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竹久夢二のコマ絵 『ホトトギス』明治39年7月号

 本を整理していて、古いオリジナルの『ホトトギス』を見つけた。明治39年7月1日発行の第9巻第10号である。

 コマ絵を見ていると、「夢」のサインのものがあった。
 《やまたち》という題が描き込まれている。
 

 「夢二式」にはほど遠い描きぶりだが、目次を確認すると、「夢二」と出ている。

 「やまたち」とは、「やまだち」ともいい、山賊のことを意味している。
 ダイコンを盗んで食べているのだろうか。食っても少しもうまくない、というところだろうか。あるいは、生ダイコンをかじって歯が折れたということだろうか。滑稽味をねらって、すべったのだろうか。

 長田幹雄の「竹久夢二年譜」(昭和65年3月15日、『初版本複刻竹久夢二全集解題』ほるぷ出版)を見ると、明治38年には『中学世界』に投稿したコマ絵が採用され、39年1月には、島村抱月の推挙で『東京日日新聞』の「月曜文壇」欄にコマ絵を掲載している。
 年譜によると、前月号にコマ絵を掲載しているようだ。

 竹久夢二のライバルであった、渡辺与平が初めて『ホトトギス』にコマ絵を寄稿したのは、第10巻2号(明治39年11月)である。
 
【編集履歴】
2023/04/18 23:04 「あるいは、生ダイコンをかじって歯が折れたということだろうか。」を補入。


*ご一読くださりありがとうございました。

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