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奇想小説集

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自作の奇想短編小説をまとめたものです。 多少のグロテスクもありますので。
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#ショートショート

小説「視聴者的配慮」

『この作品はフィクションです。作品内に出てくる人物・団体は実際の人物・団体と全く関係あり…

gake
1年前
2

小説「From 巌流島」

こんにちは佐々木小次郎です。 え~私はですね、剣豪です。かつては名のある剣豪でした。 剣豪…

gake
1年前
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小説「575」

東京都 小伝馬町の マイホーム ここにいる 夫婦二人が 話すのは まだ行けぬ 新婚旅行 そ…

gake
2年前
4

小説「スターツアー」

皆さんはスターと聞いて一番最初に何を思い浮かべますか? 芸能人? 歌手? それとももっと…

gake
2年前
5

小説「ペナルティ」

サッカーの実況席。 アナウンサーと解説者がいる。 「アギーレジャパン、本日はライバル、オ…

gake
2年前
3

小説「標識の人」

ある秋の日。 警察署の取調室に、ハットを被った紳士が一人入って来る。 どうも。初めまして…

gake
2年前
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小説「豊穣」

僕が初めて祖母を食べたのは、小学3年生の頃だ。 ある秋の晴れた日、学校から帰った僕はいつもと同じように家族みんなで食卓を囲んで、夕食を食べていた。白いご飯と、僕の大好きな牛肉の入ったビーフシチュー。ニンジンが多いのが少し嫌だったけど、それでも僕の大好物の不動の1位はこの母の手作りビーフシチューなのだ。 モグモグモグモグ。 鼻息荒く茶色い絶品料理を口一杯に頬張り食べ続けていたら、突如、 ガリッ と何か固い物を噛み締めた感触を口の中で感じた。あれ……? 僕の咀嚼が瞬間的に止

小説「おとうふさん」

父さん元気ですか? 僕は元気です。東京の冬は、そっちに比べたら暖かいけれど、でも暮らし始…

gake
5年前
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小説「電気的心理分解」

「いつの頃からか、蝶が飛ぶようになりまして。部屋の中にいるんですよ、蝶が。窓を開けた記憶…

gake
5年前
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乙女、下校、地獄変

夏休みが終わり休みボケした生徒達が、校門からたくさん出て来る。私、節田節子17歳は校門から…

gake
5年前
3

小説「煙突掃除のヒューイ」

オイラはヒューイ。ロンドンで煙突掃除をしているんだ。両親に捨てられて身寄りのなかったオイ…

gake
5年前
6

小説「Glock」

Glock。全長174mm、重量595g、装弾数15発。1980年当時オーストリアのグロック社が開発した自動…

gake
5年前
5

小説「これで終わりの向こう側」

戦地に駆り出され早20日。遂にこんな日が来てしまった……。 俺は恐る恐る重心を移動させずに…

gake
5年前
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小説「遺産」

父の葬式に出席するため、私は1人松本へ向かう特急あずさに乗車していた。東京に出て、早7年。父の反対を押し切り、当時交際中だった男と駆け落ち同然に上京したのだった。私は、長女だから家業を継がなければならないとか、決められた相手と結婚しなくてはならないとか、そういった古めかしい因習がとにかく嫌だった。 今思えば、父に対する反発の感情ばかりが先行し、相手の事をそれ程愛していなかったのだと思う。よく知りもしなかった。どうしようもない男で、浮気癖が凄かったのだ。私の駆け落ちは、そんな