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色あせた御寮の欠片を額に入れる
この話は春の倉敷はしまやの展示会場から始まる。訪れた方が飾ってあった小さな古緞通額を気に入られたのだけど、それははしまやさんにプレゼントされた非売品だったので、大きめの古緞通額を注文してくださったのだ。藍の色褪せた色合いがお好きだということで、自分用に取っていた古い御寮の欠片を額仕立てにすることにした。
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作業をしていて、上部のハセ(結び)が見える処はそのままハセた糸と横糸経糸が見えるように切ることにした。この織り手の技がとても美しくて感動したから。
私たちは100年ぐらい前の古い緞通を洗って修復しているが、その理由は美しさに魅了されているからである。古緞通と呼んでいる赤穂緞通は、古くなったから美しいのではない。古くなっても美しいから現代に残ったのである。でもこの織り手さんは自分の作った緞通が100年後にボロボロになって現役として使えなくなり、切り取られた欠片として額装されることになるとは夢にも思わなかっただろうな。
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久しぶりに自分で欠片を手入れする作業は楽しかった。額はネットで個人で作られている品を入手し、それにペンキを塗り足して仕上げた。裏板は地元の木工作家さんの工房に駆け込んで、藍染にしてもらった。その藍染液は自分の作品用にはヘタってしまっているので、同じく地元の和紙のあかり作家さんが引き取ることになっている。この緑がかった色合いは私がとても好きな色なのだが、終わりかけた藍の液でしか取れない色なのだ。概ね男性はこの色が好きではない。性別で判断するのは如何なものかとは思うのだが、経験として男性は濃紺を評価する。武具に使われた勝色(搗色)がそうだし、徳島の本藍染矢野工場の素敵な親子2代の染師さんは濃い色を出すことに体を張っておられる。
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額に2cmの窪みを作って、フェイクの小枝を入れてみる
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というわけで完成した品がこちらです。あとは発注されたお客さまにお見せして、お好みかどうか判断していただくのみです。
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