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無知のままでは先がヤバい。建築士も経済の仕組みを知ろう

今月の #製図クリニック では、「容積率」の規定を通して過去(建築基準法の変遷)を振り返っています。

「容積率」 が一体どうやって運用されてきたのかといったことを深めていくと、商業との関係性が切っても切り離せない。

建築基準法と関連させながら歴史を掘り下げるほど、建築士だからといってこの「商業」=「経済」というものを全く知らない状態で生きていくのは、 建築の歴史に関する知識不足という部分を超えて、自分の人生のリスクマネジメントの観点からもかなりやばいなと感じます。


「容積率」の概念が法としての体裁を整えての運用が始まったのは1960年代からですが、それより以前(建築基準法の前身となる市街地建築物法が運用されているとき)は、容積率というくくりで街のボリューム制限がされているのではなく、

「建ぺい率」と「絶対高さ」と「道路斜線制限」による街のボリュームコントロールだったわけですが、

戦後日本が経済発展していく中で、経済の成長性と法的に許される床面積の非合理性が経済活動の妨げになるというような形で、商業的な観点からも意見や要望が入り、ボリュームコントロールの手法を見直していくことになりました。


しかしながら現代では、都市圏に住んでいるとあまりその実態を肌感覚としては感じにくいですが日本では人口が減少し続けていますし、

広域で見ていくと地域地区の実情にそぐわない形で床面積が温存されている場所も多く、それがかえって地域地区の空洞化やさびれた商業エリア、 収支が合わないことによる経済の後退を生み、ひいては地域地区の衰退につながっているといった見方もあります。

これまでの拡張のフェーズからアタマを切り替え、経済性をしっかり見通した上で床面積を維持するのか減らすのかを戦略的にやっていかなければなりませんし、

世の中が今後どう流れていくかという事に対する観察力もつけていかなければなりません。

この「床面積」と「日本経済の可能性」というのは、建築士であるからこそ(仕事にも直結しますし日本経済が低迷から脱却するためにも)きちんと注目していくべきトピックですね。

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