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三つ子素数は有限個

出題編

13, 15 のような「連続した2つの奇数」であって、かつそれらがともに素数である場合、その2つの数を 双子素数 と呼ぶ。双子素数は 3と5、11と13 など多数存在している。双子素数は無限にあることが予想されているが、無限に存在することはまだ証明されていない(はず)。

ここで問題。

連続した3つの奇数(例:13, 15, 17)がすべて素数となる「三つ子素数」は有限個しか存在しないことを証明せよ。

「双子素数が無限に存在する(あるいはしない)ことを証明せよ」はかなり高度な問題だけど、こちらは高度な数学の知識を必要としないし割と簡単に証明できる。

解答編

3つの連続する奇数の最初の数を n とする。このとき残りの2つの奇数は n+2, n+4 となる。最初に、任意の 自然数 n について n, n+2, n+4 のいずれか1つが3の倍数であることを示す。

n 自体が3の倍数である場合は自明。

n を3で割った余りが 1 の場合、つまり n = 3m + 1 となる場合(m は自然数)2番めの奇数は n + 2 = 3m + 1 + 2 = 3m + 3 = 3(m + 1) となるため2番目の数が3の倍数となる。

n を3で割った余りが 2 の場合、つまり n = 3m + 2 となる場合3番めの奇数は n + 4 = 3m + 2 + 4 = 3m + 6 = 3(m + 2)となるため3番目の数が3の倍数となる。

任意の n について n を3で割った余りは 0, 1, 2 だけなので任意の自然数 n に対して n, n+2, n+4 のいずれか1つが3の倍数であることが示された。

よって連続する3つの奇数があれば必ず3の倍数が含まれることになる。3の倍数であってかつ素数である数は3だけであり、3を含む3つの連続した奇数は「1, 3, 5」「3, 5, 7」しかない。この中で3つとも素数なのは「3, 5, 7」だけなので三つ子素数は「3, 5, 7」しかありえない。よって三つ子素数の組は有限個(1個)しか存在しないことが示された。

余談

証明は以上だが余計な説明もしておこう。「3つの連続する奇数に必ず3の倍数が含まれることを証明せよ」は高校生やちょっと気の利いな中学生なら証明できるだろう。証明はできない人でも質問の意味は理解できるし実際にいくつかのケースを試して確かに3の倍数が含まれることは実感できるだろう。

ただこの証明自体はそれほど数学ではない。「三つ子素数が有限個しかない(もっと言うと一組しかない)」ことを証明するために「3つの連続する奇数には必ず3の倍数が含まれることを証明すれば良い」ということに気づくことの方がよっぽど数学だ。それに気付ける人が次のステップに進むことができる。ついでに言うと、双子素数という言葉を知ったときに「だったら三つ子素数ってあるのかな?」という疑問を持つことはとても重要だ。

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