モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書

モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書

尾原和啓

第1章 「乾けない」世代とは何か?

30代以上の世代は立身出世のために、家庭を犠牲にして仕事をしていた。なぜなら社会に空白が多く、自己成長と社会貢献が密接にリンクしていたからである。

一方30代以下は社会インフラやサービスなどが整い、「ないものがない」状態で育った。このような「乾けない世代」は立身出世や物質的な豊かさより自分の時間などの質的な豊かさ(「意味合い」)の方が大事である。

例)ザッカーバーグは質素な暮らしをしている。

→今の時代は「何が楽しいのか」「何がやりたいのか」を常に決めなければならない。

「乾けない世代」のモチベーションを理解するために、心理学者マーティン・セリグマンが唱えた「幸せの5つの軸」を紹介

・達成
・快楽
・良好な人間関係
・意味合い(やりがい)
・没頭

上のように幸せを整理した時、「乾けない世代」が感じる幸せは何なのか?

達成や快楽のように、例えばワインや美女など一定程度客観的な指標がある幸せは上の世代が感じやすい幸せである。

一方良好な人間関係や意味合い、没頭など個人的な指標の元に評価する幸せを「乾けない世代」は感じやすいのである。

第2章 偏愛こそが人間の価値になる

今までは「ないものを埋める」サービスや仕事がメインであったが、今は社会のインフラが整い「ないものがない」。そのため、相手の潜在的な欲求を見つけ出して体験をプロデュースしていくことが必要(このことを筆者はアイデアの対照としてインサイトと表現している)。

例)単なる食事ではなくインスタ映えやダイエットに繋げる

上のようにインサイトが重要な現代では、生活者として多様な経験をすることで外部から情報をインプットし、世の中の潜在的なニーズを把握することが大事。

このような時代では仕事と趣味の境界が曖昧になる。またテクノロジーの発展によって単純作業はAIに置き換えられる。そのためライフワークとして生きがいを実感しながらできる仕事を見つけることが必要となる。

参照)任天堂の故・岩田聡元社長「"労力の割に周りが認めていくれること"がきっとあなたに向いていること。それが"自分の強み"を見つける分かりやすい方法だ」

上のようにAIなどのテクノロジーが発展してく中で今後強みになっていくのは、一見非効率に見える嗜好性(偏愛)である。

参照)松尾豊「昔の資本は筋肉でした。肉体労働を集約できることが強かった。それが蒸気機関の発明で追いやられて、今の資本は頭脳になった。そして頭脳は人工知能によって効率的な仕事に追いやられて、次の資本は非効率を産業としていく嗜好性になっていくのです」

このように変化に富んだ時代を生き抜くには以下の3つの生き方がある。

・変化をチャンスと捉えて最先端を走り続ける生き方(自分の好きを見つけて極める)。
・伝統職の中でコツコツと働く生き方(宮大工)
・永遠のフリーターを楽しむ生き方

ただ結局は1番目の生き方一択。

章の最後に、筆者と落合陽一が行なった対談から「変化に富んでいる時代」の整理をする。現代では以下の4つの変化が起きている。

・グローバル革命
・インターネット革命
・人工知能革命
・実世界思考革命(実感すらデジタルなものに)

このような4つの革命が同時的に起こっている先の見えない世の中だからこそ、「好き」を突き詰めて、その「好き」に共感する人が「ありがとう」とお金を払ってくれる"偏愛・嗜好性の循環"が力をつけていく。

第3章 異なる「強み」を掛け算する最強のチームの作り方

スレインクスファインダーの紹介

第4章 個人の働き方

筆者の今までのキャリアから学んだこと

・議事録係やトラブル対応など、人がやりたがらないけど自分ではあまり苦ではないことを続けていると、それがゆくゆく自分の得意分野になっていく。

・たとえ不得意であってもコツコツと好きなことに打ち込み続ける姿は共感を呼ぶ。

・没頭が大事(MITのメディアラボではProject,Peer,Passion,Playの4つのPを重要視)

まとめ

・「ないものがない」時代から生きる「乾けない世代」は、上の世代に比べ、質的な幸福に重きをおく。そしてこの世代だからこそ作れる「新しい価値」がある。
・その「新しい価値」は自分だけの偏愛から生まれやすい
・「自分だけの世界の見方」を発信すると、それが他の人にとって「新しい世界の見方」となったり、既存のものに新しい意味を与えたりする


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