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猫と鼠とスイッチ

僕が面白いという感情を知ったきっかけはトムとジェリーだ。
ボケているように見えるがいたって真面目に言っている。
追いかけっこをしている途中で、フライパンを投げたり鍬を前に置いたりして足を引っ掛けている姑息さが大好きだ。

いつだって僕の面白い基準はトムとジェリーより面白いか、面白くないかだ。

なのでいくら悪いことをしていても、トムとジェリーより面白かったら面白いと言うスイッチが入ってしまう。
あの猫と鼠のせいで僕の面白スイッチがバカになってしまったのだ。

話は変わるが、いつもは夜遅くに帰ってくる父親が昼頃に帰ってきた。
不思議だなぁと思っていたが、いつもと比べて明らかに顔色が悪い。
とても体調が悪いらしい。
これはかわいそうだ。
熱中症になったかもとぐったりしている父親。

なんとか三時間くらい父親の尊厳を守り耐えたが、

「病院に行ってくる」

とか細い声で出て行った。ゲボを置いて。
二時間くらい経ちやっと帰ってきた父親と付き添いの母親が帰ってきた。

母が「お父さん、軽い熱中症と尿管結石だってさ」と言ってきた。

その時、守ってきた面白スイッチがオンになってしまい大きく笑ってしまった。
世界で3本の指に入るほど痛い病気に身近でなった人がいるという事実があまりにもおもしろすぎたのだ。

笑い転げている時、ヨボヨボのおじいちゃんが部屋に入ってきた。

父親だった。

幸い軽度の石だったそうで薬でなんとかできるそうだ。
よかったね。

石がいつか出てくるという恐怖に怯えている父親が何よりモチベーションだ。

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