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第三課題「高齢者介護施設」を添削しました

受講生の添削を終えました。

エスキス添削がないので、プランからのみ読み取れる弱点についてコメントしています。

エスキスが見られないのは残念ですが、プランには理解できていないところが現れますので、そこから見える弱点についてアドバイスしています。

修正すべき点が分かれば、復習の効率が上がりますから、しっかり復習にいかしていきましょう。

課題のご提出ありがとうございました。
添削が終わりましたので返却いたします。
詳細については図面に赤でコメントを入れています。

★印は減点が大きくなる項目です。複数重なるとランクを落としますのでミスのないよう修正していってください。

ランク表示は、上位からABCDとし4段階で評価しています。
A:ランクⅠ相当
B:ランクⅡ相当
C:ランクⅢ相当
D:ランクⅣ相当

以下、阿見より別コメントです。
プラン・要点の添削とあわせて学習の参考にしてください。

□全体としての所感

エスキスでは、外構を設定し建築物の外形を求めてボリューム計画を進めていきますが、「外形のボリューム」と要求室表から求めてくる「ゾーンの合計コマ数」との関係性がつかめていないようです 。

面積検討で、階振り分けが正しく機能していない可能性があります。

想定した外形(1・2・基準階)に、要求室コマの合計が各階ともバランよくかつギリギリにならないように配置設定できているか(※1)再度確認してみてください。

また、 コメントにも書きましたが、この案の場合、指定面積の下限値に近い床面積設定になっていますので、 全体的におさめるのがきつくなる傾向になります。

複数案の検討の結果としてこの外形を採用したのであれば問題ありませんが、そうでなければ面積は少しでも有利に計画できる準備をしたいのでボリューム計画について復習で理解を深めましょう。

また、プランの外形を変えず、 利用者動線を起点にしたゾーニング案で修正していますので参考にしてください。

ご提出の案では利用者動線の交錯や管理との交錯はありませんが、室配置と動線の関係性からみるとやや強引に室を配置しているように見えます。ゾーンをまとまりとして考えるともう少しシンプルにゾーン配置が可能です。

厨房はそもそもの条件を逸脱してしまっています。
その点も修正し、現状できる範囲でのプラン修正を行いました。

高齢者介護施設では、(※2)採光の観点から境界までの距離が長い方に向けなければならない要求室が多くなるので、
利用者の移動動線とともに「そのかたまりをどの方向に向けるか?」というところを考えながらゾーニングしコアを決めていく必要があります。

上記のような観点からゾーニングを修正してますので、プランのコメントとあわせて参照してみてください。ここがエスキスでは最重要です。

採光については、住居系の用途地域の5階建ての場合、採光補正をしなくてすむよう、へりあきが
基準階 5m
2階 6m
1階 7m
の方に法28条の採光が必要な居室を配置してください。

(※ただし、境界までの距離Dは、開口の大きさや天井ふところの寸法設定や階高によってHが変わりますので上記寸法は参考値としご自身のプランで断面を確認してください)

解答例の談話スペースの配置計画が境界までの距離が上記となっていないのは、採光補正をすることによってクリアしているからです。
受験生が本番でやってしまうと注意が必要であることを学んでもらうためにそのようにしています。

採光が必要な高齢者の寝室や高齢者の生活室、そして高齢者が談話や娯楽に使う室は、できれば、道路に面した方や公園、境界線からの距離が上記の寸法以上ある方に配置したいところです。

受験時に採光計算をするとなると時間がかかるうえ、採光に抵触するリスクがあるので今回の課題ではこの点学んでください。

(ちなみに今回ご提出の案では、基準階の多目的室は採光補正をしてもアウトでした)

採光に関しては、法規のプロの山下慶さんと一緒に簡単な計算デモを行って解説する動画を作っていますのでそちらも参照してください。↓
https://youtu.be/wlU8Yjv58Lg

同じようにご自身の案の多目的室について計算してみると、抵触しているのが分かるかと思いますので早いうちに確認してください。

ゾーニング等に関しては現状プランを見る限りでは、
・建築物外形のコマ数と要求室全体のコマ数のバランス調整
・各階・各ゾーンのコマの階振り分け(上記文中※1)
・1マスゾーニング(※2)
に問題がありそうです。

その点しっかり復習してみてください。

このようにコメントをお送りしています。


第三課題は、

・エスキスの基本的プロセスが身についているか
・読み取りは正確にできているか
・くくりのまとまりを考慮したゾーニングができるか

といったことの定着を確認するために作成した課題でした。

只今、数量限定で通常の半額。

添削はすでに終了しましたが、YouTubeで添削企画を考えていますのでYouTubeでの告知を要チェック!


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