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「台湾留学ってしたほうがいいの?」〜私の場合〜vol.1

台湾留学ってなんだか知らないけどめちゃめちゃ最近チヤホヤされてて、留学してる当事者からするとなんか違和感を感じることがとてもあります。
でもそしたら「じゃあなんであなたは台湾留学してるの?」って話になります、そりゃそうだ。
ということで、本記事では私がそもそも留学したかった理由、留学先に台湾を選んだ理由、なぜ安易な台湾留学をおすすめしないかについて紹介します。

そもそもの留学動機

筆者は高校時代、そこそこ頭のいいと言われる高校にいました。毎年東大京大合わせて30人くらい輩出するようなところです。
私はそこで落ちこぼれてたんですが、その自分が今後どうやって生きていくかを考えた結果、選んだのが留学という選択肢でした。

とりあえず国外に行きたかったんですよね。

「GMARCH以下は大学じゃないでしょ(笑)」とか「え、浪人してGMARCH入れないの?」みたいな空気が漂う同級生の圧力に耐えられなかったんです。

まあ、本当はそこでちゃんと勉強して日本の大学に行けばよかったのかもしれないけど、やっぱり「留学」っていうインスタントに自分が「何者か」になれるっていうことに気づいてしまったのが最大の失敗だったのかもしれない。

台湾を選んだ理由

とりあえず英語が死ぬほど苦手だった。
今、TOEIC受けたら多分400点も取れないんじゃないですかね。
絶対中国語のほうが得意という謎の自信があります。
そんな英語のできなかった高校生の私はそれでも語学を諦めたくないという意地がありました。

それで注目したのが中国語。
でも、中国語なら中国に行けばいいじゃないかというお話は当然出てきますよね。
そこで台湾を選んだ理由は打算に打算を重ねていました。

まず、台湾は「親日国」なんですよね。
筆者は「親日国」とかいう概念は抹殺すべきという固い決意をもつ過激派なんですが、ここではわかりやすく親日国とします。
すくなくとも東アジアの国にしては珍しく日本に対して敵対心を向けてこない稀有な国です。

まあ台湾という国が国際関係上絶妙なバランスの上に成り立ってて、そのバランスを維持するためにもはや国民レベルですり込まれてる台湾なりの強かな戦略なんですが、戦略とはいえ友好的な態度を向けられて嫌な気持ちになる人はいないというそういう理由です。

日本人にとっては、とても住みやすく親近感のある国、基本的な民主主義や自由人権といった基本概念を共有していて、LINEもFacebookも自由に使えないどっかの国とは違うわけです。
留学初心者(?)にとって、台湾留学というのはコスト面でも安全面でも手を出しやすいというのは本当にあると思います。

また、台湾の日本にとっての戦略的重要性が上がっていくという自分の希望的観測がありました。
台湾に関係があったということが将来の自分に役に立つだろうという打算です。

中国の海洋進出や一帯一路構想の推進にともなって、日本が受ける中国からの圧力は増える一方です。
そのような状況下で東アジアの戦略的要所を抑えている民主主義国家が台湾です。

当時高校生の筆者は「今でこそ国交ないけど、これはいつか日台でなにか起きるのでは??そのときに活躍できる人材になりたくない??」という願望を抱いてしまいました。
まあ今でも抱いてるんですけども。

台湾の国立大学に入って台湾の中枢で働く人々とコネクションを作り、来たるべき時に日台の役に立ちたい、そんな希望をもって台湾の大学に入ることを目指して今それを成し遂げたというわけです。

日台関係や台中関係、日中関係を学ぶのはそりゃ日本でもできます。
なんなら日本のほうが進んでる分野もあるでしょう。

しかし重要なのは、台湾からの視点です。
台湾人の受ける教育は台湾人として見方を生み出すベースです。
日台の相互理解に資する人材になりたいのなら、彼らと同じ土台で学ぶことは間違いなく役立つだろうなというのが私が台湾を選んだ理由です。

安易な台湾留学をおすすめしない理由

よく言われるのは台湾の学費は安いって話です。
大学によりますけど、ざっと年間50万円くらいですから。
でもよくよく考えれば日本の国立大学とはそんなに変わらないですよね。
国立大学なら家庭の経済状況や成績によって様々な助成が用意されていますから。

私の家庭は離婚していて、私はシングルの母に育ててもらったので経済的には裕福とは言い難いですが、残念ながら国立大学に入る頭はなかったんですよね。
それでも、日本の国立大学に入れる頭があるなら、素直に日本の国立大学に入ることをおすすめしたいですね。

日本の大学の何がいいって日本語で授業を受けられるところ。
資料も明治から先人達が築いてきた大量の日本語資料があります。
日本は世界でもまれな初等教育から高等教育まで母国語で受けられる国です。
高等教育を受けるために英語やフランス語を学ぶ必要がないという恵まれた国です。
先人達の築いた遺産を活用できることがどれだけ幸せか、海外に来てとても感じます。
台湾で中国語で授業受けるって死ぬほどしんどいですよね。
(これ、日本語で勉強してたらもっと理解できるしもっと成績いいだろうな)っていうこと、ざらにあります。

台湾留学するなら

短期の交換留学とかなら、中国語を学びに来るという理由で十分でしょうが、正規留学にとって中国語は手段でしかありません。
中国語を使って各専門分野を4年かけて学ぶわけです。
その覚悟がないのであれば、そして留学することが目的になってるならやめたほうがいいでしょう。

学科選びも自分のやりたいものを本当に選ぶべきです。
日本で大学行くなら、それこそ大学の名前だけで選んだ興味のない学科で勉強しても、卒業することはできるでしょうし大学の名前を抱えて就活に挑めます。

でも、台湾でそれをやるのは難しいでしょう。
大学の名前だけ重視して適当な学科に入っても、おそらくモチベが維持できません。
(台湾で何してるんだろ……)ってなって、ドロップ・アウトして日本帰る人だってたくさんいます。

卒業後日本に戻る可能性を残すなら、台湾の大学のネームバリューは役に立ちません。
台湾の大学が分かる日本企業の採用担当なんてそんなにいませんから。
エージェントや予備校の割当数や都合で地方の科技大学や私立大学に入ったところで、それは卒業しても「海外留学」っていう分厚い衣をつけて揚げただけで「大卒資格を金で買った」ということに変わりはないんじゃないんですかね。

そもそも台湾留学の情報は既にある程度軌道に乗せてるか、成功している人が自慢や飯の種にするためにネットに撒き散らしてる情報ばかりです。
もちろんそれらは成功例でありますから、大いに参考になるのは間違いありません。
しかし、成功した人の話というのは得てして成功した理由の分析まで踏み込むことはあまりありません。

これは、成功した人間が成功した理由を分析しなくても、成功している状態は変わらないからです。
そのため、再現性が低く、誰にでも応用できるかと言われると怪しいところがあります。

そう考えると本来は、失敗談として台湾留学を後悔している人やドロップ・アウトした人たちの話を聞くのが最もいいはずです。
失敗した人はその状態から回復するためにたいてい失敗した原因を分析します。
また失敗することを回避するためのノウハウは普遍的に応用できることが多いという特徴があります。

しかし、そういった自分の失敗談をわざわざネットの海に流す人はなかなかいません、恥を晒すようなもんですからね。
それゆえ、台湾留学の情報は極めて生存者バイアスが強いと言えると考えています。
また、情報を求める側も積極的に留学したいと考えてるときにわざわざネガティブな情報を集めるようなことをしません。

そうなると検索のアルゴリズムと情報を発信することで稼ぐ人々は耳障りのいい話しか届けないという状態になるわけです。

別に台湾留学を否定するつもりもないんです、かく言う自分も留学してる身ですし。
ただ、安易な台湾留学は自分にとってメリットどころかデメリットをもたらすということを知ったほうがいいかもしれません。
いわゆる日本の一般的と呼ばれるルートを外れるということは、デメリットだって容易に被る可能性があるってことですから。

今後について

このブログでは、台湾留学の負の面についての紹介できたらと考えています。
台湾留学のメリットだけ強調する情報が流れてる中、今後台湾留学を検討する皆さんがよくよく考えて、それでも留学したいと思えるように、考える素材を提供できたらうれしいです。


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