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【日記】包丁と家系

「関孫六」をご存知だろうか。
日本が誇る刃物メーカー、貝印の包丁ブランドである。
ホームセンターやスーパーで見かけたことのある方も多いはずだ。

孫六………?
ともすると、関家の家系はこのような図だろうか。

男系しか載せなかったことで炎上する家系図

ここまで血統を積み重ねた関家の6代目ともなると、孫六氏本人が感じているプレッシャーは相当なものであろう。
ただ、ここまでメジャーなブランドとして日本各地の店頭で見かけるようになったところを見ると、孫六氏の経営手腕は確かなようだ。

※画像はイメージです。

関家の未来は明るいように見える。
次代の曾孫七氏にも期待したい。

ちなみに、孫六氏の玄孫は「昆孫十」となる。
コンソンジュウ。
原文だとcoolだったはずが、翻訳の過程でヘンテコな響きになってしまった海外SF小説に出てきそうな銃器だ。

“減圧室の向こうの異音を耳にしたアンダーソンは、震える手でコンソン銃を静かに構えた。ヤンバ保護帽によって数十倍に増幅された聴覚が拾う自分の足音、何より抑えきれない息遣いがやけに気になる。” 

ゴラン・マラカスニキ 『まっすぐなペパーソルト』より

…………あ、安心してください。訳者が代わって「カーンソン式ガン」になりますから。今回の実写映画を見て、原作初めて読む方には新訳の方がオススメかな。前の訳の方が原文の雰囲気に忠実だし、何より味があっていいんだけどねー、ちょっと初心者には荷が重いと思う笑 そもそもあの映画の監督の原作の解釈がちょっと今までの認識とズレt

閑話休題。

☆そんな由緒正しく霊験あらたか関孫六であるが、私も類に漏れずに愛用している。

深爪と関孫六(万能包丁とペティナイフ)

自炊というものを知らないボンクラ自堕落な学生時代、「とりあえず包丁くらいは買っておくか、ノリで。」と近所の西友で購入してから使い続け早10年。
大小の包丁を持つその姿はまさに打刀と脇差を腰に差した侍。
この二振りの包丁を使い分け、数々の戦を生き抜いてきた。
(たまに負けた。指を切った。痛かった。)

ただ、如何な名刀と言えど常に切れ味抜群ぐんぐんグルト3種の乳酸菌、とはいかない。
☆ここ数年はなまくらと化し、野菜や肉をまな板に押し付けて無理やりちぎり取るなんかちょっと鋭い鉄の板となっていたのが現状である。
これでは腹も切れぬ。なんということでござろうか。
お館様に申し開きもできない。

武士は刀、こぶしは演歌、鰹節は出汁。
そして志布志市志布志町志布志は志布志市役所志布志支所。
QOL(クオリティオブライフないしクエスチョン男ラックススーパーシャインダメージリペア)を身近な所から高めていくことも兼ね、この状況を打開せねばなるまいと常日頃から世論に向けて訴えかけてきたが、そこはボンクラ自堕落な社会人である己の意志の弱さから生じた確固たる意志の強さで薄暗い部屋の中布団に寝転がってようつべのくだらぬショート動画を見続けることで日々過ごしてきた。
これでは有権者もお怒りのチェーンメールを送るのも無理はない。

☆そんな確固たる決意の下、自堕落な生活を送ってきた私だったが、この度ようやく重い腰を上げて刃物を研ぐ気となった。
「え、スゴくない?マジウケんね。アタシの清き一票無駄になってないんですけどーw(有権者のギャル)」

☆ある休日、この4月より暮らし始めた新たな街にて新たなラーメンを探し求め新たなGoogleマップを眺めていたが、目的のラーメン屋の近くに気になる文字列を見つけた。

「○○金物店」

金物店というからには、めちゃくちゃデカくて強力なマグネットを店内にぶち込んだらありとあらゆる金物を吸い寄せてまるで塊魂の如くデカい金物塊(かなもののかたまり)になるのだろうが、そんなことはどうでもよいのだ。
話を逸らさないでくれ。お前はいつもそうだ。

ナーーナナナ ナーナーナーナーナ

その店のレビューにこんな文面を見つけた。

「刃物研ぎもやってくれるみたいです。」

これは……そうか。

すぐさま私は包丁2本を新聞紙でぐるぐる巻にし包丁のミイラを作ったのち、爆風スランプの如く件の金物店へ向かった。
職質される可能性も考え、身分証明書もちゃんと持った。
日本の警察は優秀だ、包丁を2本持ち歩いているのを捕まれば即死刑もあり得る。
一方日本の司法も優秀だから、もしかしたら終身刑くらいで済むかもしれない。模範囚となって刑期を短くできれば良いのだが。
そして、模範的な野茂英雄はノモンハン英雄と呼ばれるのだろうか。真実は私にはわからない。
どなたかご存知の方いらっしゃいましたらご教示願います。100知恵コイン差し上げます。

ようつべ等を参考に、砥石の購入も一度検討してはいたが、以下の理由により二の足を踏んでいた。
・重いモノが増えるのに消極的。
・不器用なために上手く研げるのか心配。
・研いだ際の削りカスのことを“研糞”というらしい。糞て。
・張り切って購入しても一回やって飽きそう。
諸々の理由からみて、「まずプロの研いだ刃物を使ってみても良いのではないだろうか」と考えたのが今回のニュースペーパーマミーナイフ作成の志望動機です。
よろしくお願いします!

☆金物屋は案外広く、金物と呼ばれるであろうありとあらゆる品物が並べられていた。
でっかい鎖からちっちゃいスプーンまで。
多分ウスラトンカチもあるだろう。
すぐに効率を追い求め大きな量販店に向かうエコノミックアニマルがちな我々であるが、専門店というのもなかなかどうして侮れない。
何か金属製のものが欲しくなったらまず金物屋に行くのが正解なのかもしれない。文鎮とかさ。
☆しばし店内を探索したのち、元々欲しかったフライパンを持ちレジに向かった。

☆フライパンの会計時、レジのお姉さんに訊く。
「刃物研ぎってやってもらえますか?」
そして、可能である旨の返答。
私は買ったばかりのフライパン片手に小走りで車に包丁を取りに向かった。
駐車場で三輪車漕いでる金物屋さんちのこどもに「なんで走ってるのー?」と言われた。

大人にも走りたい時があるのだよ、ぼうや。

三輪車に乗りながら大人に言及するのは、
タラちゃんくらいかと思ってたよ。


☆料金は500円、2本で1000円である。
ワンコインも2倍になるとワンビルになるのだな、と取り止めのないことを考えながら私はお姉さんに1000円札を渡し、店の近くの家系ラーメン屋に向かった。
麺ふつう・味ふつう・油ふつうの非早死に三段活用、ノリ味玉トッピングを頼んだ。
おいしかったです。

☆刃物研ぎは数日預りとなるとのこと。
しばらく使う予定もないと見て手持ちの包丁を全て預けたが、次の日に急に食べたくなって豆腐を手でちぎって麻婆豆腐を作ったら、嘔吐物ライクなルックスになってしまったのはまた別の話。
愚行であった。ポケモンセンターが数日預かりであったら、トレーナーも手持ちポケモンを全て預けるなんてことはしないだろう。
そんなことをしたら草むらのLv3コラッタにヌッコロされること必至である。
ヌッコロコラッタである。
俺は、弱い。
人は愚かである。

かわいいふりしてあの子、割と殺(や)るもんだね、と。


⭐︎数日間、私は研ぎ上がりを待った。
大体セリヌンティウス以上あみん未満くらい待った。

話は変わるが、「ちょ、待てよ」と引き止めるキムタクの待ちレベルを1とすると、「待つわ」のあみんはどれくらいの待ちレベルになるのであろうか。
大体320くらいであろうか。いつまでも待つわって言ってるし。
いつか古今東西待ちレベルランキングを作ってみたいってことは、トワノユメ〜♪(ハモリ)

☆3日後、金物屋のお姉さんより連絡を受けた私は伝票を握りしめ爆風スランプの如く包丁を受け取りに走った。
ううん、爆風は嘘。
だいたい微風スランプくらい。
大人にも走りたい時があるのだよ、ぼうや。
……………ぼうや?
ぼうやーーーーーーーーーーーーーっ!!!

徳川家路となり、きたくりこと化しとろみをつけた後、包丁を取り出してまず驚いた。
新聞紙での包丁の巻き方があまりにも洗練されている。
ピンと張られた新聞紙は一分の無駄なく刃先を覆っている。ここまでの精度、おそらく古代エジプト人もミイラ作りの閑散期の副業として研いだ刃物を新聞紙で巻いていたはずだ。
兼業・副業の自由が叫ばれる今、現代に生きる我々が見習うべきは5000年前の古代エジプト人の就業形態の自由度なのかもしれない。
私はナイル川に愛を伝えたい。大河万歳。

肝心の包丁の切れ味であったが、これも最高であった。
石川五ェ門もあまりの切れ味に「またつまらぬものを切ってしまったwwwwww」と破顔しながらルパンと次元に豚汁を振る舞うだろう。
勿論塩むすびとたくあんも添えて。
こんにゃくが切れる分、斬鉄剣よりむしろこちらの方が優っているのではないだろうか。

力を入れずとも包丁の重みで食材に刃が通っていく感触は何物にも代え難い体験である。
肉も野菜もスッスッスッスッ。悲しい過去も切り裂いて。
切れ味に歓喜した私は近所の西友で食材を買い込み、大量のバーモントカレー甘口を作った。
鍋いっぱいのバーモントカレーはまだ余っている。どうすんだよこれ。

☆色々言ったが、結論としては数年使っている包丁があるのであれば面倒でも一度研ぎ直しをしてみることをおすすめする。
切れる刃物がこれほどまでにストレスフリーで楽しいものだとは知らなかった。
キッチンで一人にやつきながら食材を切り刻む時間をあなたにも体験していただきたい。

ありがとう関孫六。

ありがとう家系ラーメン。

ありがとう金物屋。

そしてぼうや……
君のことを私は忘れない。

☆私の生活は、家系ラーメンの中毒性と関孫六の家系の正統性に支えられているのだ。
これがかけがえのない人生。

私はこれから家系を尊び敬い生きていく。

嗚呼、素晴らしき家系。

☆ビバ家系。

ライスは食べ放題となっております。

※追記ング(編集部注:追記の王様)

⭐︎が付いている文章を読むだけで今回の記事内容はおおよそ把握可能な形式となっています。
情報の溢れるネット社会。
自分で必要なものと不要なものを取捨選択するっていうのはすごく大事なことですよね。

じゃ!

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