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明治の雑誌・本の版画から

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明治の雑誌・本には木版画や石版画が掲載されています。 版画も印刷なのですが、味のあるものがけっこうあります。 オリジナルの図版を使って、版画の魅力を紹介していきます。
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#絵葉書

水彩画を木版にする(その3)

 さて、前回は、『明星』午歳第9号(1906年9月1日発行)に掲載された、水彩画家三宅克己の原画を木版にした《修善寺》について検討した。  今回は、三宅克己の水彩画原画を石版印刷によって絵葉書にしたものと木版画《修善寺》の比較を試みたい。 三宅克己と水彩画  三宅克己(1874−1954)は明治7年、徳島市に生まれ、同23年大野幸彦の画塾で学んだが、大野の没後は原田直次郎の鍾美館に移った。  明治24年にイギリスの画家ジョン・バーレイの展覧会を見て、水彩画の魅力に目覚

付録の絵葉書

雑誌のおまけ     今回は、雑誌付録の絵葉書の石版印刷について紹介してみよう。 前にも書いたけれど、日露戦争(1904〜1905年)の時期に絵葉書ブームがあり、多くの絵葉書販売業者ができて、さまざまな絵葉書が販売された。  それだけでなく、雑誌に絵葉書がおまけとして綴じ込みでついている場合も多かった。付録の絵葉書がとりはずされずに残っていることは少ない。読者たちは、絵葉書を壁に貼って鑑賞し、また、ファン同士の通信に使うことが多かったためである。それで絵葉書の残っている雑誌