【物語】三号車【短編】〜大学生の恋愛譚
ふいに、頭をぽんと叩かれた。
「村田先輩!」
私は読んでいた小説をパタンと閉じて、少し首を傾けて空いている右の座席に向ける。
先輩は黒のリュックを前にして隣に座った。
それとほぼ同時に電車のドアは音を立てて閉まった。
ーーーーつぎは新百合ヶ丘、新百合ヶ丘、、、
「なんか三号車に行けば菜々子が居るって思うと、来ちゃうなあ」
「嬉しいです先輩、でもみんなに言ってるんでしょ、それ。先輩のサークルの後輩、バイトで一緒なんですけど、『あの先輩めっちゃフレンドリーだから勘違いし