7月の花の俳句(季節を味わう#0016)
「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。
【向日葵(ひまわり)】
向日葵や遠まはりして日の沈む 亀田虎童子
私が子どもの頃。夏には、ついつい遊び呆けて家に帰るのが遅くなることがありました。腕時計などしていなかったし、ましてやスマホもない時代で、陽が傾くまで遊び呆けていたのです。
帰宅すると、帰りが遅いことを心配していた親にこっぴどく怒られました。こんなに遅くまで外で遊んじゃダメでしょう?!と。
子どもに時間の感覚などないのです。ただただ楽しいのです。
向日葵や遠まはりして日の沈む……
この子は虫を追いかけているのでしょうか。向日葵の花畑で、ついつい遠回りしているうちに日が沈んでしまう、陽に焼けた夏の子どもの姿が目に浮かびます。
【睡蓮】
睡蓮や鯉の分けゆく花二つ 松本たかし
我が家のメダカ鉢に水練を植えています。今年の夏は蕾が4つ。順に咲いて、目を楽しませてくれています。
睡蓮は歴史が古く、古代エジプトでも睡蓮の花は愛されていたそうです。限られた時間にのみ咲く睡蓮の花。見つめていると吸い込まれそうな、不思議な魅力を放ちます。
この句はどこか大きな池なのでしょうか。二つの睡蓮の花を分けるように鯉が泳いでいる、という情景。夏の日差しの中、睡蓮の花の"静"と、鯉の"動”の対比が美しいと感じます。
(2023年7月26日)
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