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議論はするな

信越地方は雪深いエリアが多く冬場は外に出られないため室内で家族や知人と議論(ディスカッション/ディベート)する機会が多い。

ゆえに信越地方の人たちは議論好きな県民性を持つとよく言われる。

小学校だか中学校でもディスカッションの授業があったと記憶する。いや本格的には高校からでしたか

あるテーマを2つの二項対立する意見を設定し、いずれか一方の立場に立ち、その主張を論理的に展開し、平たく言うと敵チームを言い負かすというゲームだ。

このゲーム中に興味深いのは、自分はさも論理的に話を構築しているという錯覚(バイアス)に陥るも

傍からみたら、なんとも支離滅裂で自己に都合の良い論を断片的に繋げているものだ。と目に映る。

そんなことは稀ではない。

ディベートはカタカナ語であることから明確なように西洋欧米から輸入した概念だ。

相手を説き伏せ、自説を広く知らしめることで勝利の美酒を味わい、どんどん攻撃的な性格が形成されてゆく。

これが昨今、流行り言葉になっているマウントを取るという行為のメカニズムかと存じて候。

先程、バイアスという言葉も使ったがこの言葉もマウント取り同様に昨今よくつかわれる言葉であると認識して候。

バイアスは偏り、傾きが直訳であり、偏見や思い込みとこの場合は意訳される。

自分だけはパンデミックでも絶対に感染せず世界の最後の一人まで生き残ると考えるなどの正常性バイアスとか代表的。

議論の場合はロジカル恒常性バイアスとでも言おうか、

自分はさも論理的に破綻がなく、「正しい」と思い込み(バイアス)を持つものの大抵の場合は自分に都合の良い解釈を随所に当てはめ、時には言葉の定義を都合よく変換したり、

仮にその会話を録音していて後で自ら聞き直したら赤面するなんてことはザラではない。

それでも現代の日本人は概して議論好きだ。

そして多くの人が議論にはほぼ勝利していて自分はさもロジカルな人間であるという錯覚を持つ。

勝つ人がいれば同じ数だけ負ける人もいるはずなのに、自己申告で議論における勝率を出させると、計算が合わなくなることはしばしばだ。

私は最近、議論での勝利欲求からは出来るだけ距離を置きたく

不毛な議論であると感じた場合は忍法「議論放棄」の術を駆使している。

双方が自己判定で勝利したと錯覚し残るのは不快感や相手への敵意だとしたらこんなに馬鹿げたことはないから、

将棋を指していて途中で逃亡したら卑怯だし禍根も残るだろうが、議論に関しては中途ドロンは粋な行為と言えまいか。

とここまで月並みな論述を行ってみた。

高校生の小論文レベルのありがちな論述である。

この議論ドロン術は身近な関係であればある程活用すべき。

言わばスルーするということで

日常ではよく見られる風景かと思う。

しかし先日、私は国家警察から職質を受けてあらぬ容疑を掛けられたためそれはもう、冷酷無比なディベート術で言い負かし(相手がこりゃ駄目だと匙を投げさせるところまで持ち込む)、そもそも冤罪めいた因縁をつけられたことなので勝利は端から確定なのだが、

日頃、それをやると人間関係がこじれるのが嫌で議論ドロンをしているストレスを気の毒なお巡りさんにぶつけた結果となった。

お巡りさんにしてみたら交通事故にあったようなものである。
ディベートモンスターの容赦なき全力投球を喰らい、さぞや不快な思いをされたことだろう。

やり過ぎると公務執行妨害になることはわかっており寸止めは心得ているつもりであり、ギリギリラインまで攻撃を行った。

それは人としてどうなの?品性は?と批判を受けそうな行為であるが、濡れ衣を受けた際に全力で人は否定にかかるものではあるまいか?

これは市民と警察の関係でなくとも店員と顧客の関係でもよく見られる風景であり、行き過ぎた顧客側からの顧客特権の発動はカスハラ(カスタマーハラスメント)と呼ばれ、カスハラした方が批判の対象となりがち。

私もポリスメンにカスハラをしたのだろうか?

市民の強み(今は警察の方が昔と違って立場が弱く強権的な態度に警察蛾出たら、例えば新聞に投稿したりするモンスターなども数多く存在する)を過剰利用した一種のハラスメントにあたるのか?

それは一概に判定し難い問題であり、シチュエーションによってハラスメント認定されたり、それはセーフな行為だと広く認められたりする。

今回の場合(いや今回に限らず)私のバイアスがかかっているから、自己判定では品性に欠けるまでは行かず当然の行為と認識する。

おそらく相手方(警察サイド)からしたら、市民特権を振りかざし好き放題言いやがってという判定であったに違いないが。

いずれにせよ身近な関係では全力投球の議論は人間関係を破綻させるリスクが大きいからドロンの術は大切。

負けるが勝ちというのは結婚している特に男性方なら身を持って体験しているところであろう。

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