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画文の人、太田三郎

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このマガジンで取り上げるのは、明治大正期にスケッチ画や絵物語で活躍した太田三郎という画家である。洋画家として名をなしたが、わたしが関心があるのは、スケッチ画の画集や、絵葉書、伝承…
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2023年9月の記事一覧

太田三郎の絵葉書 《すみれ》

 この記事は、下の過去記事の補足である。  《すみれ》という絵葉書の題はかりにつけたものである。  過去記事で取り上げた絵葉書の未使用のものを入手できた。  たいへん美しい。多少、スレがあるが保存の状態がよい。  未使用のものの図版を見ていただこう。  比較のために、過去記事の図版を再掲する。ただし、表と裏をならべた図版にした。  ハートや、スミレの輪郭の金色が、過去記事のものよりも、あせていないし、また、スミレの藍色も鮮明である。 金銀刷りについては下記の記事を参照さ

太田三郎の絵葉書 《羽子板を持つ少女》

1 おそらく雑誌付録の絵葉書  《羽子板を持つ少女》は、かりの題である。  右にミシン目が見られるので、雑誌の付録を切り取って使ったものと思われる。   右下に「1908」とあるので、明治41年の新年号の付録であろう。雑誌名は特定できていない。  宛名面の仕切り線は、下3分の1の位置にあるので、明治40年12月発行の新年号の付録と考えることができるだろう。  前景に松葉、うしろに羽子板を持つ、正月の装いの少女が描かれている。  石版印刷で6色か7色。転写紙を用いている