心配性

例年は8月6日頃~22頃まで全国高等学校選手権大会(夏の甲子園)がNHKラジオでも放送される。その前後や試合のない日にこども電話相談が放送される。

本日の6歳の男の子の質問は
ブラックホールが地球を飲み込まないかが心配で眠れません。どうしたらよいでしょうか?という質問。途中から聞いたので天文学の先生の回答は途中から聞いたが、先生の回答の概略はブラックホールは地球から非常に離れた場所にあるのでまず大丈夫。また、可能性の話なら地球が 45億年の歴史に対して1人の人間の年齢はせいぜい100年だから、これまで飲まれないということは、この100年もまず大丈夫という証明にもなるという説明。確率論で説明するも、
男の子は、それでもまだ不安だという考えは覆さず。分かるんだけど分かりません。なぜ自分が不安なのかも分かりません。と正直な反応を徹頭徹尾示す。天文学の先生は、困った様子ながらその想像力が鋭いことは良いこととフォロー。

眠れないというメンタルな問題なので精神科医の先生と思われる先生まで登場し、

まずは男の子の「分かりません」とはっきり述べる姿勢を誉める。大人になると分からなくても、分かったふりをして「分かりました」と言ってしまうところが、折れない姿勢は素晴らしいと。

また、眠れないことは体に良くないけれど、不安で眠れないこと自体はあまり良くないと考えすぎず、
目が覚めちゃったらそれを楽しむようにアドバイス。日中に体を動かし、寝る前にぬるめのお風呂に入り、ゆったりした気持ちで寝る。眠れないとどうしようと考えちゃっても、それでも良いやとおおらかな気持ちになることが大事というアドバイス。

これはうつ病やノイローゼという類の症例に対して精神科医、心療内科医がアドバイスする典型だが、このアドバイスを受ける相手が大人なら納得しなくともとりたあえず「分かりました」と言ってしまいがち。

それが男の子はそれにも納得せず「それでも寝るときドアを開けて寝てるので音がするとブラックホールがきたかと思って目が覚めちゃう」と頑固とも言える、納得しない感を崩さない。これが子供特有の正直さだ。

しかし眠れないの類の悩みを抱えている人は上記の精神科医のアドバイスは、理屈は分かるけどそれでとどうにもならないという気持ちが強い。考えすぎないようにしようということを考えても、意志の力では止まらない。無思考の訓練は想像以上に難しい。

スキー上の上級者コースと初心者コースにたとえてよくその辺りの事象を私は表現するが、パラレルターンを覚えたてのとき、麓近くのなだらかなゲレンデではターンが容易に決められても、斜度が高いコブだらけのコースではついへっぴり腰になり、ボーゲンのようになり板を揃えたターンは出来なくなる。

心の不安も同様でなんでもないときは専門家のアドバイスは予防のように有効でも、もはやシンドロームといわれる状態にまで悪化している人には、通常時に有効なアドバイスは無効となる。

今回の子供の姿勢はそういった人間の心理を包み隠さず正直に吐露する面で文学的にも非常に興味深いやり取りを提示していた。

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