劇場版SAOと「東京」

最近劇場に映画を見に行っていない。

『夜は短し歩けよ乙女』行かねば〜〜〜と思っているのだが、上映劇場が微妙でめんどくさい。


最近、というか今年見たなかでは、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』がおもしろかった。

SAOはTVアニメは全部見ているが原作は読んでいない。アニメは1期でキリトとアスナがイチャイチャしてるのを楽しんで見ていたような記憶があるが、他はざっくりである。とはいえ、「ソードアート・オンライン」(作品中のゲームの方)以後は以後で話が広がっていっておもしろかった気もする。

とはいえ、劇場版かーぐらいに思っていたところ、キービジュアルがなんか良くて、公開されたら行くぞという気持ちになった。


で、実際見に行った結果、とてもおもしろかった。おもしろポイントはあとで列挙するとして、個人的には「東京」がしっかり描かれているというのが良かった。

TVアニメだけ見た(雑な)印象だと、SAOではとくべつ現実の地理に即した描き方をしていなかった気がする。アニメ1期の後半のOPで、西武線所沢駅ドーン!だったのは覚えているが、それぐらいだ。

一方、劇場版ではわりと細かく「東京」が描かれている。けっこうリアルな秋葉原や代々木公園、恵比寿ガーデンプレイスなどが出てくるのだが、それはそのはずで、今作がVR(仮想現実)ではなくAR(拡張現実)がテーマになっていることの要請だと思う。現実と作品の間と、アニメ内の現実とARの間の二重の地続き感が表現できるので、現実の場所を細かく描いているわけである。ちなみに、オーディナル・スケールを起動してAR画面になったときも、その場その場の特徴が活かされていて良い。


地続き感という意味でいちばんおもしろかったのは、秋葉原でも東京ドームでもなく、唐突に大岡山がフィーチャーされたところだった。細かい話は避けるが、作中、あるキャラが「探して」と言ってある地点を何度も指差すのだが、その場所が大岡山なのである。

大岡山といえば、現実では東京工業大学があるが、作中では同じように「東都工業大学」があり、物語の重要人物が教授をしている。

自分は大岡山と聞いたらすぐ東工大を思い浮かべるが、そうじゃない人も多い気がする。失礼を承知で言えば、物語の重要な場所(地名)としては地味である。ぶっちゃけ東大がある本郷とか(これも地味か?)、六本木とかお台場とかでもいいのではないかと。

だけどそれも、現実との地続き感ということを考えれば、リアルさを引き出すため設定じゃないかと思う。地理をしっかり描くことが、劇場版SAOのおもしろさの一つの要因になっている。キリトが川越に住んでいてバイクで都内まで通っており、またアスナは代々木公園の近くに実家があってマジ金持ち、といったディティールも良い。

(ついでに、作中では、キリトが将来のことを考える場面で「東都工業大学」を候補にしているのだが、VR最強のキリトも現実では進路に悩む学生なのだというところで別のリアルさが補強される)


アニメなどで東京だけでなくいろんな場所が描かれて、聖地巡礼とかもだいぶ浸透しているが、東京というどストレートな場所をARを使って多層的に描きつつ、ちょっと外しを入れてくるあたりが非常にニクくて、ほんとうに興味深くておもしろい作品だった。


最後に他のおもしろかった・良かったところを列挙すると、


・ ユナ(CV:神田沙也加)の曲

ARさせちゃうと強くなりすぎるので出番なかった直葉

・ARだと身体がついていかないキリトくんが、クライマックスでパワーリストを外して床に落として、修行したアピールするところ

比村奇石先生によるIPAとのコラボ漫画(リンク切れてる…)

・キリトとアスナのイチャイチャ


以上、ご査収ください。

興行的にも成功しているらしく、まだギリギリ上映している劇場もあるので、隙あらば見に行くのをオススメします。