『君たちはどう生きるか』ネタバレあり考察&批評 大叔父とは誰か?

 宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を見てきました。
 とてもわかり易い作品だと感じました。
 メッセージの部分も納得感がありました。
 宮崎駿作品でよくある「複数のものがめちゃくちゃ動く」アニメーションは健在だし、観客も老若男女さまざまいていい感じだったのでお祭りとしても良かったのではないでしょうか?
  
 ここでは作中の重要人物と見られる大叔父を中心に語ります。
 
 この作品には宮崎駿の写し身的なキャラが出てきていると感じました。
 本を読みすぎて失踪したという大叔父ですね。
 大叔父は不思議な石の力により作り出した別世界にいて、アオサギに導かれた主人公とも会うのですが、大叔父は自分が作り出した世界を気に入っています。
 積み木を好きに組むのが世界のありようを決めているみたいで、積み木の数は13個あります。
 数えてないですがたぶん宮崎駿が作り出した長編作品もそれぐらいなので、積み木や別世界はおそらく宮崎駿が作り出した映画の世界の象徴なのでしょう。
 
 大叔父が自ら美しい世界と語るその世界は、一言で言えば弱肉強食的な世界。
 わらわらを食うペリカンや人を食うインコまでいます。それ故に、美しくも矛盾をはらんだ世界になっています。
 これは「もののけ姫」や「風の谷のナウシカ」の原型みたいな世界観だと感じます。

 大叔父はこの世界を、主人公の眞人に継承してほしいと願っていますが、最終的なは眞人はそれを拒み現実に帰還。
 大叔父の「やがて現実は火の海になるのに帰るのか」といったセリフが印象的です。
 同時に、この世界で権力を得たインコの裏切りもあり大叔父の世界は消滅してしまいます。
 ここで伏線回収なのか?現実に投げ出された主人公たちに突きつけられるのも「君たちはどう生きるか」という命題。
 また主人公をそこまで支えたのも『君たちはどう生きるか』
 ざっくり言うとこういう流れ。

 また他のキャラにも触れるとアオサギは、水の力で夏子の虚像を作り出したり、そもそも鳥の姿に化けており
 若いコンピュータ世代が宮崎駿にはそう見えてるという感じかもしれません。

 ヒミやキリコといった、女キャラのあり方は基本的には宮崎作品に出てくる女キャラのあり方に似てると思いますが、夏子というキャラも出ていて、その辺もちょっと深めた描写になったのかなとは思います。

 


 

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