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1 着物について 一條成美の絵葉書には、うならされるうまさがあるものと、ただ単に仕事をこなしているという凡庸なものがある。 今回取りあげるものは、前者である。 博文館の雑誌『女学世界』の付録絵葉書で、時期はわからない。宛名の面に仕切り線がないので、明治40年3月までの制作だと思われる。 印刷は多色石版である。 大振り袖というのは、仮に付けた題で、ほんとうの題は不明である。大振り袖とは、振り袖の中で最も袖丈が長いものをいい、未婚女性の礼装に用いられる。観察する
今回は一條成美の絵葉書を一枚紹介しよう。 色と構図 「成」の文字は一條成美のサインである。 右下に、「春陽堂発行」の文字がある。ミシン目から外した痕跡はないので、販売された絵葉書であろう。 絵柄は、和服の女性が変わり型の短冊に文字を書こうとしているところを描いている。 印刷は、石版印刷である。左上の角に虫食いがある。 この絵葉書は、生田誠『日本の美術絵葉書1900⇀1935 明治生まれのレトロモダン』(2006年3月15日、淡交社)で紹介されてい