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音ゲー公募に挑戦するとき考えてること

私の楽曲公募採用実績は以下の通りです。(最終更新:2024年6月時点)

SOUND VOLTEX
・XXanadu#climaXX
・Brave Power Leader 《 = Voltage = 》
・Max Burning!!(GαineN Beyond yΩu Remix)

太鼓の達人
・弧

「概念」という名前で楽曲制作を行っております。いっぱいあそんでね。

また、SOUND VOLTEXにおいては書き下ろし楽曲も提供させていただきました。ΣMERGENCY CODΣという楽曲です。

記事の最後に落選を含めたすべての公募実績を記載しておきます。気になる人は最初に目次からジャンプしてもらえればと思います。


・はじめに

音ゲー公募、受かりたいですよね。
しかし、音ゲー公募に関する攻略情報は意外と少なく、どうすればいいのか困ったりもしますよね。

ということで、僭越ながら私が音ゲー公募に挑戦するときに意識していたことを記載します。

注意なのですが、これから述べていくのはあくまで音ゲー公募に1度でも受かるにはどうすればよいか、という観点の話になります。

いい曲を作る方法とか、作曲家としてプロになる方法、という観点では無いのでそちらをご了承のうえでご覧いただければと思います。

また、本記事は「音ゲー曲の作り方」のような技術的な話ではなく、公募というシステムにフォーカスした際の考え方やマインド的なお話をしていきます。音ゲーっぽい曲に作り方に関しては調べればいろいろ出てくるので自分で調べてみて下さい。

では、本題。



・その曲で遊ぶプレイヤーがいることを意識しよう

音ゲー曲は、大前提としてゲームで遊ぶための曲です。
プレイヤーは曲を聴くだけじゃなくて、その曲で「遊ぶ」のです。

ゲームのため、遊んで楽しい曲を意識しましょう。聴いて気持ちいいとか、音楽的にいい曲である、というのも大事ではありますが、第一は遊んで楽しいかどうか。これをしっかり意識しましょう。


・そのゲームで実際に遊ぼう

その音ゲーの面白さや特徴を自分なりに見つけるまでやりましょう。
難しい曲ををクリア出来なくてもいいので、面白さを見つけるまでプレイする。見つけた楽しさを言語化出来るとなおグッドです。

あなたがその音ゲーの楽しさを理解していないと、遊んで楽しい楽曲を作ることは難しく、結果としてそれを遊ぶプレイヤーも楽しくなれない可能性が高いです。自分で面白さのツボを押さえておきましょう。

・ゲームの譜面を意識しながら作ろう

譜面全てを想像する必要は無いですし、ガチガチに意識しなくてもいいです。ただ、こういうリズムでボタンを叩いたりタップしたら気持ちいいかな〜的なことを意識してみましょう。

もちろん、可能であれば譜面そのものを意識できるとなおグッド。

大抵の音ゲーは「まるで楽器や音楽を演奏しているみたいな感覚になる」というのが共通の楽しさだと思っているので、演奏感は大事にしたいですね。



ボルテ
・ここはつまみがギュイーンってなるな!
・ここは直角がバンバンバンってなるな!
・ここは階段がパラパラパラーってなるな!

太鼓
・ここはドドカッドドカっドドカってなるな!
・ここは連打〜〜〜!!!ってなるな!
・ここは楽曲のキメにドン(大)が来るな!


こういうのを想像する時にプレイした時の感覚が活きてきたりしますね。


・早い段階で盛り上がりポイントを作る

音ゲーの「公募楽曲」は、冒頭のつかみが大事になってきます。楽曲が始まってゆっくり盛り上がっていったり、キックとベースだけがシンプルに鳴る展開を続けたりするのは避けた方が良いです。

良い例としては、冒頭にサビを持ってくるとか。イントロは短めにして、すぐに音数の多いパートを持ってくるとか。とにかく冒頭でグッと聴衆を惹き付ける。

理由は正直よくわかってないのですが、これを実践して私も採用をいただいてるので、ひとまずこのポイントを押さえておくのがいいと思います。実際に採用作品を聴いていただけるとその傾向が顕著に感じられるはずです。

無理やり理論付けるとしたら、開幕からグッと盛り上がる方が、プレイヤー的にも公募審査員的にも、楽曲を続けて聴きたい!遊びたい!という興味やモチベーションが高まり、好印象になるのではないかと考えてます。

もちろん、ゆっくり盛り上がる楽曲も音楽的には素晴らしいです。ただ、音ゲー公募という枠の中では、少し不利になる傾向があるので、意識して作ってみると良いでしょう。


・The音ゲー曲(音ゲーコア)を避ける

「音ゲー曲を作るのに音ゲー曲になっちゃいけないの?」と思うかもしれませんが、前述の譜面を想像しながらつくろう、の延長線上にある考えです。

昨今は多種多様な音ゲー曲が存在しており、なんとなく「音ゲー曲ってこんな雰囲気だよな」という共通認識があるように思えます。

テンポが早い、シンバルがジャカジャカ鳴っている、高速のシンセメロ、歪んだキック、などなど。

なんとなくそれっぽいですよね。それらがふんだんに盛り込まれてるのが、音ゲーコアと呼ばれたりします。しかし、その意識に引っ張られすぎるとドツボにハマることも。

あまりに引っ張られすぎると、「音ゲー曲って、こんなもんでしょ?」という良くない考えが産まれ、譜面の想像やゲームに合った曲を作るという意識が薄くなってしまうことがあるんです。

これはあくまで私の考えですが、「音ゲー曲」や「音ゲーコア」を作るという意識を最初にするよりも、そのゲームに寄り添った、「そのゲームにあった雰囲気の曲」を書き下ろすんだ!っていう気持ちで作るのが正しいアプローチなのかなと思います。

もちろん、それらをしっかり考えたうえで、テンポが早い、シンバルをジャカジャカ鳴らす、シンセを高速で鳴らす…等の要素が必要だと判断したのなら、それは問題ないと思います。それが「そのゲームのための曲」になると思うので。

思考停止で音ゲー曲っぽい曲を作ると足元すくわれるかも、というお話でした。


・ボス曲を避ける

ボス曲というのは、いわゆる高難度の譜面が付く楽曲。ボルテのKAC公募や太鼓の大会課題曲公募など。

上記のような明らかに高難度を欲している公募以外は、ボス曲を作っても採用されにくい気がしています。理由は以下。

①:ボス曲ポジションはライバルが多いから
ボス曲は話題になりやすいので多くの人が狙いがち。ライバルが必然的に多くなります。

②:ちゃんとしたボス曲はプロ(実力者)に別で発注するから
もしあなたが音ゲーを作る側の人間だったらどうでしょう。
見ず知らずのアマチュア作曲家か、経験豊富なプロ作曲家。
ボス曲というゲームにとっての大事な局面を任せたいのは、どちらですか?

③:そもそもボス曲を高いクオリティで作るのが困難
「楽しい」と「難しい」のバランスをとりつつ、楽曲としても高いクオリティの曲を作るのは困難なため、最終的な作品クオリティが落ちてしまう可能性があります。


各機種における公募採用楽曲の難易度設定も、基本的には中の上くらいの難易度に落ち着いてる(私調べ)ので、特にこだわりが無く、なんでもいいから採用が欲しい!って人は以上の理由からあからさまなボス曲を作るのは避けた方がいいと思います。


・過去採用楽曲、落選供養を聴いて傾向を探る

既にゲームに実装されている採用楽曲と、ネットに上がっている落選供養を聴き比べてどのような差があったのかを自分で考えてみましょう。もちろん明確な正解は無いのですが、採用側がどんな楽曲を欲しているのかを想像するために聴き漁ることをおススメします。

落選供養の楽曲が一概にダメというわけではなく、楽曲としてのクオリティは非常に高いものが揃っています。楽曲クオリティは高いのになぜ落選してしまったのか?という理由を採用作品と比較しながら考えてみると何かが見えてくるかもしれません。


・複数のジャンルを掛け合わせた楽曲を作る

1曲におけるジャンルは最低でも2つ詰め込む意識をすると良いでしょう。ジャンル2つ目はアクセント程度でも良し。

楽曲公募というのは既存の曲には無いような奇抜で新しい楽曲を求めている可能性が高いため、聞き手に驚きを与える必要があります。また、ひとつのジャンルに特化したプロとの差別化を図る意味合いもあります。

パッと頭に浮かぶほどポピュラーな楽曲が欲しいならその道のプロに発注すればいいだけですからね。

自分でも笑っちゃうくらい無茶なことを思いついたらチャンス。そのアイデアは捨てずに楽曲にぶち込んでください。


・プロや有名人と戦って勝てる気しないよ!

公募は基本的に誰でも参加できますので、プロの作曲家も同じ公募に挑戦していることもあるでしょう。あなたの憧れのアーティストだって居るかもしれません。

公募は、そのような存在達と同じ土俵で戦わなければなりません。
その事実に、少しビビってしまうのはわかります。

しかし裏を返せば、プロと同じ土俵で戦えるチャンスでもあるわけです。学生でも、社会人でも、フリーターでも、誰でも。同じ土俵に上がることが出来ます。

本来であれば自分の曲が音ゲーに入るチャンスなんてそもそも無いですよね?そのチャンスが目の前にあること自体が奇跡に近いんです。

だから萎えちゃいけない。そこで負けねぇぞって思えるか。
誰にでもチャンスがあるのが公募なんです。

諦めないでください。


・どうせ有名人だけが受かるんでしょ?

公募の話題を漁ってると、どうせ有名な人しか受からないんでしょ?という話を散見します。

無名でも公募受かります。私の存在がその証明です。
私が初めて公募採用されたのはボルテだったのですが、その時はTwitterフォロワー23人だったみたいです。スクショが残ってました。

ウキウキで収録曲「????」ってのをやったときのスクショ(ID変わってますけど私です)

次に採用された太鼓の達人でも、審査時点のタイミングではボルテで採用されたことは公表されていなかったため、「ボルテで採用されてネームバリューがあるから太鼓でも採用しよう」とはなっていないはずです。

つまり、公募に受かりたいならやることは1つ。採用されるような曲を作ること。それだけです。どんなに苦労して曲を作ったか、なんて関係ありません。過程はどうであれ、受かる曲が作れるかどうか。それだけなのです。

ということで、有名じゃないせいで受からないとか、ネームバリューが無いから受からないという心配は無用ですので、安心して曲作りを続けましょう。


・運に左右される面もある

まぁ、運の要素も否定できません!

いくら流行りを読もうが、競合を避けようが、他参加者とのネタ被りやバランスで採用結果は変わってきてしまうでしょう。それはもはや運でしかありません。

そう考えないとこちらのメンタル的にもキツいですし。落選の際、反省は必要ですが、一定のラインで割り切ることも必要です。メンタルを追い込みすぎてしまい、楽曲そのものが作れなくなってしまっては本末転倒です。

唯一、運に立ち向かう方法があるとすれば、それは試行回数を増やすこと。ガチャは出るまで引く。公募も採用されるまで出す。それだけです。細かくトライ&エラーを繰り返しましょう。


・四の五の言わずとにかく挑戦してみろ

「まだ公募に挑戦できるほどの実力じゃないし……」
「クオリティ高い曲が作れるようになったらいつか挑戦しようかな!」

その”いつか”、永遠に来ません。

さっさと公募に挑戦しましょう。

私が公募に応募する際は、全力で渾身の楽曲を送り付けています。しかし、その楽曲の出来に100%納得しているかというと、そうではありません。

100%全力の作品を作ってはいますが、100%完璧の作品なんて作れたことは無いんです。

時間が経つほど、もっと頑張れる部分があったんじゃないか?という気持ちが強くなり、それが無くなることは永遠にありません。落選したときも、採用されたときも。

つまり、あなたがあなたの作る楽曲に納得できるときも、同じく永遠に来ない可能性が高いと思うのです。

そもそも、あなたがクオリティに納得したからと言って公募に受かるわけではありません。クオリティや作品を判断するのは公募提出先の運営サイド。あなたとは価値観が違うが故に、あなたがダメだ~~~!と思っていても、運営サイドからしたらいい感じ~~~!と思ってもらえるかもしれません。

もちろん、自信が無い人の気持ちもわかるつもりです。誰かに作品を評価されることは、怖いことだし、落選することで自分の実力が浮き彫りになるのは恐ろしい。公募に出さなければ落選することも無いので、いつまでも「才能あるかも」という気分でいられますからね。

しかし、音ゲー公募に受かりたいという目標や夢は、そもそも作品を送らない限り、叶う可能性はゼロ。そして逆に、送りさえすればゼロではなくなるんです。それは0.1%とか、0.01%とかかもしれないけど。

先述のとおり、公募はトライ&エラーだと思っています。トライしないと、なにがエラーだったのかわかりません。逆に、自分ではエラーだと思っていたことが、実はエラーじゃなかった可能性ももあります。自分の曲調って音ゲーに向いてねぇんだよなぁ…って思ってても、そのニッチな曲調を運営側が求めていて、公募に受かっちゃったりするかもしれません。もちろん、木っ端微塵に落選するかもしれません。

誰も結果なんて予想できない。何が起こるかわからないんだから、四の五の言わずに挑戦してみましょう。




・さいごに

便宜上、偉そうに語らせていただきましたが、私も修行中の身です。

タイミングが合えば私もまた公募に参戦するかもしれませんが、その時はお互い正々堂々殴り合いましょう。

この記事においていろいろ手の内を明かしましたが、そのうえでも負けるつもりはありません。

以上。ここまでご覧いただきありがとうございました。



おまけ
音ゲーの譜面を作る側の人がどんなことを考えているかということがわかる(気がする)文献をご紹介します。譜面制作者の気持ちがわかると、楽曲にどんな要素を盛り込めば楽しくなるのか考えやすくなるかも。

オンゲキというゲームの話にはなりますが、どの音ゲーでもなんとなく考えは応用できるんじゃないかなと思います。

このページだけではなくバージョン毎にいくつか記事が出てたと思うので 音撃譜面部会報 で検索してみてください。そんなに数は無かったと思いますが、1個1個の密度がすごいので少しずつ読むつもりでどうぞ。皇城セツナすこ

・参加したすべての公募の戦績

◆太鼓の達人公募2020
 →落選

◆Arcaea公募2020
 →落選

◆ボルテ公募 キャラクターテーマ楽曲コンテスト
 →採用(XXanadu#climaXX)

◆ボルテ公募 KACコンテスト2020
 →落選

◆太鼓の達人公募2021
 →採用(弧)

◆ボルテ公募 BPLコンテスト
 →採用(Brave Power Leader 《 = Voltage = 》)

◆ボルテ公募 10周年リミコン
 →採用(Max Burning!!(GαineN Beyond yΩu Remix))

※出したかったけど結局出せてない公募がたくさんあります…チュウニ公募とかスマホ音ゲー公募とか。
四の五の言わずに挑戦してみろ、という話は私自身に説教している話でもあるのです。


では、またどこかで。

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