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画文の人、太田三郎

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このマガジンで取り上げるのは、明治大正期にスケッチ画や絵物語で活躍した太田三郎という画家である。洋画家として名をなしたが、わたしが関心があるのは、スケッチ画の画集や、絵葉書、伝承…
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#金銀刷り

太田三郎の絵葉書 《すみれ》

 この記事は、下の過去記事の補足である。  《すみれ》という絵葉書の題はかりにつけたものである。  過去記事で取り上げた絵葉書の未使用のものを入手できた。  たいへん美しい。多少、スレがあるが保存の状態がよい。  未使用のものの図版を見ていただこう。  比較のために、過去記事の図版を再掲する。ただし、表と裏をならべた図版にした。  ハートや、スミレの輪郭の金色が、過去記事のものよりも、あせていないし、また、スミレの藍色も鮮明である。 金銀刷りについては下記の記事を参照さ

太田三郎の絵葉書 《夕涼み》

1 夕涼み  《夕涼み》という題はかりにつけたものである。  この絵葉書は、神戸の絵葉書資料館の複刻を持っていて、アール・ヌーヴォーを和に取り入れたよいできなので、いつかオリジナルを見てみたいと思っていた。  このほど、運よく入手することができたので、紹介したい。   宛名面を横置きにした場合、右辺に切りはなした後のミシン目が確認できるので、雑誌の付録絵葉書かと思ったが、下辺左にNIPPON HAGAKIKWAI(日本葉書会)の文字がある。『ハガキ文学』の付録でなけれ