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R2ランク1再現図と合格者からのメッセージ(101)

今年1月に入ってから、You Tubeを見てくださっていた合格者の皆さんに再現図の提供をお願いし、令和2年の再現図検証の企画動画を公開しました。

嬉しいことに合格者の皆さんが「ランク1図面を使わせてー」というYou Tubeでの私の呼びかけに答えてくださり、ランク1の再現図を提供してくれました。

合格者の皆さん、本当にありがとう!


図面の提供時にあとに続く受験生へのメッセージもお願いしたところ、メッセージを頂戴しましたのでnoteでご紹介させていただきます。

※)合格者の体験記一般に言えることとして、あくまでも個人の一体験にすぎないという側面もあることを忘れず、体験の全てをストレートに受け止めるのでなく、自分に必要な要素を抽出して自学に活かしていきましょう。

You Tubeの再現図検証企画はこちら↓

【一級建築士製図】R2_ランク1ってどうだったの?合格プランをみていこう①ゾーニング

まだ動画を見ていない受験生は、そちらも見て合格者がどんなプランを導きだしたか確認してね~

以下、合格図面と受験生からのメッセージです!

ランク1再現図(101)

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あみくみさま
お世話になります。

昨年令和2年度一級建築士ランク1判定頂き、より多くの受講生の合格のために図面の共有ができたらと存じます。

試験勉強の期間は、あみくみさんの動画に何回も勇気づけられました。
特に試験前の心がけの動画は
試験前、寝る時に何度も聞きました。

本当にありがとうございます。

合格者からのメッセージ

■略歴

・業務 
基本設計、実施設計、工事監理、申請業務など建築設計業務を全般的に行ないます。
また、年間10個以上の公募型プロポーザルに参加するなど、公共建築にも常に挑戦しています。
現在は、
高知県の公共図書館の基本設計
都内複合ビル基本設計
都内商業ビル現場監理
プロポーザル
などを担当。

【受験歴】
平成30年 学科不合格
平成31年令和1年 学科合格 97点 製図不合格 ランク2
令和2年 製図合格ランク1

■試験勉強他
・資格学校:S 計3年間
・勉強時間 週40時間程度+日曜日学校


【平日】
1日の勉強時間6時間
勤務時間が9-21だったので朝早くと夜遅くに勉強する生活でした。
通勤中は主に記述の勉強で、資格学校での解答例を録音しひたすら聞いていました。
朝6時-8時で2時間(主にエスキス)
通勤往復2時間
夜23時-1時で2時間(主に作図)


【休日】
土曜日:10時間
平日の作図の自己添削
通し実習など
日曜日:学校


【+α youtube ネット情報】
□あみくみさん
□人見知りマンさん
□たぬきさん(去年よくみていました)
□ビリケツさん
□イチケンさん
などなど、勉強に詰まった時や寝付けない時に見てました。
参考にする程度で、基本Sの勉強方法を崩しませんでした。
あみくみさんの「本番緊張しないためのイメージトレーニング」にとても救われたのを鮮明に覚えています。

■受講生としての特徴
普段建築設計を行なっているので、エスキスやゾーニング計画は得意でした。また、プロポーザル等で提案書を作成しているので、記述についても問題なく書けていたと思います。
試験対策用として、独特な言い回しを身につけるために記述録音を聞くトレーニングを行っていました。
私の最大の武器は作図です。
試験期間中前半は1日1枚を目標に図面をトレースしていたので、必要最低限図面の作図時間が1h35mを叩き出したことも!基本2時間で描き切っていました。
作図手順は呼吸をするように身についていたので、後半の勉強はエスキスの勉強に注力できたと思います。


今年はエスキスに加えて、チェック能力を重点的に強化しました。
具体的に取り組んでいたチェックは
①配置計画後(エスキス用紙左上終了後)
②バイコマ計画後(エスキス用紙左終了後)
③1/400終了後(エスキス用紙右終了後)
④記述後
⑤作図後3回チェック
計7回
特に重要なのは①と⑤だと思っています。
読み取りミスを極力無くすために①に10分程度時間を確保していました。

本業でもチェックが最も重要だなとここ数年で痛感しています。この能力が確立できたのが合格への大きな一歩だったと思います。

■試験当日の時間配分他
エスキス1時間30分
中間チェック15分
記述75分
作図3時間
最終チェック30分

試験の第一印象は“割と解きやすい課題だな”でした。
エスキスは普段であれば2時間から2時間15分程度かかっていたのですが、当日は90分で終わりました。
ここで一回トイレ休憩。
周りを見渡してもみんな終わっていないので、読み落とし?あるかなと思って中間チェックしましたがそんなことはなく、、
記述も、構造など解いたことのない内容でしたが、みんなも同じと思って気楽に記載できて(記述内容は的外れでしたが笑)75分の時間をかけられ、かなり密度濃く仕上がったと思います。(復元よりももっと描いてました)

■エスキス思考
・読み取り(主にオレンジマーク)
地域交流
ユニット計画
共同生活室、デイルーム自然光確保→日照でないので北側OK
地域交流スペース 地域住民との交流の場
居室の採光適切に計画→日照ではないので北側OK
廊下幅員1.8m以上確保→2.5m確保必要
など
・エスキス


【外構】
管理東、利用者西
こども園との合同イベントが求められているので迷いなく西側利用者エリアが決まりました。
西側の道路幅員が4mと狭いためテラスを設けて離隔を確保
車寄せが必要なので全面道路側離隔寸法確保
3層計画で天井高指定がないため4m階高。斜線も問題なさそうだなと。
南東に隣地が迫っているため採光確保するために5m確保


【階振分】
ユニット3つ+居宅のため
3階:2ユニット
2階:1ユニット+居宅
1階:共用管理
がすぐイメージ湧き、面積的にもバランスが良かったためこれで進めました。


【スパン計画】
外構必要寸法を確保した残りからX45m,Y25m
建築可能ボリュームを勘案。
室数が多いためXは6mスパン。
居室の必要面積よりYは7mスパンを基本とする。
1階の交流スペース部分を広くするため一部9mを入れて計画。
コアは、Yが3スパンになったため必然的に真ん中のスパンに。
長手アプローチのため、セオリー通りに東西にバランスよく計画。


【室計画】
□一階
地域交流スペース:日当たりの良さ、こども園の園庭とのつながりを考慮し南西
面会ラウンジ:来館者がアクセスしやすさを考慮し北西


□二階
共同生活室、デイルームは南東、北東に計画し東面からの採光と管理エリアからのアプローチのしやすさに配慮。
居室は南北に計画。日照に配慮だったため北側でもOKとした。
スタッフルームは施設の中央に計画し来館者への視認性、管理エリアへのアプローチしやすくした。


□三階
二階同様。

■割切りと死守とミス
【割切り】
アラーム弁室を計画したことがなかったため
適当に2、3階のみに計画しました。知識不足

【死守】
廊下の幅員1.8mです。
読み取りでは「屋内の廊下」にチェックができておらず最初は利用者エリアのみ2.5m取っていたのですが、後から気づき管理エリアも全て2.5mに書き直しました。

【気付いたミス】
・歩道のない西側道路からテラスへアプローチできる計画としてしまった。
・各ユニットの玄関が独立していなく、一体の計画になっている。
・1階にアラーム弁計画なし。
・北側延焼ライン書き忘れ。
・2、3階の利用者用階段前のスペース狭い。
・一階psは復元図にありませんが、実際は書きました

■勝因
記述の密度
チェック時間の確保

一般論かもしれませんが、
的確なゾーニング計画
建築基準法への遵守
が勝因だったと思います。


的確なゾーニング計画とは、課題の正確な読み取りのことで、
①設計条件
②留意事項
③計画の要点
に記載されていることを守って計画できているか。
・地域の人々との交流
・入居者の住みやすさ、介護のしやすさ
・スタッフルーム等介護に必要な諸室配置
・共同生活室、デイルームの自然光確保
など


これを叶えるプランは複数あると思います。
「この人のこのプランでも受かるんだ」ってことが毎年あるのも、出題者の意図の読み取り方が複数あることにつきるんだなと、今年改めて実感しました。

その中でも記述は最も重要かなと思います。
受験生の読み取りとそれに伴う計画をテキストと図版で説明できるためです。

チェック時間の確保→正確なインプットとアウトプット
施主の要望を正確に読み取り、正確に表現できるか。建築の実務にも通じる必要な職能で、できるかできないかで、扱える仕事も大きく変わります。

少し漠然とした話になってしまいましたが、私が感じたことです!

あみくみコメント

この方は、設計を主に現在のお仕事としておられ、プランニングや記述に関しては比較的得意でスムーズにクリアしていった印象です。

ただ、過去には不合格の経験もおありですから、その経験をきっちり修正してきたのだと思います。

普段の業務でなれているからと言って慢心せず、少しでも考える時間をかせぐために作図を自信の持てるレベルに磨き上げていますね。

そういった「本番の思考や直感を支える地道な努力」には学ぶ部分が多いですから、是非参考にして学習姿勢を取り入れていきましょう。

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