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学歴を身に纏う

筆者、世間的にはかなり上位の大学に通うエリート。さあこの強力な鎧を身にまとった僕に勝てるかな?


冗談冗談、つかみである。完璧。

事実僕は今大学生だ。あまり実感はないけれども、そこそこいい大学に通っていると言われている。でも上には上がいっぱいいるし…


同じことを言うのでも、気持ちの持ちようで相手が受け取るものが全く変わってくる。今回は、みんな大好き「学歴」のお話をしようと思う。

大学に行くことがもはやあまり珍しいことではなくなった今日、人々は「大学卒」から「いい大学卒」に判断基準をシフトさせているように感じる。名門大学に通うために勉強する高校生、中学生、はたまた小学生がいる。幼稚園児も、大学まで付属している幼稚園に受験するという形で、もしかしたらこのマーケットに参加しているのかもしれない。

予備校講師がタレントになる昨今、世間の「学歴」への関心はどんどん高まっていると、僕自身痛感するところがある。僕が大学を選んだ理由にも少なからず学歴という要素が影響している。「いい大学に行ってやる、そしていい企業に就職するんだ!」というのが、ぶっちゃけ受験勉強をする上で大きなインセンティブになっていたことは間違いない。同じような同級生もたくさんいて、ロクに仕事の内容を知らない頃から勉強は始めていた。

いい大学というもののボーダーをどこに置くかが定まっていないので、学歴というものを語ること自体が不毛だという議論は存在するが、それは正直言い訳のように感じる。なんだかんだ言って、「日本のいい大学」と言われてイメージする大学は全国的に共有されているように思えるからだ。しかも、学歴という言葉自体がフレキシブルな意味を持つのであり、学歴を語ることに意味がないという理論はあまり説得力を感じない。

あいまいなものは意見の対立が深化すると信仰の対象にも侮蔑の対象にもなりえるので、世間には学歴信者と学歴論者と学歴アレルギーが生まれた。それぞれが自らの論理を展開し、各々の溝は深まってゆくばかり。学歴がすべてを決めるとも、学歴は人生に全く影響しないとも断言できないだろうに……。こうして「学歴必要論」と「学歴不要論」は栄華を極めることとなった。

このような「学歴が必要か不要か」という問答に終わりが来ることはないと考えてるので、受験戦争を二度くぐり抜けた自分が、その経験からたどり着いた結論を述べようと思う。

「学歴は自分を守る『鎧』だから、必要なら揃えておいた方がいいんじゃね」


これが僕は正解だと信じている。実は最初の段落で答えを言っているからちょっと戻ってみてネ。いわば超ニュートラル思考、ちょい学歴信者寄りといったところだろうか。

RPGはあまりやったことがないので良く分からないというのが正直なところなのだが、剣はボロボロだけど鎧は超新品という勇者はあまり強そうに見えない。逆だとなんか歴戦の勇者って感じがする。剣よりもまず最高級の防具を揃えようとするのは、強大なモンスターと戦う世界線では違和感バリバリだ。

しかし、現実世界ではこの通りにはならない。なぜなら、どのモンスターにも効く最強の剣というものが存在しないからだ。相手に効く攻撃手段が不明瞭なら、まずすべきは防御力強化だ。

学歴という鎧は、武器屋で購入する(お金で買う)ことも、自分で作る(勉学にいそしむ)ことも、宝箱からゲットする(運を味方につける)こともできる。勇者のレベルに比例するように商人、宝箱のレベルも上がり、より高級な鎧を手にするチャンスが広がる。それ自体で攻撃することはできないけれども、いざという時に身を守る最高の相棒、それが学歴である。

学歴で人を殴ることをする人間がいるが、それは間違っている。断言できる。上を見れば無限にいる世界で下を叩くのはかなり頭が悪い。自分の学歴にも傷をつけるかもしれない、いわば自滅行為だ。攻撃には強い剣が必要であり、必ずしもいい鎧を持った人がいい剣を持っているとは限らないというのは、先程述べたとおりだ。

必要だと思う人が良い鎧を手に入れ、そのうえで素晴らしい剣、すなわち「個人が重要視する、生きる上でのスキル」を身に着けて初めて最強の勇者になることができる。鎧なんかいらねえや!という人は剣だけで相手を倒すこともできるが、僕にとってはなんだか背中が頼りない。対して鎧だけで相手を倒すことはそもそも難しい。体当たり!ドカーン!GAME OVER。その場からコンティニューできないのが人生。カービィのスーパーデラックスもびっくりな作りになっている。


長々と書かせていただきながら結論があいまいになって申し訳ないが、「いるいらないの議論に学歴を参加させることはできない」ということ、「必要だと思った人が努力して、運も味方につけて手に入れるものが学歴である」、この2つが僕の学歴に対する持論だ。そのうえで僕は学歴を身にまとうことを選んだ。

どう捉えるかは、各プレイヤーの育成計画にかかっている。


時間をかけて全身装備を作るのも、裸に自分の思う天下無敵の武器を携えてダンジョンに進むのもあなた次第。学歴を手に入れることは、最強の勇者になるための一つの可能性に過ぎないのだから。

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