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DRAGON QUEST -YOUR STORY-を見た

以下、ネタバレにつき閲覧を注意されたし。








OK?







見ようと思ったきっかけとして、今年に入ってから歴代のドラクエをプレイしてきた所にある。そして時間はかかったが先日ドラクエ5をクリアした。
5のプレイが終わったらyour storyを見てほしいと友人に言われていたので、それに従うようにして見たというわけ。
当時の評判は見ており、かなり身構えた状態で見始めたということを考慮していただければ幸い。

一口感想

言いたいことはわかるが落差がとんでもねえ。
そりゃ怒る人も出るわ…
全体的にはすごくおもしろかったけど。

感想
この映画の言いたいこととして、
「現実も、架空の世界も、すべて君の物語だよ」という話で。

「現実を見せる」ことによって第四の壁を突破し、
「どちらも自分だ!これはどちらも大切な自分の物語だね!」
という事を言いたかったんじゃないかと思う。※ラスト参照

実際そういう見せ方をしてたし「ドラクエ5」という題材を扱う上でたぶんほかの人と一緒に話をして一番話に出てくるのは
「ビアンカとフローラ、どっちにした?」
という話なので、脚本家やこの映画のストーリーを作った人はゲームそのものよりも、
「その話題をみんなできるくらい皆がプレイしているゲームでそこを通過してみんな大人になってきたよね。僕たちはみんな勇者だったよ」
という話をもとに構成したかったんだと思う。
こんな感じの見方をしていたので、ドラクエ5好き、ゲーム好きな人に対して「大人になれ」と言い放つバグが脚本家の意見とは考えにくく、むしろこれスタッフみんなドラクエ5好きなんだろうな と思った。

ゲーム題材にして一番最後に
「ゲームやってる奴とかクソガキwww」
みたいなオチつけるエンターテイメントは出さないんじゃないかな。

そんなわけで
「この物語の主人公はリュカじゃなくて君!今映画を見ている君なんだ!」
という事をやりたかったんだと思っている……が、
ラストの急激な落とし方ビビるわ。崖か。落差でインフルエンザなるわ。

おそらく悪の権化 ミルドラースを倒して「はいオシマイ」だとストーリーの捻りもなくそのまま終わっちゃうのでああいう挟み方をしてゲーム好きにとって一番の憎むべき存在を盛り込んだ「バグ」を用意したんだろうけど、

■ ゲームは子供のやるものと認識した上で「大人になれ」というメッセージ
■ ずっと見てきた壮大な世界観を現実のゲーム用語を用いていとも簡単にデータの塊にする演出
■ スーパーファミコンのゲームカセットを出すメタ感からの「この状況をたいそう嫌っている人の暇つぶし」のバグ

とまあ、「RPGゲーム好きな人が本当にやってほしくない地雷」モリモリだったので、最後のオチをつけるにしても後味がすごく悪かった、というのが妥当じゃないか?

でもゲームに関心のない人からすればやっぱりそう映るだろうし、そういう人サイドからゲームにずっとご執心な人を見れば「もっと現実みて”大人”になれよ」というのも至極当然。
10年奴隷として働かされた苦しみも、妻を2人から選ぶモヤモヤ感も、長い間石にされてきた虚無感も、息子が伝説の勇者だった驚きも、死闘の末に倒したボスも、
「(ゲーム真剣にやってない)お前には一生かかってもわからんだろうなぁ!」
というわけだ。

これを主人公リュカ(とドラクエファン皆、映画を見ている皆)の敵として打ち倒す!という進行だけど、
でもあそこでそれ出したらアカンて。
ラストのエンディングが「すごく遠い世界でなんだか知らんけど喜ばれてる」状態になるし、大冒険をして救った妻も伝説の勇者だった息子も「よくわからない人」になってるよ心理的に。

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もし上映時間がもっと取れて好きに脚本付け加えていいなら、あのドラクエ体感ユニットと主人公(現実ver.)は一番最初に出すと思う。
現実主人公は普通の社会人として描きつつ、メタという事を理解したうえであのラストに行き着いたら、あそこまでの落差にならなかったし、もっと理解しやすかったんじゃないだろうか。

んで、最後にバグ報告しつつ現実に戻るけど、ドラクエの世界で使っていたドラゴンオーブのかけらが最後にカバンにキーホルダーみたいについてる描写があって、勇者として世界を救った余韻を感じながら社会へ戻っていく…みたいな感じか?

それだと結局「子供見ないじゃん!」みたいな言葉も飛び出てきそうな気もするが、コンセプトが「あの時ファミカセふーふーしながらドラクエ5やった大人へ」なので今更小さい子に配慮する必要はないじゃん。
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でも「そりゃ怒る人もいるよ」という考えだっただけで、個人的にはかなり楽しめた部類だったと感じている。
※評価についてはたくさん聞いていたし、すべてではないけど結末をちょこちょこ聞いてたから ある程度心構えはできたというところはある。心構えなく劇場で見たら卒倒するかもしれない。

とはいえ、所々にメタを感じさせるところはいくつかあった。
■ しんぴのせいすいを飲んだあとの夢
■ モンスターを倒した時の砕けて消える表現
■ プサンの「今回はそういう事になっている」発言
■ マーサの「今回のはいつもとは違う」発言

ネタ的な要素かと思ったらそのままの意味だもん、びっくりするわ。

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とまあラストの話は上映直後にほかの人も散々話をしてきただろうからこんなもんで。


話の短縮のさせ方は「原作と全然違う」けど「ちゃんとめちゃくちゃ面白かった」。
ドラクエ5のキーファクターとなる要素(パパスの日記、てんくうのつるぎ、など)はきちんと盛り込みつつも、ゲームでしか楽しめない要素は思いっきりカットする編集技術は流石。モンスターの死闘なんかはゲーム中では各所にあるが、映画として見るにはカロリーが高いので最後のラスボス戦闘だけでも十分お腹いっぱいになる演出だったりする。
魔法のじゅうたんも天空城もマリアも出さずにドラクエ5やりきるとは思わなかった。あんだけ端折られてるのに「俺はドラクエ5の世界を旅した」という後味は残ってる。

原作ありの映画で対比して失礼かもしれないが、
ハリーポッターの1作目・2作目あたりと比較しても話のまとめ方はドラクエの方が上だと感じている。
ハリポタが悪かったわけではないけど、こちらの方が
「魔法の世界へようこそ!でもやってることは普通だよ!」という雰囲気が強く、ハロウィンの仮装を見ているような「子供だまし」感がぬぐえなかった。(その分ハリポタ3からは監督も変わってだいぶ面白くなったけどね)

あと個人的にすげえなぁと思ったのが3つ。

1つ目がファンタジー世界の作りこみ
特にサラボナの表現がとても好きで、ワンカットでファンタジー世界だとわかる(しかもどこか可愛げがある)街並みとか、1階酒場、2階宿屋の表現をリアルさ追求するとあんな感じなのかなとか、ファンタジー世界の想像を掻き立てられる世界観の作りだった。

2つ目はキャラクターのコミカル表現
アニメーション3DCGだからコミカルな表現になるだろう という話ではなく、随所随所に漫画やアニメならではの表現に「あえて」することで、
重くない仕上がりになっていたりする。
(夕日をバックにしてゴーレムに追いかけられながら走るシーンや、フローラに一目ぼれして一目散にブオーン退治に向かうシーン、ブオーン退治に行くビアンカの歩き方 など)

流石に最後の方はそういう表現はなかったが、中盤くらいまでは「ここはシリアスじゃないですよ」という見方ができたので、すんなりと感情移入をしていった。

※とはいえ、幼少期 パパスがやられてリュカが泣き叫ぶシーンはだいぶ心に来るものがあった。端折りまくってたけど急にシリアス感出すじゃん。

3つ目はビアンカとフローラの可愛さ
3DCG、特に人が出てくるものだと「可愛い女性キャラ(という認識でオナシャス)」という風潮が強く、見慣れている人はだいぶ訓練されていたように思っていたが、ビアンカとフローラがマジで可愛い。特にフローラ。
アニメ的な目の大きさや顔つきをしながら、特に海外3DCGのようなバタ臭さを感じさせずにあの可愛さ出せるのは相当なこだわりがないとできんでしょ。あんまり女性キャラクターに対して「めっっっちゃ可愛いやんけ」みたいなことを言わない自分だけど、フローラの顔を赤らめるシーンやビアンカのうれし泣きするシーンは
うわっ……めっちゃ可愛い」と思った次第。
少し前までは3DCGなんて違和感出まくり、コマ落ちし過ぎで訓練されてないと感情移入もままならんと思っていたけど、こんなに綺麗に見えるようになってたんだなぁと反省する次第。


・・・

というわけでまとめると、
■ラストの演出に関しては怒る人も多いだろうよそりゃ
■個人的には「それもアリだなぁ」と思ったし、実際面白かった
■…にしてはもう一声追加が欲しかった。落差がデカすぎる
■映像は圧倒的に良かった
■ビアンカとフローラが可愛すぎた
■僕はチロル派です

といった感じ。
あくまで個人的には酷評するまでには至らないし、
コンセプト通りに考えればあの終わり方もなくはないよなぁ、と
この記事を書きながら考えていたりします。

ドラクエ履修は
■ドラクエ1,2,3,4,5,
■ダイの大冒険(旧アニメ版)
■YOUR STORY
と消化してきたので、
次は本編6とダイ大新版、勇者ベル伝説かな~と思っている次第。
今年中にドラクエ8まで制覇できるのか本当に…?


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