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最初で最後のバスデート🚌


 息子が、本日、修学旅行という名の遠足に行きました。本来なら二泊三日の予定でしたが、夕方には帰ってきてしまいます。

 先週は運動会がありました。こちらも今年は運動会と言うよりは体育の授業参観のようなプログラムで、しかも見学は制限を設け、一家族二人まで。参観チケットを持っていない人は親でも入場できないという厳しい開催になりました。

 無くなってしまうよりは、規模を縮小してでも「やる」ことに意味があるのでしょうが、それでもなんとも寂しいかぎりです。

 コロナ渦の秋です。
 あ、本日は中秋の名月ですね。
 楽しみです。

 
 

 さて、先週の土曜日に運動会がありまして、普段は休みの土曜日に登校するのですからその休み分を振り替えまして、月曜日が振替休日でした。

 我が家のうるさい小学生チームは、家におりました。

 我が息子ながらまだまだ幼くて、男同士で戯れあって絡まって抱き合って寝ているような、元気な犬ンコのような少年たちです。

 私は、たまたまその日は、定期的にうかがっていた病院の通院日で、午前中は家にいません。

 近所に住む私の母(彼らにとってはお祖母ちゃん)が、暇な彼らを近くの室内プールへ連れて行ってくれることになっていました。 



 「ママ、俺プール行かないっ」

 二階からドタドタと、チビ太が駆け下りてきました。

 「兄ちゃんと一緒、やだっ」


 いつも兄ちゃんの後ろを隠れるように歩いているチビ太が、こんなこと言うなんて初めてのことでした。


 「本当に? 一緒に行かないの?」

 「やだ、あいつ。むかつく」

 「どうしたの?」

 「あいつ、気持ち悪い」


 確かにこの日の兄ちゃんは、チビに干渉的でした。
 チビのやることや言うことに、いちいち揚げ足を取るようなレスポンスをしてきて、チビは朝からイライラしていました。


 「チビのことが可愛くて仕方ないのよ」

 「それが気持ち悪いんじゃんっ。俺プール行かない。一人で留守番してるよ」

 「ママはこれから病院だし…兄ちゃんたちは、お昼はプールで食べるらしいから、帰ってくるのは遅いのよ。チビを一人で置いとけないよ〜」 


 するとチビは、観念してプールへ行ってくれると思いきや、第三の案をひねり出しました。


 「ぼくも、ママと一緒に、病院に行ってもいいですか?」


 「えー?」 


 病院へはバスで行きました。

 「……ぼくバス、初めてだよ。幼稚園バスとか遠足のバスとかは乗ったことあるけど、こういうのは初めて」

 チビ太がぼそっと言いました。

 北関東は車社会で、乗合バスは滅多に乗りません。

「そっかぁ、よかった。ごめんねママ運転できないから…」

「わあ、すごいね。窓が大きいね。いつもの道がすごいよっ、面白いっ」

 なんだかとっても嬉しそうです。


 病院へ着きました。予約の私はすぐに呼ばれました。

「待合室で待っててね」

「ママ! ここにある漫画って読んでいいの?」

「ああそうね、大丈夫よ。読んで待ってて」

「すごいやー。「進撃の巨人」が全部ある。あと「鬼滅の刃」も全部ある。ママと一緒に来てよかったぁ」

 ここでもウキウキと嬉しそうでした。
 


 病院が終わりました。帰りのバスの時間まで、まだ40分ほどありました。

「ママはいつもね、バスが来るまでの時間に駅前の本屋さんに行くんだけど、チビさ、付き合ってくれない?」

「え! ぼくも行きたいよ。あのね、ぼくね、おりがみの本が見たいっ」

 チビの最近のブームはおりがみです。

 けれどもチビが持っている子供向け(男の子用)のおりがみの本は難易度が低いらしく簡単に折れてしまうそうで、大人向けの「ドラゴン」とか「悪魔」とか、もっと難しいおりがみに挑みたかった…のだとか^ ^。

「駅前の本屋だったら、本格ほんかくおりがみぼんってのがあると思うんだ!」

 結局チビの気に入るようなおりがみ本は見つからなかったのですが、探す作業がもうすでに楽しかったそうです。

 
 
 それから、
 バス停近くのスーパーで昼食用にお弁当を買って帰路につきました。

「ママとの散歩もけっこう楽しいじゃん」

 帰りのバスの中で、お褒めの言葉をいただきました。

「次の病院の日も、俺が一緒に行ってやるよ」

 

 振替休日の日がたまたま私の病院の日と一緒になったのです。
 次はきっともう無いのです。1001

※チビ太はカッコつけると「俺」、かしこまると「ぼく」になります^o^。

 

 



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