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さて、摺師西村熊吉の談話記事「洋画の印刷」(『趣味』第3巻第2号、明治41年2月1日、易風社)の紹介の第2回目。 今回は、西洋画の木版画化の実際に触れる。実作を紹介しながら、何が革新的なところなのかを考えてみよう。 《五月雨》のすばらしさ 西村は洋画を手がけている同業者に刺激を受けて洋画の木版画化にのりだすことになる。 「松井」は木版業者であろうが、特定することはできていない。(注1) 「画工さん」というのは、職人ではなく画家のことを意味している。 「松
さて、前回は、『明星』午歳第9号(1906年9月1日発行)に掲載された、水彩画家三宅克己の原画を木版にした《修善寺》について検討した。 今回は、三宅克己の水彩画原画を石版印刷によって絵葉書にしたものと木版画《修善寺》の比較を試みたい。 三宅克己と水彩画 三宅克己(1874−1954)は明治7年、徳島市に生まれ、同23年大野幸彦の画塾で学んだが、大野の没後は原田直次郎の鍾美館に移った。 明治24年にイギリスの画家ジョン・バーレイの展覧会を見て、水彩画の魅力に目覚
明治39年午歳の『明星』には木版画がたくさん掲載されている。 今回は、一見したところ石版のようにあっさりした摺りの木版を紹介しよう。 木版の印刷法も進化していることがわかる。 三宅克己《修善寺》 『明星』午歳第9号(1906年9月1日発行)には、2点の木版画が掲載されているが、三宅克己の原画を木版にした《修善寺》を見てみよう。 伊豆修善寺温泉の桂川にかかる虎渓橋あたりの光景だろうか。 小雨が降っているらしく、湯治客は傘をさしている。 木版画に特有の、摺