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【設備要点対策】過去問から読み解く設備学習の方向性とは?

こんにちは。あみくみです。さて、今日は製図試験と設備計画について考えていきたいと思います。

ここに偶然たどり着いたあなたはラッキーです笑

1)はじめに

あなたは、計画の要点で設備計画についてスムーズに回答ができていますか?

YES と答えられる受験生はなかなか少ないでしょう。

設備に関しては、その仕組みが高度なため、設備の専門領域に携わっていないとなかなかとっつきにくいのが現状です。

例文を丸暗記して対応していませんか?

でもこれ、超あぶない。

受験サービスから提供される回答例をそのまま丸暗記するといった勉強では本番の自分のプランと計画の要点で答えた内容に食い違いが出てしまい、減点になるといったこともよくある話。

薄々気付いてる人もいると思いますが・・・
丸暗記勉強はやはり危ない勉強法です。

何かを記憶をする時には、関連することと結びつけて考えていくと、ただ丸覚えするよりも長期記憶として定着します。

ならば、計画の要点対策でもそういう方法を積極的に取り入れてみましょう。

ということで、今日の記事では、設備計画の丸暗記勉強から抜け出すために、過去問とその変遷を見ていきます。


2)設備計画が重要視されるようになったワケ

設備計画ってめちゃくちゃ難しい感じがします。

実際に自分の目で見る機会もほとんどないし、かくいう私も今でこそ多少の理解は深まりましたがとても苦手な分野でした。

製図試験で設備に関して詳しく問われるようになったのいつ頃だと思いますか?

今受験真っ最中の人にはもう遠く昔になってしまいましたが、設備計画が独立した出題項目として出題されたのは平成18年からです。

私は平成17年「防災学習のできるコミュニティ施設」の時に合格しましたが、翌年の試験を受ける夫を横目で見て密かに胸をなでおろしたことをよく覚えています(笑)

自分の専門分野ではなかったので、受験勉強の負荷はやはり増えてしまいますから、、、

しかし、そんな時代はとうの昔。

すでに十数年前から社会では省エネの重要性が叫ばれていて、今後は設備計画の基礎知識は建築に関わる者であれば知っていて当然のリテラシーとして扱われるようになるでしょう。

省エネは、皆さんご存じの通り地球規模の課題です。

建築物を長く運用していくにあたり、経済合理性の視点から建築物のランニングコストの設計、そこに直接関わる設備計画やエネルギー計画の理解は欠かせません。

今はその移行期です。

最低限の設備・環境・エネルギーの知識を勉強するように試験元が求めてきているのですね。

事実、試験元のホームページには、「調査・研究」という項目ページがあって、そこでは数年前から設備に関しての調査研究の経過報告が挙げられています。

研究では、設備運用を最適化することはもちろん、ひいては建築設備技術者の新たな業務展開まで視野に入れた研究なども行われているようです。

そこで、設備機器個別の解説は他のサイトやYou Tubeでもたくさんありますから、今回のあみくみオリジナル記事では設備計画が過去の試験でどのような形で出題されてきたかを考察し、そこから設備計画の勉強のキモを見つけていきたいと思います。

3)過去問における設備計画出題の変遷

▶先にも述べましたが、平成18年から見ていきましょう。

この時は、今のように室の特徴ごとの空調システムの理解など限定的に細部への記述を求めるようなものではなく、簡易的にざっくり設備計画に関して配慮したことについて要点を80字以内で記述するというものでした。

平成18年 市街地に建つ診療所等のある集合住宅(地下1階、地上5階建)
②設備計画に関して配慮したことについて、その要点を80字以内で記述する。

各階のパイプシャフトはメンテナンスの容易性、地階の電気機械室への接続性に考慮し配置した。空調屋外機は騒音を考慮して住戸から離れた1階のテラスに配置した。

引用:平成18年過去問、標準解答例①より


標準解答例を紐解くと、設備機器メンテナンスへの配慮、配管ルートへの配慮、設置位置への配慮について答えていると言うことができます。

知っておくべきこと、理解を求められていることの本質は今とほとんど変わっていないことが分かります。


▶翌年平成19年には、 環境負荷低減という言葉が出てきて省エネの考え方も求められるようになり、かつ個別具体的な空調方式についても回答を求められています。

「機器個別の特徴を知っておけよ」というメッセージがあったということですね。

平成19年 子育て支援施設のあるコミュニティセンター
③建築物の環境負荷低減について、特に配慮したこと
④設備計画について、採用した空調方式とその理由


▶その翌年の平成20年には、前年の環境負荷低減に関して施設の用途による設備計画の理解や個別配慮がより具体的に求められるようになりました。

平成20年 ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設
③建築物の環境負荷低減(熱負荷の抑制、省エネルギー、省資源等)について、特に配慮したこと
④設備計画について、採用した空調方式とその理由

特筆すべきは、前年出題された環境負荷低減という言葉について、試験では熱負荷の抑制・省エネルギー・省資源という言葉をキーワードに関連付けた回答を求めていて、

ここから、「熱」というのが、設備・環境について考えるときの重要なキーワードだと分かります。

太陽の熱や地下水の熱を利用するなどして、「熱」を発生させたり移動する過程で機械的なエネルギーを削減したりランニングコストを削減するといった効果を生み出す「アクティブな設備計画の手法」への理解が不可欠な時代に突入しました。


▶さらに現在から一番直近となる令和元年1208の設備機器に関する問いを見てみると、

令和元年1208再試験 美術館の分館
(5)トップライトを設けた吹抜けを、自然換気に有効利用するために工夫したこと
(9)公園の眺望(西面及び南面)や自然採光を確保しつつ、冷暖房時の負荷抑制を図るために、建築計画や設備計画において工夫したこと(Low-Eガラスによる工夫を除く。)
(10)多目的ホールの空調方式について、その方式及び冷暖房計画で考慮したこと

となっており、十数年の間に、省エネといってもアクティブな手法に加え、「パッシブな設備計画の手法」に関する理解も当然のこととして求められるようになっています。


4)設備学習のポイントをまとめると?


では、これまでの考察から設備学習のポイントをまとめてみましょう。

設備機器に関しての試験対策を手法によってざっくり2つにカテゴリー化して抽象解釈すると、

▶設備機器や方式の特徴の理解のほか、設備計画のアクティブな手法についても関連付けて理解し、室の用途や形状、そして気積との関係性において合理的な選択であると説明できること。

▶自然現象を活用したパッシブな手法においては、自然界の物理現象を理解しそれらを建築計画として省エネに活用する手法を知り、自分のプランの平面・断面計画に合わせて採用できるようストックしていくこと

ということができます。

こう考えると、課題文を読んだときに計画の要点での問いがどんな回答を求めているか容易に理解でき、スムーズに記述が進んでいくようになります。

設備学習では、この2点を個別具体的な方式・手法に落とし込んで理解していきましょう。

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