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Pelotonが切り開いた「ホームフィットネス」が激変中! 市場規模3兆円超&成長率44%の巨大産業【日本人が知らないスゴい会社】

コロナの長期化で消費行動に変化が生まれていますよね。自宅に長くいることによる運動不足から、健康に関心をもつ人も増えています。今回注目したのは、自宅にいながらトレーニング=「ホームフィットネス」

フィットネスが日本の市場規模の約7倍という巨大な産業であるアメリカでは、「フィットネス × テクノロジー」の領域も進んでいます。

米・シリコンバレー(カリフォルニア州)で暮らしながら、成長著しいベンチャーに投資をするベンチャーキャピタルGFR Fundの代表である筒井鉄平さんが、「日本人の多くがまだ知らないシリコンバレーの注目のスタートアップ」を解説してくれます!

筒井鉄平(つつい・てっぺい)
Managing Partner, GFR Fund。2011年にグリー(株)に参画し、米OpenFeint社やポケラボ社の買収を含め、財務・M&A実務責任者として数多くのゲーム会社の買収・戦略投資を実施。2014年から北米拠点にて非ゲーム領域における戦略投資をリード。グリー入社前はモルガン・スタンレー証券にてM&Aアドバイザリー業務、それ以前は三菱商事にてネット事業の立ち上げや日系メーカーの海外事業開発に従事。2016年4月にコンシューマー領域に特化したGFR Fundを立ち上げた。
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前回はClubhouseを取り上げましたが、今回はホームフィットネスです。

フィットネスといえば、日本では昔からあるコナミスポーツセントラルスポーツ、個人レッスンで近年人気のライザップなどがあり、仕事帰りや週末に行かれている方も多いと思います。

ところで、日本のフィットネス市場はどれぐらいの大きさなのでしょう?

国内フィットネスは年間約5000億円弱の成長市場

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(出典:Fitness Businessからのデータを元に筆者作成)

実は日本のフィットネス市場は、2018年時点でいずれかのフィットネスクラブに所属している人は全国で514万人、年間で約5,000億円弱の市場規模になっています。514万人というと、日本の人口の4%ぐらいですかね、100人に4人という換算。

興味深いのは、2013年からの5年間で会員数は+24%、市場規模で+13%と、このデフレ経済及び少子化の中でも成長していることです! 若者の健康意識の高まりや、高齢者の方の体力維持などで利用が増えているのでしょう。

今回取り上げるホームフィットネスは、その名の通り、家で行うフィットネスです。アメリカは家も広いから、以下の写真のような形でガレージや地下室とかを改造したランニングマシンやダンベルが置いてある部屋とかをイメージされるかもしれません。それは10年前のイメージです。

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(出典:HomeAdvisor

ここにもたくさんのイノベーションが起きていて、最近はもっともっとハイテクになっています。今回はそんなホームフィットネス業界での注目のスタートアップを取り上げます。

注目スタートアップの紹介に入る前に、日本と同様にアメリカのフィットネス市場を見てみましょう。みなさんの中ではアメリカ人はハンバーガーばかり食べていてあまり運動していないイメージ、ありますか?(笑) 実態は正反対です。

アメリカ人の約20%がフィットネス会員!

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(出典:Fitness Businessからのデータを元に筆者作成)

まず、日本に比べると市場規模が圧倒的に大きいです。2018年時点で会員数は6,250万人と日本の514万人の約12倍。アメリカの人口は約3億人なので、実に人口の約20%が会員になっていることになります。

市場規模は3兆2,300億円。こちらは日本の市場規模の約7倍弱という巨大な産業です。驚異的なのは、その市場規模でありながらこの5年間で+44%も成長していることです。まだまだ大きくなるであろうことは容易に想像が付きます。

伸びている市場には様々なスタートアップが入ってきます。そして、新参者であるスタートアップのキーワードは「家で継続してできる」です。

これまでのアメリカのフィットネス市場も、日本と同じ様に街中にあるフィットネスジムの会員となり、そこに行ってワークアウトすることが主流でした。トレーナーやコーチがいて一緒にやってくれるというのは余程のお金持ち。パーソナルトレーナーを雇う余裕がある人は少数でした。

サイクリングバイクレッスン「SoulCycle」が社会現象

その状況を根底から変えたのが、2012年にニューヨークで始まったPeloton(ペロトン)です。Pelotonの目玉商品は約25万円もする下の写真の様な家の中でできるサイクリングバイクです。当時、ニューヨークを中心に、このインドアサイクリングのグループレッスンが物凄い人気になっていました。

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火をつけたのは、SoulCycleというスタートアップです。SoulCycleのジムに行くと、部屋の中にサイクリングバイクがずらーっと並んでいて、60分間、みんなでひたすらそれを漕ぎます。照明を落として、ヒップホップミュージックをガンガンかけ、著名インストラクター(&インフルエンサーでもある)がみんなを鼓舞する、というユニークなフィットネス体験が受け、熱狂的なファンがついて社会現象化します。

Pelotonの創業者はそのSoulCycleの熱狂的ファンの一人でした。ただ、毎回ジムに行くのが面倒でなんとか同じ体験を家でできないか、と考えたのがきっかけです。

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(出典:Peloton

ライブ配信+グループレッスンで爆発的人気に

5人の創業者が集まってアイデアを話し合い始めたのは2012年ですが、クラウドファンディングで集めた約3,000万円を元手に、実際にバイクの発売を開始したのは2014年でした。その後、Pelotonは爆発的に成長します。

同社は実は昨年9月にNASDAQに株式公開を行っているのですが、当時の資料によりますと、2017年6月期(2016年7月〜2017年6月)の売上げは$219M(約220億円)、2018年6月期 $435M(約440億円)、2019年6月期 $915M(約920億円)とほぼ倍々で売上げを伸ばしていっています。

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(出典:Peloton Form S-1

Pelotonがここまで流行った理由は2つあります。

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編集協力/コルクラボギルド(平山ゆりの、デザイン・ペー)

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