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弁護士を始めて4ヶ月間の振り返り

12月に弁護士登録をし、1月から弁護士として働き始めて早くも4ヶ月が経過しました。

弁護士として働き始めて、学生や修習生の頃イメージしていた弁護士像と異なる部分もあったり、また、新たな視点で物事を見ることができるようになった感覚もあります。

そんな4か月の間に感じたことを、GWという時間のある機会にまとめてみたいと思います。

1 弁護士の責任の重さ

弁護士業を始めて最初に感じたことが、弁護士という職業の責任の重さです。

弁護士には日々様々な法律相談が来ますが、弁護士の回答1つ1つが依頼者の判断に直結することになります。

例えば、新規事業を始めるにあたって、この事業が法律上問題がないかどうか質問を受けたとします。これに対して、弁護士が「問題ない」と回答した場合、当然のことですが、依頼者は弁護士の判断が正しいことを前提にして事業を開始することになります。

しかし、もし弁護士の判断が間違っており、事業が違法なものであったとしたら、事業のために行った投資が全て無駄になる可能性があるだけでなく、場合によっては依頼者は刑事罰を受けることになり、取り返しのつかない事態が生じる恐れがあります。自分の判断ミスにより迷惑を被るのが、自分ではなく「依頼者」というところが、弁護士業の恐ろしいところです。

法律相談は毎日のようにやってくるものですが、その日々の仕事全てについて、「自分が誤った回答をすると、依頼者に莫大な損害が生じかねない、、、」というプレッシャーを感じながら仕事をすることは、自分の想像している以上に大変でした。

もっとも、このような責任は、法律の専門家として弁護士に信頼が置かれている結果生ずるものであり、プレッシャーとは裏腹にやりがいを感じる部分でもあります。プロフェッショナルとして仕事をするとはこういうことかと身をもって体感しているところです。

2 ビジネスに外から関わることと中から関わることの違い

学生の頃や修習生の頃に、会社の中で仕事をしている弁護士から、「もっとビジネスに近いところで関わりたいと思って会社に入った」という話を伺うことがありました。

学生の頃や修習生の頃は、「ビジネスに近い」という言葉に対してあまりピンときていなかったのですが、実際に外部の顧問弁護士として携わることによって、その意味するところが理解できるようになりました。

私の事務所は顧問契約を締結している依頼者が大部分を占めているため、依頼者と継続的な関係にあることが多く、法律事務所の中でも比較的依頼者との距離は近いと思います。

しかし、基本的には、法律事務所は依頼を受けて初めて依頼者の抱える問題に取り組むことになるため、ビジネスが立ち上がる最初の段階の議論にかかわることは難しい部分があります。また、依頼者の社内の情報の一部分しか事務所には入ってこないため、依頼者の内部で法律以外の論点についてどういった議論がなされているのかについては、よくわからないこともあります。

一方で、私は司法修習中にメルカリで3週間ほど研修をさせてもらったのですが、ビジネスの立ち上げの段階から各部署が連携して役割分担を行い、ビジネスを進めていくうえで問題となるリスクを法務部が洗い出し、当該リスクを踏まえてどうやって事業を進めていくかを議論して、各部署が「一体となって」事業を進めている感覚がありました。

※メルカリでの研修の内容はこちらにまとめております。

このように、会社の中にいるのか外にいるのかによって、弁護士の関与できるタイミングや得られる情報に大きな違いがあり、インハウスロイヤーと法律事務所の弁護士には、それぞれ魅力があるなぁと実感しました。

他方で、外部弁護士の関わり方にも、いろいろとやりようはあるように思います。特に、法務部を持たない企業の場合には、ビジネス上の判断をする際には常に弁護士が関与し、ビジネスが大きくなってから法的な問題が生じてビジネスが潰れてしまうといった事態にならぬよう、弁護士がサポートを行う必要性は高いと思います。

そのため、企業の側にも弁護士が関与する重要性を理解してもらい、積極的に依頼を持ってきてもらえるようにする必要があると思いますし、顧問弁護士の側からも、企業の中で弁護士が判断をする必要のある問題が生じていないか、積極的に情報を取りにいく必要があると思います。

外部弁護士のこういった問題に目を向けて工夫をしている事務所もあり、外部弁護士の在り方も少しずつ変わっていくのだろうと思います。

3 環境による自分への影響

弁護士になる前は、「最初に入る事務所が大事」、「最初に入る事務所で仕事のやり方が決まる」といった言説を、twitter上で見かけることが多々ありました。

そんな脅しのようなことを言わないでよ、、、とTwitterを見ながら思っていましたが、自分は今の事務所の影響を大いに受けており、あながち間違いではないなと感じています。

というのも、事務所に入る際には仕事の進め方、依頼者に対するふるまい方など何も知識がないため、とにかく先輩の仕事ぶりを真似ながら自分のスタイルを確立していくことになります。それこそ、依頼者に対してどのような言葉遣いをするのか、来客時にどういった振る舞いをするのかといった細かいところから、先輩の影響を受けることになります。

また、書面の書き方などについては、「先輩の修正を受けることのないように」と考えながら起案をすることになるため、結果的に先輩のクオリティ(ひいては事務所全体の仕事のクオリティ)にあわせた書面に近づいていくことになります。

すでに自分の仕事のスタイルが確立している状態であったり、そもそも年次が上がって修正を受けること自体が少なくなっていたりすると、こういった影響は受けにくくなるように思われ、確かに「最初に入る事務所が大事」という言説は一定程度正しいように思いました。

4 興味関心の変遷

学生の頃は、抽象的な議論に興味を持つことができ、「法律はどうあるべきか」「法解釈の手法はどうあるべきか」といった議論に強い関心を持っていました。

他方で、実務家として仕事に取り組むようになると、まずは目の前の仕事のクオリティに直結する実務書に興味が移っていきました。学生時代であればすぐ購入していたような本について、あまり興味を持てなくなっている自分に気づくと、少し悲しい気持ちにもなります。

もっとも、決して学生時代の勉強が実務に役に立たないわけではなく、むしろ日々の思考過程の助けになっているのは学生時代の勉強であることが多いです。しかし、即効性という観点からは、やはり実務書に軍配が上がるため、ついつい読む本が実務書ばかりということになってしまうわけです。

そう考えると、学生時代に色々な分野に目を向けて、興味関心を持ちながら勉強することができたのは非常に良い時間だったなと思います。学生の方がもしこの記事を読んでいたら、あまり将来の仕事のことばかり意識しすぎず、自分の興味関心にしたがって幅広く勉強をすることをお勧めします。

5 最後に

まだ弁護士として4か月しか経っていませんが、その間に色々な案件に関与することができ、充実した日々を送っています。

目の前の仕事が増えてしまうと、それをこなすことばかり頭に浮かんでしまい、なかなか自分のやりたいことを振り返る時間もとれなくなってしまいます。

だからこそ、GWのような時間のある機会に、文章を書き起こしながら、自分を見つめなおす機会を作ることは大事だなと、改めてnoteを書きながら感じることができました。

ひとまずは、弁護士として、社会人として、力をつけられるよう目の前の仕事に精一杯取り組むことを続けていきたいと思います。次は1年後くらいにnoteに新たな発見を書けるよう、仕事にしっかりと取り組んでいきます!


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