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個人のミッション・ステートメント作成のススメ

この記事は、『7つの習慣 人格主義の復活』の第2の習慣から、個人のミッション・ステートメント作成について、私の作成事例を基に実際に書く際の参考になればと記録に残しているものです。
この著書は古今東西の本質に基づいて書かれているので、アメリカ生まれの本ですが日本人にとっても間違いなく有意義な内容です。
しかし著書の中で扱われている実例がアメリカンというか、ハリウッドみたいな急展開でちょっと共感できない部分があり、備忘録も兼ねて日本人としての実例を残してみようと思い執筆しています。

ミッション・ステートメントとは、端的に言うと「行動基準を明文化したもの」です。
『7つの習慣』の中でも、ミッション・ステートメントの作成は人生の土台となる非常に重要な内容です。
何となく書くものではなく、自分の内面を深く見つめ、古今東西の本質に合わせるからこそ、絶えない情熱として行動せずにはおれなくなるというのがこのミッション・ステートメントの特徴です。
ミッション・ステートメントに基づき週間計画を立て、それを自分への約束として実践を重ねていくことで、自信と人格が備わっていく、まさに人生の土台となるものです。

会社を経営してる方は社是という形で会社の使命を文章にしてることも多いでしょうし、個人でも座右の銘を持ってるという方も多いでしょうが、自分の行動基準を明文化してるという方はあまりいないのではないでしょうか。

私はこのステートメントの作成のために、2泊3日で山籠もりしました。
そんな時間を取るのはなかなか難しいかもしれませんが、休日に自然あふれる環境にひとっ走りして1日内面を見つめるだけでも、ステートメントの骨格は作れると思います。

この記事では『7つの習慣』の習慣1・2を基に、自分なりに書いた方法を交えながらミッション・ステートメントの書き方を紹介しています。
その内容はこちらのマガジンにまとめてますので、理論的な部分を理解したい方はこちらをご覧ください。
以下の内容は私が書きやすく解釈した部分もあるため、実際に書く際は著書にも目を通すことをお薦めします。
最後に、稚拙ながら参考になるかもしれませんので、私がまとめたミッション・ステートメントを紹介しています。

ミッション・ステートメントの作成には右脳・左脳ともに最大限活用しなければなりません。
次の1~3は想像力=右脳の出番です。

1.自分の世界観に関する自覚

まず前提として、自分の使命を本質に基づいて見つめたことのない人は「自分のレンズは世の中のあるがままを捉えていない」ということを自覚する必要があります。
今の自分が成功しているとかうまくいってないとか関係なくです。
その謙虚な姿勢がないと原則に基づいて真に自分の内面を見つめ直すことができず、自分の憲法となるミッション・ステートメントは作成できません。

2.自分のルーツと現在の重要な役割について本音を書き出す

生まれてから今までの人生を振り返り、自分がどのような思いで生きてきたか、なぜそのような思いで生きてきたのかを掘り下げます。
それは自分の本心から出てきた思いなのか依存から流された思いだったのか、原則に沿ったものだったかを「自覚」を働かせて振り返ります。

過去を振り返ったら、現在も同じように検証します。
「自分にとって揺るぎない価値観とは何なのか」「自分が何に振り回されてきたのか」を自覚することで、ミッション・ステートメントの作成を主体的にし、他者の影響を最低限にすることができます。
そしてルーツを明らかにすることによって、次の項目の内容である人生の目的を明確に設定することができます。

ここでは過去・現在を掘り下げましたが、この時書き出した内容は決して他の人に見られないようにしてください。
見られても構わないと思うような内容なら、まだまだ自分の本心を引き出せていません。
本音というのはとても恥ずかしく、醜いものです。
私は自分が育ったルーツである両親・妹・青年会議所活動、現在の重要な役割のパートナーである妻・子供、仕事観の変遷について書きました。
お酒を飲みながら思ったまま誤字も気にせず書き出しました。
私も翌朝見直したらとても恥ずかい内容だったのですが、本音は余さず書き出せてると覚悟し目を背けず、これを基に次のステップに進みました。

3.自分の終わりを思い描く

ここまで掘り下げた価値観を基に、今度は逆に未来を思い描き、自分の人生の終わりの様子を思い浮かべます。
その頃に自分の人生にとって大きいだろう役割を7つ書き出します。
ただし、1番目の役割は「刃を研ぐ」=自分磨きで固定です。
残りの6つは、あくまで「自分が老衰死する頃」もしくは「80歳の誕生日」など未来の時点で果たした重要な役割を書き出します。
例えば今はサラリーマンだが独立する目標がある場合は、サラリーマンではなく経営者として役割を書きます。
その6つの役割それぞれで、葬儀や誕生日祝いで役割に関連する人にかけてほしい言葉を思い浮かべます。
(「刃を研ぐ」は6役割を達成するための自分の修養なので言葉は不要)
それこそがミッション・ステートメントを守ることにより達成される未来像になります。
この時かけてほしい言葉が浮かばなければ、それは重要な役割ではないのでもっと重要な役割を探すか、他の5つの役割でひとまとめにしているものを分割します。

私は当初、以下の7つに設定していました。
1.刃を研ぐ(修養)
2.夫
3.父
4.寺子屋、読書会世話人
5.パートナー、イノベーター、
6.経営者
7.プログラマー
しかし「プログラマー」は5.6.を達成する手段であって、「あなたは凄いプログラマーでした」みたいな言葉は葬儀でいらないと思いました。
そこでプログラマーを削除し、「パートナー」でひとくくりにしていた「友人」を分割して役割に設定しました。

この時かけてほしい言葉も、私は人に見られたら恥ずかしいので絶対見られてはいけないノートにまとめています。

役割を書き出してみて、項目2の過去・現在の掘り下げに追加が必要と判断すれば戻って書き出してください。
私はここで、友人について書き出し、葬儀の時にかけてもらいたい言葉を精査しました。

ここまでは想像と自覚を働かせて、1人で静かな環境で取り組みます。
とことん深めるためには時間が必要で、この段階でまだ一切ミッション・ステートメントは書いてませんが、ここまでできればもう完成間近です。

4.役割ごとにミッションと「なぜ」を書き出す

ここから先は、カフェでも家のダイニングでも、ある程度集中できる場所であればどこでも書けます。
しかしここからは良心に基づき文章を仕上げていく作業なので、左脳をフル回転しなければなりません。
右脳と同じくフル回転させる環境は各々様々ですが、少なくともこれまでと違ってシラフでないといけません。
そして、以下の特徴を意識して取り掛かります。

【力を与えるミッション・ステートメントの特徴】
①内面の奥深くにある本当の自分、自分のもっとも良い面を表している。
②貢献の原則に基づき、自分の利益を超えた目標が掲げられている。
③人生における自分の役割全てに関わっている。
④4つの基本的なニーズ(生きること、愛すること、学ぶこと、貢献すること)全てが満たされる内容になっている。
⑤役割ごとにミッションが分断されるのではなく、シナジーを創り出している。

前項までの作業でしっかり自分の内面を掘り下げ理想像を思い描いていれば、最も困難な①と②はできたも同然です。
③~⑤はその道筋をできる限り考えて、バランスを考えながら絞り込んでいくだけです。

そのために、まずは80歳くらいまでに各役割で習慣化する目標をいくつか設定します。
例えば「父親」の役割に「子供と2人きりでコミュニケーションを持つ」ということを目標として設定します。
そして、それを目標として設定した理由も書き留めておきます。(複数あれば全て書き留める)
例えば「何でも相談できる関係を築くため」など。
これを全ての役割で行えば、③は完了です。

5.清書する

最後に④、⑤を満たしているか精査して、やはり重要でないと思った目標は削除します。

これで「ミッション・ステートメント全文(制定理由付き)」の完成です。
制定理由も自分の内面深く根差した内容なので、これは非公開のものとして残しておきます。
ここから制定理由を削除したものを「ミッション・ステートメント全文」とします。
これはできれば役割に関わる人と「約束」として共有した方が、より強く行動基準として守ることができます。

著者のコヴィーによると、このミッション・ステートメントは文章でなくても、イラストでも何でも自分が見直した時に分かりやすい形なら何でも構わないとのことです。

そして私は、そのステートメント全文の中で多くの役割に共通するキーワードや特に重要なキーワードを抜き出して、箇条書にまとめています。
私はこれを「ステートメント前文」と名付けています。
日本国憲法も前文で国のあり方を定めているように、ステートメント前文は自分のあるべき姿を端的に表しています。
私はこれを毎週のスケジュールを立てる時に、指針として必ず確認します。

ミッション・ステートメントのアップデート

ひと月に1回程度ステートメント全文を見返し、1カ月の間に現在のステートメントだけで対応できない行動判断の機会があったら、追加したり変更したりします。
制定理由を残しておけば変更の是非について判断できます。

週間のスケジュールの立て方やステートメントのアップデート方法については、『7つの習慣 人格主義の復活』の第3の習慣、もしくは第3の習慣の実践に特化した『7つの習慣 最優先事項』を参照してください。
私のnoteでもこちらのマガジンにまとめています。

私が作成したミッション・ステートメントのご紹介

冒頭にも述べた通り、こちらは私が独自の方法で書いた方法です。
『7つの習慣』のセオリーとは外れる部分もあるかもしれませんので、あくまで参考にとどめてください。
飲酒についてやけに詳しく規定してありますが、悪しき習慣を断ち切るためには強い思いが必要なので、無駄な飲酒習慣が直るまで明確に行動基準としています。

【前文】
1. 心と体を磨き続け、良心に基づいた人格を人生の土台とする。
2. 受動ではなく率先を心掛け、感謝を忘れず、高め合う関係を積極的に作る。
3. 「世のため人のためが自分のため」を忘れず、利益より貢献が先を徹底する。
4. 古今東西に通じる本質に基づき、パートナーシップでイノベーションを起こしていく。
以上を「積小為大」の精神で一歩ずつ成し遂げていく。

【第1の役割:刃を研ぐ】
1. 心を磨き続け、週間計画時に1日平均で最低1時間はそのための時間を確保する。
インプット:読書・勉強会
アウトプット:勉強会・発表準備・執筆
2. 運動・生活習慣・食生活を通じて、健康に長生きする体と健全な精神を保つ。
① 最低1週間に3度の運動予定を入れ、体力・体型ともに健全な肉体を保つ。
② 7時までに起床し、朝に家族との時間を持つ。
③ 飲酒は(補足1)の場合に限定し、無駄な深酒は厳禁とする。
3. ポジティブな心持ちを保つ。
4. 質素とまでは言わずとも倹約を心掛ける。

【第2の役割:夫】
1. 待ちではなく積極的に、共に家庭を作る意識を持つ。
2. 最低1週間に1度、夫婦2人だけの時間を作る。

【第3の役割:父】
1. 家族でのコミュニケーションを推進し、第Ⅱ領域で確保するべき中心的な予定とする。
2. 最低1カ月に1度、それぞれ2人でのコミュニケーションをとる。
3. 能力養成はおろそかにせず、人格育成をより重点的な教育方針とする。
4. 自ら子供の手本となる行動を心がける。

【第4の役割:寺子屋・読書会の世話人】
1. 子供にプレゼンするための準備に妥協しない。
2. プレゼンしたことは自ら実践する。
3. 世話人同士高め合う。

【第5の役割:友人】
1. 広さより深さを重視する。
2. 高め合う、刺激し合う、知識のやり取りをするなど有意義な時間を過ごすことを意識しながら、実りがないように見える時間もイノベーションの種になるため排除しない。
3. ネガティブな会話をせずポジティブな姿勢に徹する。

【第6の役割:イノベーター・パートナー】
1. すでに世の中に存在するサービスの後追いはしない。
2. 一見何の繋がりもない業種の人との繋がりを大事にする。
3. 自社を大きくすることで達成するのではなく、プロジェクトごとのパートナーシップで達成する。

【第7の役割:経営者】
1. この私的成功のメソッドを取り入れ、公的成功につなげる。
2. 利益は貢献の後からついてくるという意識を徹底する。

(補足1)飲酒可能なケース
・コミュニケーションツールとして
・食事を楽しむため
・真にリラックスするため
・自分の内面を深く掘り起こすため

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