四条烏丸へ謎の絨毯を見にいく
今年も祇園祭山鉾巡行は中止になりました。去年取り換え損ねたチマキはボロボロになってしまったので、オンラインでお取り寄せいたしました。
しかし文化継承の為に一部の鉾立は行われるということで、人混み恐怖症の私にとって、まじかで山鉾を拝見できる千載一遇の機会ではないか!と京都まで行ってきました。しかも人気が無い明け方に鑑賞しようと鉾町ど真ん中に宿泊。
残念ながら雨もよいの天候のためビニールで覆われた長刀鉾ですが、かぶりつきで謎の絨毯をしげしげと観察。かつてNHKがこの絨毯を特集し、黒っぽい獣毛を遺伝子鑑定した結果、チベットカモシカではないかと結論していました。が、織り手としてのカンではそんな珍しい動物ではなく、どこにでもいる近しい動物ではないかと思います。それはこの絨毯自体がキバリがなく、わりとよくある文様を組み合わせていることから受ける感触です。新疆ウィグルあたりの絨毯ではないでしょうか?地味な色合いからするとモンゴル系の人が作った?どちらにしても様々な地域の文様が組み合わせてあり興味深いことは確かです。
それより、ここまで糸が摩耗して無くなっているのは何故だ?赤穂緞通でもきつい鉄媒染をかけた糸は抜け落ちてしまうことがよくありますが、他の絨毯の保存状態のよさから考えると、いつ糸が摩耗したかというのも大きな謎です。京都に来てからではないとすると、なぜ半分近くの糸が抜け落ちている絨毯をわざわざ購入して胴掛けに使ったのか?どなたかこの謎を解いていただきたい!
その他、月鉾前掛けの有名なムガール絨毯や函谷鉾、放下鉾など、とても美しい絨毯をたっぷり眺められて幸せなひと時でした。先祭りと後祭りがわかれて行われるようになってからは、ずっと後祭りの日程に合わせて行ってましたし、四条烏丸界隈の混雑はそれ以前から避けていたので、初めて拝見した鉾も多くて充実感いっぱいです。それにつけても何百年も前の絨毯がこんなに綺麗に保存されているのは、ひとえに京都鉾町町衆の尽力のおかげです。コロナ禍の中で絨毯の虫干しの為に?鉾建てやってくださる心意気に乾杯!
おまけ
今年は屏風祭りの方に回らなかったので、知り合いが送ってくれた杉本家の赤穂緞通の写真を追加しておきます。最初の1枚、色褪せた藍無地と銀の川が黒く変色した屏風。飴色に光る夏建具に蓮の葉をいけてあるのは硝子の花器なんですよ。