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私の中に原点として、息づいているもの~「東大生」という加害感

Learning for Allの李炯植さん

現内閣肝入りの子ども庁創設について、自民党の総裁選挙をめぐる議論でも争点となっています。
その流れでニュースを見ていたら、NPO法人Learning for Allの李炯植さんが子ども庁について話されている記事を見つけました。

大学時代の大好きな友人から、「東大にいた頃、シンパシーを感じたのは李炯植さんと畠山勝太さんと勝一郎なんだよね」と言われたことがあり、私は勝手に親近感を抱いていました。
※ちなみに、大学で同じクラス&寮だった畠山くんが去年注目を浴びた記事がこちらです。心から尊敬する、信念の塊のような人間です。

そこで、李炯植さんの記事を読んで、強烈に「わかるぞ、わかる!!」と叫びたくなりました。私も東大で同じような思いになったからです。

私が東大で感じた違和感・阻害感

私自身は、大学入学時点で父親が定年退職したことで世帯年収200万未満、また障害者認定証明をすることで学費が無料という状況でした。当然奨学金のお世話になりながら、入学後すぐアルバイト漬けです。
翻って周りを見ると、東大生の出身はやはり裕福な家庭が多かったです。当時のデータは見つかりませんでしたが、2018年のデータを基にした記事では、年収が750万円を切る家庭が1/4以下とのこと。

近年は、より教育格差が叫ばれる中で上記の事実も注目を集めているように思いますが、当時からその格差は顕著だったように感じられました。

そこから、「格差の上位側」に位置したような違和感が私の中にありました。うまく説明できませんが、ほぼこれは罪悪感に近い感覚でした。

小学校の頃、人間的に本当に尊敬できる親友がいました。学業もそうでしたが、もっと総合的な意味で「この人はスゴい」と感じていました。
私は中学からずっと県外に出ましたが、彼は様々な家の事情で出られない状況でした。帰省の際に彼と話していると、言葉の端々にその悔しさを感じていました。

その時点で私は、自身の環境の「加害性」と向き合うこととなりました。県外に行くことのできた私と、状況が許さなかった彼。両者を隔てた溝は、中高、そして進学を機に東京へ行ったことで私の心の中で海溝のようにさらに深まっていきました。

大学に仲の良い友達はいても、その違和感なり罪悪感なりを共有できる相手は多くありませんでした。この感覚は居心地の悪さとなり、大学から足を遠ざけるものとなりました。

「人生イージーモード」になりたくない

就職活動が本格化していく前、知らない番号からの電話がありました。
日本で知らない方のいないような大企業の人事部の方でした。私自身は、上記のような罪悪感で「東大→大企業で高年収」への拒絶感が強く就活サイトにも登録していませんでした。
不思議に思っていると、その電話は「東大生である私」にかけられたもので、エントリーして欲しいとのことでした。どこからか私の名前と電話番号が伝わっていたようです。エントリーすれば、その先が保証されるような感覚を受けました。
周りからも、これも誰もが知る大企業の説明会の終了時、後ろから退出していくと前の列の学生だけが残され全員が東大生という状況下で「ウチの会社に入ったら、さっきのコたち全員使っていいから」と言われたという話を聞いていました。

この電話は、私の罪悪感に拍車をかけることになりました。
いわゆる「イージーモード」に乗っかってしまったような感覚
「東大卒」で生きていくと、その加害感がずっと続く人生になってしまう。その悩みが深まった結果、私は大学を中退することにしました。
周りの方々からはほとんどにおいて「なんでわざわざ東大まで行って。。。もったいない」と言われますが、私の中ではその加害感と向き合い続けるのは最も耐えがたいことでした。

原点にして、今なお息づいているもの

そして、そのような加害感の原点にあるのが、前述の友人でした。
無邪気かもしれませんが、そこで引き裂かれてしまった感覚が私の中に未だに残っています。だから私は地元沖縄に帰ろうとしているのでしょう。
それが「沖縄に生まれた子どもたち1人ひとりが、生きたい人生を描くサポート」というビジョンに繋がっているのだろうと思います。

今沖縄を生きる子どもたちが、あの時の私かもしれない。そして私の友人なのかもしれない。そのために、為すべきことをやっていきたいと思います。

昨晩、寝る前に改めて去年話題となった山邊鈴さんのnoteを読み直しました。

>これまでも、そしてこれからも、私は皆さんの心の中でかくれんぼしてる、いつの日かのあなたです。

読んでいて、自身の体験を思い返す契機になりました。何度読んでも、本当に素晴らしい文章だと感じます。
また、世代は違えど同じように世界へ同じような眼差しで取り組んでいる同志のような方がいらっしゃることに勇気づけられました。

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また、9月は毎日noteを書いています。GAJYUMARUについて皆さんによくご理解いただけるようにしていきたいです。
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