加してください。
活動内容は公式Instagramでチェックできます。それではまた!

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文:井上麻子
写真:森川瑛理香

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