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7月の花・植物の俳句(季節を味わう#0068)

「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花・植物を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。

【仏桑花(ぶっそうげ)・ハイビスカス】

仏桑花はアオイ科の常緑低木で、7月から10月に直径10センチほどの漏斗状の花をかせます。
中国でハイビスカスを指す扶桑花(ふそうげ)が変化して、仏前にお供えする花「仏桑花」になったとか。沖縄南部では亡くなった方が死後幸せになるよう祈って墓地に栽培するそうです。
通常日本では温室栽培ですが、大隅諸島より南の地域では路地植され、四季を通じて花をつけます。赤や黄色、白、ピンク、オレンジ色など原色の鮮やかな花の色が魅力で、花はほぼ1日限りです。
園芸品種はハイビスカスという名称で流通しています。世界に1万種近くあるハイビスカスの園芸品種のほとんどがハワイアン系で、黄色いハイビスカスはハワイ州の州花に制定されています。日本では沖縄市がハイビスカスを市花に制定しています。

屋根ごとに魔除獅子置き仏桑花   轡田進

ハイビスカスの咲いている家にある魔除獅子、シーサー。
沖縄のシンボルともいえるシーサーは、13世紀から14世紀にかけて中国から伝来しました。シーサーも阿吽像のように口を開いているのと閉じているのがあります。一般的に口を開いたシーサーは雄で福を招き入れるとされ向かって右がわに置きます。口を閉じている雌のシーサーはあらゆる災難を家に入れないとされ、向かって左側におきます。
もともと魔除ですから、厳しい顔のものが多かったシーサー。沖縄が観光地化してからは、笑顔の愛嬌ある表情のシーサーが作られ、お土産物の定番となりました。
この俳句のシーサーは魔除のため屋根に設置されているのですから、きっと勇ましい表情なのでしょう。
赤いハイビスカスごしに見上げれば、沖縄独特の赤煉瓦の屋根、家を守るシーサー、その背後に抜けるような青空が目に浮かぶ一句です。
(2024年 7月24日)


「季節を味わう」は大阪府箕面市のラジオ局 みのおエフエムの毎週水曜日午前11:30と午後8:40から放送しています。
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