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私と光栄ゲームパラダイス⑨

1993年創刊の、ゲームと歴史の投稿本『光栄ゲームパラダイス』。3年の歳月を経て、とうとう月刊誌の『月刊DaGama』へとリニューアル。

記念すべき創刊号を、勿論書店に予約して、発売日に即ゲット。

(創刊号1996年9月号表紙)

書籍から雑誌になったため、中〜大型書店の歴史系雑誌コーナーにも定番的に置かれ始め、大手スポンサーの広告も誌面に登場するようになった。

予期してなかったメジャー化に戸惑いつつ、ページをペラペラ。

まず初っ端は、光栄(現コーエーテクモ)初の対戦格闘ゲーム『三國無双』のスクープ記事。光栄といえば歴史シミュレーションゲームの代名詞的存在。まさか格闘ゲームを出すとは…。

(オフィシャル誌だけあって他誌に先駆けて最速発表)

いや、振り返ればその兆候はあった。ファミ通などに掲載された当時の広告の端に、小さく「アーケードゲーム参入につき技術者募集(大意)」の告知があったのを覚えている。それでも、やはり目の当たりにすると衝撃的だ。

その次に目についたのは、よりガチさが増した特集ページ。どちらかというと、同社歴史ゲームのファン層に向けたライトなネタが多く見えたこれまでと打って変わり、ちょっと大人な渋歴史マニアにも耐えうる企画が目白押しに。

(大河ドラマ『秀吉』で明智光秀役の村上弘明さんインタビュー)
(後にプレステでゲーム化、小説『色判官絶句』作者インタビュー)
(そのスジから評価の高かった「こちらメカニック探偵社」)
(人形作家川本喜八郎先生のインタビューも毎号掲載)

その割に挿絵はライト層向けのアニメっぽい作風なので、中々ギャップはあったものの、全体的なバランスとしては対世間を意識した構成なのかなと感じた次第。

読者参加ゲーム(テーマやお題に応じて送られて来たハガキを元に編集部でゲームを進行、結果のハガキが返信される)も倍増、『レジェンド・オブ・アーサー』『大航海時代』『一騎討ちトーナメント選手権』など、ラインナップも充実。

連載陣には、当時『逆説の日本史』が大ヒットしていた井沢元彦先生による小説『天翔ける覇王』が。気合い入ってる!

(本能寺の変を生き延びた信長が、世界に挑むif小説)
(付録には正子公也先生の三國志画ポスター)

その他にも、川合章子先生の武侠小説『姑蘇夜想曲』(挿絵は皇名月先生)の連載や、戦国時代の合戦のリアルを資料を基に掘り下げる『日本合戦マニュアル』、漫画家北崎拓先生の『三国迷ツアー報告』など、錚々たる布陣。

その分、投稿作品ページの割合は減少。後に一部読者からの「投稿作品をもっと載せて欲しい」との要望が活発になる。(実際数えたら作品掲載数自体は『歴史パラダイス』時代とほぼ変わっていなかったのだけど)

おっと、肝心な事を忘れていた。

誌面が大幅リニューアルしたとはいえ、この雑誌の肝は読者の投稿作品なのだ。愛着のあるペンネームを変えてまで、この創刊号に向けて準備した。今回送ったのは30作品。結果や如何に。

ドキドキしながらページをペラペラ。

いや、ちょっとだけ予感はあった。事前告知で、創刊号の特集が『三國志・英雄達の一騎討ち』である事がわかった。ほくそ笑んだ。

なぜなら、今回送った作品の中に、『三國志演義』に登場する武将同士の一騎討ちを、集計して表にまとめた物を投稿していたのだ。ナイスタイミング!何かしら採用されている期待大である。

とはいえ、これまで弱者の戦略的に、小細工を凝らした投稿で採用数を稼いでいた身。期待の空振りも重々覚悟しながら、震える手でページをめくると…。

ドーン!

初っ端に目に飛び込んで来たのは、三國志の一騎討ちをまとめた表。ズバリそのまんまの内容が(無論編集部の手で誌面に耐えうる形に編集されつつ)採用されていた!しかも4ページぶち抜きで!なんたること!

(創刊号の特集テーマは『一騎討ち』)
(『三國志演義』で繰り広げられる一騎討ちがズラリとリスト化)
(そもそもの定義が曖昧なので、一騎討ちに入れるかどうかは個人の主観によります)
(自分の作品が雑誌の特集のメインに抜擢される事の興奮たるや)

新しいペンネームが、雑誌の創刊号の特集ページに躍る姿に、数日間ニヤニヤが止まらなかった。(なんなら二十数年経った今でも)

ここに来て、さらなるモチベーションが再点火。本来向かうべき学業そっちのけで、より投稿生活に傾倒して行く事となる。

その後の我が身にどんな運命が待ち受けているのか、その時の私には知る由もなかった。

(つづく)

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