《新古小説十二題(一)》森林太郎訳『即興詩人』:画文の人、太田三郎(10)
1 《俗謡十二題》と《新古小説十二題》
太田三郎は、文学と美術を交流させる試みを、雑誌『ハガキ文学』の木版口絵の2つのシリーズ連載で実践している。
1つは《俗謡十二題》といい、小唄・端唄など歌謡の一節に絵をつけたものである。歌謡の一節は、欄外に活字で示されることもあれば、絵の中に組み込まれていることもある。
第4巻第1号(明治40年1月1日)から、第4巻第13号(明治40年12月1日)まで12回連載された。ただし、第4巻第6号(明治40年5月15日)の増刊『静想熱語